第28話
なんかなぁ。
先生たちがお買いものの中身について盛り上がっている。
このまま逃げるという手もあるけど、後で何があるかわからないし。
暇つぶしに何か読んでみようかな。
「こ、これは……」
少女マンガかな。佐奈が読んでるのと絵が似てる。これで男?
ええと、美形な生徒会役員と、格闘技が趣味のドワーフがあ~んな事やこ~んな事をするとゆーお話で……
これをうちの学校に当てはめたら…… はまるなぁ。
石橋先輩は生徒会の副会長で、かなりのイケメンだし。
そうすると、相手はドワーフで格闘…… 柔術部の… 名前は忘れたけど、あの先輩はドワーフじゃないけど、ずいぶんとゴツい体格だったよなぁ。
で、もーほーな間柄、と……
おおおおおぉぉぉォォォぷ!
すんごくリアルな想像を…… ウナサレソウダ。
じゃ、次の本、行ってみようか。
がさごそがさごそ。
これなんか、薄くて手頃そうだ。へぇ、これはマンガじゃなくて小説、ねぇ。
……そのまま、1時間が経過。
「……女子生徒のカウンセリングもやっているけド、こんな話もアルのよねぇ」
「ふむふむ……」
まだやってるのか。よくネタが尽きないなぁ。
「瑞希クンがいれバ、それハそれで」
「それはそれで美味しいシチュだけどねー」
えっ?
「大地クンは誘い受けで瑞希クンが攻めとか?」
「いやあねぇ。そんな…… 大地受けで…… いや、それはそれで美味しいかも……」
「でしょウ?」
「そうすると、こう、もっと何というか……」
「今年の流行はクラシックメイドと清楚なお嬢様系みたいねェ」
チョットマテ。
今までに読んだ同人誌の中身と、この会話。
ずいぶんとダブるんですけど?
「……でね?」
「本気でくっつけてみようかト思ってたりしテ?」
「今日売ってた本の中に無かったかしら、そんなの」
「ちょっと待っテ」
足元に置いてあった紙袋をごそごそと探ると、一冊の本を取り出した。
「これデしょ?」
「ああそうそう、やっぱり買ったんだ」
「この作者のは、全部コレクションしてあるワよ」
「……こっちは置き場に困ってるというのにぃ」
「あとで貸すわよ」
「期待してるわ。でね、このコスなんだけど、型紙がね……」
ヤッパリ、コスプレキタ。
……
…………
………………………い
いやあああああ!
瑞希×大地か、大地×瑞希?
そういうストーリー展開もアリ?
……ナシです。
私はそこまでの熟成度じゃないです、はい。