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プロローグ
とある日の深夜のこと。
住宅街にある変哲もない一軒の家でそれは起こった。
真夜中の部屋の中に、CDほどの大きさのリング状の光が現れた。
月の光以外には光を発するものなど何もないはずなのに。
月の光すら切り裂く光の輪は、部屋の中にあるものを照らし出した。
光の当たっているところだけが切り取られたように、闇の中から浮かび上がる。
それは部屋の中で何かを探すかのように、音もなく鋭く動き始めた。
闇を切り裂くために、緑がかった黄色い光を放ちながら。
無造作に置かれたかばんを照らし、机の上を通り抜け、壁を這い……
床の上を滑るように流れ、天井を走り抜けて。
ハンガーに吊るされた衣服を、本棚を照らし出す。
やがてそれはベッドの上で止まった。
そこで光を弱めると、光の輪は動きを止めた。
ベッドで寝ている者を慈しむように、眠りの邪魔をしないように。
そして……
更新は不定期なるかも知れませんが、生暖かい目で見守っていただけると幸いです。
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