表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/41

幕間~佐奈の昼休み

 午前中の授業は、集中できなかった。

 つい感情的になって使ってしまった攻撃魔法が失敗したため。実際には発動していたはずなのに。そして、石橋が病院に担ぎ込まれたこと。

 私ではない誰かが使った氷結の魔法のせいだ。

 そして何より気になるのは、みんなの記憶が、曖昧になっている事。

 共通しているのは、昨日の午後から今朝にかけて…… なのよね。


 なんだかんだで昼休みになった。

 とりあえず気持ちを切り替えて、と。

 瑞希くん、今頃はお弁当の包みを開けて、ビックリしているんじゃないかしら。

 だって、中身はミリタリー・レーションだし。

 これは乾パンとチューブ入りのマーマレードと金平糖に、おかずが付いているという、栄養満点だけど味は微妙というか、保存食料よりはずっとマシという程度のものだから。


 あくまでこれは普通一般のモノだからね。

 でも、今回のレーションは特別製。

 この前の海軍記念日のイベントで、付属のコンロで温める缶詰がセットになっている陸戦隊用のものを見つけたので、使ってみたわけ。

 中身はポークシチューと、ソーセージのスープ煮だ。


「……でもさすがに意地悪だったかな」

 本物のお弁当を取り出すと、1年生の校舎にレッツg『連絡します。生徒会長は、ただちに校長室まで来てください。繰り返します……』ちょっと待って?

 ヤな校内放送を聞いたような気がする。


「さ~な?」

「なぁに?」

「また呼び出されちゃったわねぇ?」

「何もこんなタイミングで呼ばなくても、って思っちゃうけどね」

「仕方がないでしょ。お弁当は校長室に持ってくしかないわねぇ」


 そう言って笑っているこの子はちょっと苦手。

 名前は愛川・文香……あいかわ・ふみか。私よりも頭一つ小さくて、茶筒よりもスレンダーな体型という可哀想な人です。

 それを補って有り余るのは、その行動力でしょうか。

 実行力というか、とにかく元気な姉御肌。


「今度は何をしたのかな? おねーさんに言ったんさい?」

「さて何の事やら、お代官様。かいもく見当もつきませぬ」

「あんたが校長室に呼び出される時って、ぜ~んぶあの子がらみでしょうに」

「と、いうより…… いつ出来たんでしょうね、あの穴」


 ためしにボケてみた。誤魔化せればラッキー♪


「えええええ? あれ佐奈がやったんじゃないの?」

「だいいち出来たのはいつの事なのよ」

「そういえば、そうね…… 朝は無かったような気がするし……」


 やっぱりだ。文香の記憶も曖昧になってる。失敗に終わった魔法とはいえ、それなりに音や光は出ている。陸上部の朝練で校庭にいた文香が気が付かないわけがない。

 というか、きっちり注目を浴びていたような気もするし。


「陸上部は朝練があったでしょ? 気が付かなかったの?」

「……そういえばそうね。あんた達は、いつも通りいちゃつきながらの登校だったし」

「そういう事。じゃあ、ちょっと行ってくるわね」


瑞希くんが屋上でネコまみれになっている時の別視点でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ