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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
第四章

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第75話 聖女の選別


 皆が避難とギルバーンを権力者にするために動き出したので、俺は何をするべきかなどを配下と相談した。


 まず、日本人がいるであろう占領軍からスブ島を守れるのか不安だったので配下の意見を聞いた。


 配下達は色々意見を言っていたが、島の防衛戦では船を沈めれば勝ちなので、こちらがかなり有利だそうだ。配下が知っている範囲ではカイザーのブレスから船を守れるスキルは無いので、遠くから船に向かってブレスを放つだけで勝てるらしい。念のため海の魔物を配下にして水中からも襲わせれば、船を沈めるのも楽になるし、強者がいたとしても呼吸が必要な人間は海に沈めるだけで倒せる。ユニークスキルが不明なので確実ではないが、倒せない強者がいたとしても船を沈めてしまえば島にたどりつけないし、たどり着けたとしても少人数では占領できないので、ほぼ確実に勝てるという予想だ。

 船を守れるユニークスキルがあったとしても、水中から24時間攻撃し続ければいけるだろう。

 カイザーと海の魔物と指揮官の海賊が何人かいれば、こちらは船を出す必要すらないようだ。

 海の魔物と海賊を組ませて海での警戒もさせれば、奇襲も防げるのでまず大丈夫ということだ。

 魔物だけだと言葉が話せないので偵察は厳しいが、発見して案内することくらいは多分できるので、海賊が何人かいれば広範囲の偵察もできるだろう。泳ぐのが速い海の魔物に海賊を引っぱらせれば海賊も高速移動ができるかもしれない。


 つまり俺のやることは海の魔物集めだな。



 ただ海で戦うのはまだ先の話なので他にやることはないか配下に聞いてみた。


 するとやはり俺がやるのは新拠点の整備だそうだ。まあやるのは配下なので、収納している大魔導士や植物魔法使い神官のエルフちゃんや内政隊を新拠点に出しておくだけだが。



 それと敵意を持つものの選別をこちらでもやった方が良いという意見が出た。


 聖女のユニークスキルである味方支援は、敵意を持つ者にはかからないので、敵の判別に使える。ただ欠点として、聖女を紹介して味方だと認識させる必要があるし、俺達ではなく聖女に敵意があるかどうかしか分からない。しかし聖女をどう紹介するかで、ある程度確認範囲を変えることができる。俺の配下と紹介すれば俺に敵意がある人が分かるし、ギルバーンの配下と紹介すればギルバーンに敵意がある人が分かる。

 とりあえず俺は目立ちたくないのでギルバーンの配下ということにしよう。


 ヨーラムさんにも敵の選別について連絡した。

 魔の森の奥に避難するための説得は少々難航しているようで、まずは視察団が魔の森の奥を見てくることになったそうだ。まあヨーラムさんの言葉だけでは信じることはできないのだろう。悪名高いギルバーンの領地ということになったからな。ヨーラムさんも行ったことないし。



 時間が無いので、さっそく新拠点に向かうために視察団に町の港に集まってもらった。敵意のある者の選別は町で行う。敵意がある者がいた場合に追い返しやすいからだ。

 カイザーシップ用の船も港に泊めた。カイザーやギルバーンが町まできたら大騒ぎになるので、カイザーを出して空を飛ぶのは船で町を離れてからだ。


 視察団は50人くらいいた。結構多い。半数くらいは問題なければそのまま避難するそうだ。ヨーラムさんも視察団と一緒に行く。ヨーラムさんが一緒の方が他の人が安心するからだろう。


 俺達は顔を隠して様子を見ている。ヨーコちゃんはヨーラムさんと一緒に行動して、顔を見せている。ヨーコちゃんみたいな女の子も一緒に行くなら安心と思わせるためだ。実際には世界最強クラスの強さだけどな。


 騎士団長が皆に説明を始めた。基本は配下におまかせだ。

「これよりこの船に乗ってギルバーン様の領地に向かう。船に乗る前に私の横にいるギルバーン様の配下の術士が魔法をかける。これは、船酔いと転倒などでの怪我を予防するためである。念のため回復魔法もかける。」

 ザワザワ・・・

 騎士団長の横には魔法使いっぽい恰好で仮面をつけた聖女がいる。聖女だとは言わないことにした。聖女は特別な存在らしいので、聖女を信仰していてギルバーンを憎んでいる人とかがいたりすると、どう反応するか分からないからだ。狂信者から狙われたりする可能性もある。なので、聖女であることは隠す。

 聖女がやられたら俺達が大幅に弱体化するからな。こうして人前にも出したくないくらいだ。今も不意打ちで浄化が飛んできたりしないよう警戒させている。


「皆さん安心してください!私もかけてもらったことがあるので大丈夫です!体の調子が良くなりますよ!」

「船に慣れていない人のためだから大丈夫だよ~!」

 ヨーラムさんとヨーコちゃんが皆を安心させるために、呼びかけている。

 生きている人には聖女の光魔法が使えるので、状態異常を防ぐ魔法で船酔いも予防できるし、防御を大幅に上げて怪我を予防することもできる。ついでに病気や怪我なども治して、人気取りをすることにした。


 適当に並ばせて聖女がユニークスキルを使いながら魔法をかけた。

「おお~!」「体が楽になった!」「怪我が治った!」「何も起きないぞ?」

 怪我や病気が治って喜んでいる人がいる一方で、やはり敵意がある者がいたようだ。


 配下達が聖女の魔法がかからなかった者を横に集めた。5人だな。思ったより少ない。いやヨーラムさんが大丈夫と判断した人達のはずだから少ないのは当然か。逆に言えばヨーラムさんに敵意を隠していた人が5人もいたということだ。


「先ほどの魔法は、ギルバーン様に敵意がある者にはかからないようになっている。」 騎士団長が説明した。

「え!?」「そんな!」「ち、違う!」 敵意を見抜かれて動揺しているようだ。

「君たちに何かするつもりは無いので、安心してほしい。ギルバーン様の状況では敵意を向ける者がいるのは当然だと思っている。ただ、この船には乗らないことをお勧めする。」

 ヨーラムさんが集めた人に何かするわけにもいかないので、敵意があっても収納して配下にしたりはしない。基本帰ってもらうだけだ。敵意があるだけでまだ何もしていないしな。


「い、いや、俺は違うぞ!連れて行ってくれ!」

 行きたがっている者もいるな。怪しい。スパイかもしれない。・・・いやそうとは限らないか。視察団から追い出されたら立場が悪くなるとか、家族に見てくることを約束してしまったとかかもしれないからな。

「強制ではないので、領地に行きたいというなら船に乗ってもかまわない。ただ、私はギルバーン様の配下アンデッドだ。結果を隠すことなく全て報告する。敵意があると判断された者がどうなるかはギルバーン様次第だが、おそらく私の同僚になるだろう。それで良ければ歓迎する。」

 ・・・うむ。アンデッドにすると言っているな。いやヨーラムさんの連れて来た人だからアンデッドにするつもりはないぞ。まあ辞退させるための脅しだろう。

「そ、それは・・・、」

「安心したまえ。我々は町の人の半数くらいは、ギルバーン様に敵意があると考えている。ギルバーン様の領地に来たりしなければ、何かすることはない。今回は残ると良い。今後考えが変われば、また同じように確認すれば問題なく領地に来られるようになる。」

「わ、わかりました・・・」

 どうやら引き下がったようだ。ヨーマ君の船の方もあるので、絶望したりはしていないようだ。その辺はヨーラムさんがうまく説明しているのだろう。


 ヨーラムさんや他の視察団の人達は微妙な表情でやりとりを見ていた。見せるのも微妙な気がしたが、隠れてコソコソすると疑われるからな。堂々と見せた方が良い。



 視察団は馬車に荷物を載せて船に乗り込んだ。

 馬車は人間配下につないで収納した。町でオークを出したら騒ぎになるからだな。レベル上げをしたので人間配下でも問題なく馬車を収納することができるようになった。オークの方が大きい馬車を収納できるけどな。



 港を出発してしばらく進み、町から離れ、日も沈んできたので、いよいよカイザーとギルバーンの登場だ。


 視察団にカイザーやギルバーンも見せる。見に来た相手に隠すと疑われるからな。全員が甲板に出ると狭くて危ないので半数は船室で休んでいる。


 カイザーとギルバーンは近くの森に待機させているので、遠隔命令のスキルで呼び寄せる。

「ギルバーン様がこの船にお越しになります。空から来ますので、その辺りに着地してもらいます。ご注意ください。」 配下が視察団に説明している。視察団の人達も緊張しているようだ。


 やがて空から大きな黒い物が近づいてきた。暗いのでよく見えないが、船に近づくと船の明かりで、ドラゴンであることが分かるようになる。


「ひえー!」「ほ、本当にドラゴンだ!」「あわわ」 ザワザワ


 視察団も騒いでいる。

 そしてドラゴンから黒い影が船に向かって飛び降りた。

 風蛇を巻き付けたギルバーンだ。


 ゴウ!と巻き上げるような強風が吹く。


 大蛇を巻き付けた悪い魔法使いが、ブワリとローブをたなびかせながら船の甲板に着地した。

 ギルバーンは様々なアクセサリーと金の刺繍の入った黒いローブを身に着けていて、いつもより豪華な装備だ。人前に出る時のために配下が用意していたものだ。風蛇が巻き付いているのも良い感じだ。悪役のボスっぽくて雰囲気がある。いや悪役にはなりたくないんだが。


 配下達が一斉に跪く。

 視察団は完全に空気に飲まれて固まっている。怖いのだろう。脅しすぎただろうか?


「ふうむ。出迎えご苦労。こやつらが我が闇の王国の最初の民か。我は闇の王ギルバーンである! くくく。何、恐れずとも良い。逆らえば容赦はしないが、従うのであれば良い目を見させてやろうぞ。さっそく我が最初の領地へ向かうとするか。フハハハハハ!」


 視察団と挨拶したりする気もないようで、すぐにカイザーが船を浮かせて領地に向けて飛び立った。


「うわー!」「と、飛んでるぅ!!」「あわわわ!」 視察団も大騒ぎだ。挨拶どころじゃない。


 しかしギルバーンがまた適当なことを言っているな。闇の王国ってなんだよ。そんなの聞いていないぞ。まあ不自然じゃない振る舞いを指示しているから自然と出た言葉なのかもしれないが、勝手に変な王国作るなよ。・・・ギルバーンをトップにするのだから仕方ないか。諦めよう。


 ちなみに俺達はギルバーンに跪くのは嫌なので隅の方で立って見ていた。操船や見張りなどの配下も立っていたので大丈夫だろう。皆驚きと恐怖でこっち見ている人なんていなかったしな。



 その後、視察団の人達が落ち着いたところで、ヨーラムさんが代表として形だけギルバーンに挨拶をしたようだ。ギルバーンは船長室でふんぞり返っている。

 何か今後もこんなことが続くと思うと微妙な気持ちになるが、まあそのうち慣れるだろう。


 数時間空を飛び魔の森の奥の領地についた。夜も遅いので、視察団に軽食を出して部屋を割り振りその日はすぐに寝た。



 とりあえずは、うまくことが運んだがどうなることやら。


 平和な暮らしを実現するには、まだまだ先は長いな。

 俺は空に浮かぶ夜の月を眺めながらため息をついた。




 


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