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禁忌

作者: aristotles200

代々伝わる勾玉には口伝があり

継いだ者が勾玉を触ると

瞬く間に色を変えるらしい

古鏡、古刀、勾玉

何れも

側に置くものではない


無神論者である

それでも

なにかが宿る、祟る、護るを

感じる


不可思議な存在を

否定出来ない

禁忌の圧を感じる


今の時代

古鏡や古刀は出回らない

危ないと思うのが勾玉だ


新品か古品か、磨けば不明

古い勾玉などは

魔が玉とも呼ばれる


人が日常に身に着け続ける

人の思いを吸い込む

喜怒哀楽を積み重ねて

七千年間

縄文時代から造られてきた勾玉

どれだけの人の思いが

積み重なっているのか

幾人もの手で、触り続けた遺物


美しい魔が玉に

どれだけの

人の思いが秘められたのか

鳥肌さえ立つ


世の中に禁忌はあると認める

私たちの積み重ね、歴史を

一族の連なりを

心から尊ぼう、感謝しよう

そして

遺物に近づくことはない


私は、私の思い

これだけで生き、死のうと思う


   ✳


ご先祖は

鎌倉時代にまで遡る一族

時の幕府に

討伐され、首を跳ねられた

代々の直系に伝わる

拳くらいの勾玉がある

父の死とともに

やむを得ず引き継ぐ


口伝では

勾玉の色は変わる

父の代は蒼色

祖父の代は朱色

それぞれが

不思議な力を与えられた


手に握る勾玉は

瞬く間に色を変えていく

やはり

どす黒い血の色に

怒りと憎しみ、復讐を


一族に伝わる、呪物の力が漲る

額から生えるのは醜い角

いざ、遺恨を晴らそうぞ


業とは深く

消えることはない

これが、私の連なりだ

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