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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
外伝 錬金術師が悪い死霊術士と戦うお話

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外伝16 魔の森突入


 私は勇者達と共にユージと戦うために魔の森の前までやってきた。


 魔の森に入る前に、昼食をとりながら作戦会議を行う。


 まずはサポートメンバーの斥候の偵察結果を指揮官の騎士から聞いた。今のところ敵に動きは無いらしい。まだ気づいていないのだろうか?

「じゃあ予定通りここからは俺達だけで森に入るということでいいね。」 勇者が言った。

「そうねですね。作戦変更の必要はありません。」 サポートメンバーの指揮官の騎士が答える。


 そして改めて全員で作戦の再確認を行った。

 魔の森に突入する勇者パーティの主力メンバーは11人だ。


勇者コーキ

大魔導士ミレイ

祓魔師キヨヒコ

山賊ヤマト

錬金術師アスカ

人間の聖騎士クライン

ドワーフの盾士グラン

白猫獣人の斥候ニャニ

エルフの神官ミレーヌ

太陽の炎の隊長聖騎士ギリアス

エルフの弓士フェリオール


 サポートメンバー10人は、基本周囲を警戒しつつ日の当たる森の外で待機する。


 作戦は、アンデッドはキヨヒコがまとめて浄化して、ユージを見つけたら遠距離攻撃担当が死体収納の射程外から攻撃する。攻撃が効かない女が現れたら、ヤマトがスキルを無効化する。他のメンバーは不意打ちなどから後衛やヤマトを守りつつ、アンデッド以外の敵が出たら戦う。必要に応じて即死が効かない最大戦力の勇者が突撃する。


 作戦を確認していると、ニャニが突然言った

「妙な違和感を感じる。敵に見つかったかもしれない。」 

「なに?! 本当か?!」 聖騎士クラインが聞いた。

「ハッキリとは分からないけど、凄腕の斥候に見られた感覚がある。」

「・・・忍者がいるんだったな。こちらの動きは監視されていると考えるべきか。」

「そうですね。我々のことは町にも知られていますし、堂々と行動しているので気づかれていている可能性は高いでしょう。」 サポートメンバーの騎士が言った。

「提案だが、監視されている状況で、すぐにアンデッドを浄化してしまうとユージに逃げられる可能性がある。浄化はユージを見つけてからにしてはどうだろうか。」 ギリアス隊長が言った。

 確かにアンデッドの大軍が浄化されたら、勝ち目が無いと判断してユージは逃げるだろう。ユージは逃がしたくない。恐らくギリアス隊長もユージを逃してしまうと立場が悪くなるのだろう。

「私もその意見には賛成よ。ユージを逃がしたくない。」 私も言った。

「・・・確かにそうだけど、普通にアンデッドの大軍と戦っていては万一のことがあるんじゃないの? 聖女はそれでやられたんでしょう?」 キヨヒコが反対意見を言った。

 浄化無しで戦うのは不安なのだろう。

「もちろん小規模な浄化は使っていいし、万一不利になるようなら全力で浄化することに異存はない。仲間を犠牲にしてまでやることではないからな。顔を隠した人間アンデッドはユージかもしれないという前提で対処すれば仲間の犠牲は防げるだろう。それに引き付けてから浄化するだけでもユージを逃がす可能性は下げられる。キヨヒコ殿は優秀だがさすがに初めての戦場では判断が難しいだろうから、もし良ければ浄化のタイミングは私が判断しようと思うがいかがだろうか?」 ギリアス隊長がキヨヒコに提案する。

 前回は人間アンデッドに混ざって近づいてきたようだが、人間アンデッドには即死対策している者以外は近づかないようにするので大丈夫だろう。タリスマンで対策している者もユージと分かったらすぐに離れることになっている。タリスマンでは長時間即死を防ぐことはできないことが分かっている。長時間即死を防げるのは勇者だけだ。

「なるほど。そういうことなら、人間アンデッドは優先的に浄化をかけてユージでないか確認することにしよう。その上でなら、私も良いと考えるが、キヨヒコ殿はどうだ?」 クラインがキヨヒコに聞いた。

「うーん。分かったけど、もし誰かがやられそうだったら勝手に使うよ? それでも良ければいいよ。」

「ああ、もちろん緊急時はキヨヒコ殿の判断で使ってもらって構わない。皆もそれで良いか?」 クラインが皆に確認する。

 皆が頷く。

「では広域浄化はアンデッドとの戦闘経験が豊富なギリアス殿の合図で行うことにする。ただ、状況によっては私が指示を出す場合もあるので了承願いたい。」

「うむ。もちろんだ。意見を聞いていただき感謝する。」

 主力パーティーの指揮は一番指揮官としての経験が豊富なクラインが行うことになっている。指揮経験はギリアス隊長の方が豊富だが、ギリアス隊長は今回だけの臨時メンバーなので指揮官はクラインだ。

 一応リーダーは勇者なので、十分な経験を積んだら勇者が指揮をする予定になっている。


 昼食と作戦会議が終わったので、準備しているとニャニが声を上げた。

「誰かこっちに向かってくる!」

「何?!敵か?!」

 全員が立ち上がり武器を構える。

 すると森から、麦わら帽子を被った顔を隠した男が両手を上げて近づいた来た。

 あの恰好には見覚えがある。

「おそらくユージの配下よ!」 私は叫ぶ。

「止まれ!近づくと攻撃する!」 クラインが声を上げる。

「戦うつもりはありません。ユージ様からの手紙を持ってきました。」

「何? 手紙だと? ・・・分かった。そこに手紙を置いて下がれ。」 クラインが指示を出す。

 今更手紙? 命乞いだろうか? 命乞いをしたとしても見逃すつもりはない。

 麦わらの男が手紙を地面に置いて、距離を取った。

「返事を聞いてくるように言われています。できれば今すぐに読んでください。」 麦わらの男が言った。

「おまえはアンデッドか?」 ギリアス隊長が麦わらの男に聞いた。

「そうです。」

「はぁぁあ!!」 ビュオ  ザン!!

 ギリアス隊長が突然麦わらの男に近づいて、麦わらの男を斬った。やはりアンデッドだったようで、ギリアス隊長の光の剣に斬られて胸のあたりが右肩から左わき腹にかけて大きく消滅した。

「なっ!」「えっ?!」「おい!」

 皆驚いているようだ。太陽の炎の人間なら当然の対応なので私は驚いてはいない。

「何で勝手に斬った?」 クラインが聞いた。

「アンデッドの話を聞いてはならない。我々アンデッド討伐部隊にとっては常識だ。長い歴史の中でアンデッドから持ち掛けられた話を聞いて良い結果になったことは一度もない。死んだ者ばかりだ。」 ギリアスが答える。

「その意見には賛成だけど、私に鑑定させてほしかったわね。鑑定なら話をさせる必要はない。」 私は思ったことを言った。上級アンデッドを鑑定したことは、まだ無かった。

「・・・そうだったな。次からは気を付けよう。まあこの後いくらでも鑑定できるだろう。」

「そうね。」 戦闘中は視界が悪くなるので余裕がある時でないと鑑定は難しい。この分だと鑑定は勝った後になりそうだ。

「話は分かったが、余裕がある時はこちらに確認してからにしてくれ。」 クラインが言った。

「相手の実力が不明だった。確認していたら逃げられたかもしれない。」 ギリアス隊長が反論する。

「・・・まあいい。手紙を確認しよう。」 ギリアス隊長が一番の経験者なので文句を言いづらいようだ。

「気を付けろ。」

「分かっている。」 クラインが慎重に手紙を開封したが、普通の手紙だったようだ。

「悪さする気はないし、魔王討伐にも協力するから引き返せという内容だな。」 クラインが他のメンバーに手紙を渡しながら言った。

「ありえない。」「ありえん。」 私とギリアス隊長が言った。

「分かっている。予定通り変更はない。」 クラインが答える。

 他の日本人は、手紙を回し読みして微妙な顔をしているが、今更反対する者はいないようだ。



 準備が終わったので出発することになった。


 出発前に私の秘書のアインが話しかけてきた。

「アスカ様。お気をつけて。ご無事の帰還をお祈りしています。」

「ええ。アインも気を付けて、こっちにもアンデッドが来るかもしれないわ。私達は大丈夫だから無理せず撤退してね。」

 私達がやられないかぎり森の外まで大軍が来ることはないと思うが、少数の敵には襲われる可能性がある。一応サポートメンバーも全員戦えるし、数名神官もいるので浄化もできるが、場合によって広域浄化のないこちらの方が危険かもしれない。

「私も神官のはしくれです。戦闘訓練もしていますし、アンデッドにやられたりはしませんので、ご安心ください。それよりアスカ様が無事に戻ることの方が重要です。無事に戻ると約束してください。」

 アインが真剣な顔でこちらを見つめながら言ってくる。

「・・・ええ。約束するわ。」

 私はそれだけ言って出発した。

 私はアインとそういう関係になるつもりはない。心が落ち着かないのは戦いを前にして気持ちが高ぶっているだけだ。

 復讐者である私にそんな資格は無いのだから。



 私達は魔の森を進んだ。ユージの拠点は歩いて二時間程度なので、もういつ出会ってもおかしくない。

 するとミレイが話しかけて来た。

「ふふ~ん。アスカっち、いい雰囲気だったね。見ててアタシもドキdキしちゃった。」

 緊張感の無いことを言ってきた。見ていたらしい。

「これから命がけの戦いなのよ。真剣にやって。」

「戦いはちゃんとやるから心配ないって。アタシの本気の魔法を見せてやるんだから。何なら森ごと焼き払ってもいいよ。ていうか森ごと焼き払った方が早くない?」

 確かに私も森を焼き払うことも考えたが、周囲の被害も大きいし、森と一緒に焼け死んでくれるほど甘くはないだろう。逃げられてしまうだけだ。

「森を焼いても逃げられてしまうだけよ。」

「う~ん。そうか~。面倒だね~。仕方ない。早く済ませて帰ろう。秘書くんとアスカっちの続きも気になるし。」

「・・・」

 私は相手にしないことにした。

「やれやれ。緊張感なさすぎだぜ。」 ヤマトが言った。

 他のメンバーも呆れた視線を向けている。


 しばらく進むとニャニが言った。

「前方に魔物の大軍。」

「分かった。全員戦闘態勢。慎重に進むぞ。」


 少し進むと魔物の大軍が見えて来た。見たところ前回と同じ魔物達だ。

「前回と同じ魔物よ。頭上にも気を付けて。」 私は皆に知らせた。

 皆が頷く。

「ではゆっくり近づきながら戦うぞ。ユージを発見したら報告を。浄化のタイミングはまかせる。」

「了解。」


 少し近づくと魔物の向こう側の高い位置に見覚えのある男が現れた。


 あれはギルバーン?! 前回殺したはずなのに!


「フハハハハ!我は闇の王ギルバーン!勇者よ!よくぞ我が前に現れた!勇者を我が配下にできるとは嬉しいぞ!」

 やはりギルバーンだ。見た目も言動も同じだ。

「ギルバーン?!」「あいつは死んだはずでは?!」「生きていやがったのか!」

 皆もギルバーンが生きていたことに驚いている。


 胸の中の黒い復讐の炎が燃え上がる。

 なぜ死んでいないのか知らないが、何度でも殺せばいい。

「ジェリー!空中に足場を!」

「了解シマシタ。」

 背中にくっついていたジェリーが上に飛び上がりバリアで空中に足場を作成し、私は足場に飛び乗った。

 私は全ての装備と強化スキルを発動した。全身から様々な色のオーラが立ち上る。


「我は冥界より蘇った!我の新たなる・・」 何か喋っているが無視だ。


 今度こそ殺す!


 魔法槍に火をまとわせ、風の鎧で追い風を起こし、魔法の靴でしっかりと足場を蹴り、風の投槍器で槍に加速をつけ空気抵抗を減らし、投槍スキルを発動して、全力で火の魔法槍を放った!


 ゴウ!ドガィイィン!


 ギルバーンの前に盾を持った男が現れて、高速で飛んでいった槍を斜め上に逸らした。空中に折れ曲がった炎の線が引かれる。

「なっ!?」「防がれた?!」「あいつはまさか!」

 あの盾はまさかライアス?! やはり前回共に戦った仲間もアンデッドにされているのか・・・「ぐぅっっ。」 怒りで視界が暗くなる。

 いや落ち着かなければ! ライアスなら私の槍を防げても不思議ではないが、かなり余裕があるように見える。ライアスはそこまで強かったの? これではただ正面から攻撃しても防がれてしまう。


「貴様!前回我を攻撃した者だな!だが無駄だ!我は何度でも蘇る!冥界の神より授かりし新たな力を見よ!サモンダークネスカイザードラゴォン!!」

 私のことを覚えている。やはり本人だ。でも蘇るとはどういうこと? アンデッドになったの? それにドラゴン?


 ギルバーンの背後に凄まじい数の怨霊が集まり巨大な立体魔法陣が形成された。

「何?!」「ヤバそうだぞ!」

 怨霊が周囲に爆発するように飛び散ると黒いオーラを放つ漆黒のドラゴンが現れていた。


「なっ!!」「ドラゴン?!」「バカな!!」


 やはりドラゴン! どのくらい強いの?

 皆の焦りようがただ事ではない。まさか私達が勝てないくらい強いの?


 ドラゴンがこちらに向けて口を開いた。

「前方ニ高エネルギー反応。回避推奨。」突然ジェリーが喋る。まさかブレス?!

「マズい!」「ホーリーシールド!!」「マジックバリア!!」「皆俺の後ろに!」

 私は空中の足場に乗っていて皆より高い位置にいる。

 ドラゴンの口が黒く光る。時間が無い。上に!

「ポールハイジャンプ!」「緊急バリア展開。」

 私がスキルで上に跳ぶと同時にジェリーが私に球体バリアを張った。



 私の視界は黒い光に埋め尽くされた。






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