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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
第四章

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第74話 権力者


 ヨーラムさん達も戻ってきたし、もうすぐレイライン王国の占領軍が来るという情報を得たので、俺達の拠点にいつものメンバーで集まって会議をすることになった。ヨーラムさんと会うのも久しぶりだ。


 俺達は挨拶をしつつお互いの無事を喜び合った。

「ヨーラムさん無事でなによりです。首都は大丈夫でしたか?」

「はい。ご支援いただきありがとうございました。ユージさんの支援のおかげで無事に脱出することができました。首都は混乱していましたが、幸い占領軍は無関係な一般市民には特別手出ししてきませんでしたので、一般市民は家に隠れて大人しくしていたため、関係者以外には大きな被害は出なかったようです。」

 これは俺も配下から聞いていたが、占領軍側が圧倒的だったため、町が火の海になったりはせずに済んだそうだ。実力が拮抗していたらもっと被害が大きかっただろう。奇襲したとはいえ、ここまで一方的だったのは恐らく日本人がいるためだと思われる。近づくのは危険すぎるので、詳細情報は手に入っていない。配下が捕まって俺が暗躍しているのがバレると危険だからな。

「それで、占領軍が来るまでに避難は間に合いそうですか?」

「・・・それが、首都では我々だけでなく我々と良く取引していた顧客まで捕縛対象となっていまして、それを聞いて避難希望者がかなり増えてしまいました。現在希望者は300人ほどいて、まだ増える見込みです。我々の船だけでは占領軍が来るまでに避難が終わるか分かりません。いえ、恐らく終わらないでしょう。」

「・・・そうですか。」

 それはマズいな。ヨーラムさんのことだから避難が終わるまで逃げたりしないだろうしな。

「俺からも報告があるっす。避難先の島は小さい島なので、あまり大人数の避難者が来ることに難色を示しているっす。避難者に追手が出されて巻き込まれることも恐れているようっす。今回送った人は、水中工事を行うということで仲介してくれた商人の説得で何とか受け入れてもらえたっすけど、これ以上避難者を受け入れさせるには何か他にもメリットの提示が必要そうっす。」

 ヨーマ君はいつもの口調に戻ったな。ヨーラムさんが戻ってきて心に余裕が戻ったのだろう。

 しかし島への避難も厳しいとなると、やはりここは俺の出番だろうな。一応ヨゾラさん達にも確認だ。

「ヨゾラさん、ユリアさん、俺達も協力するってことで良いですよね?」

 こういう時のことは二人と話し合っていた。

 ヨーラムさん達はしっかり計画も立てていて自分達だけでやるつもりのようだし、俺を恨んでいる人もいるので、ヨーラムさん達だけでうまくいきそうなら人手とお金だけ出して静観して、ヨーラムさん達だけでは厳しそうだったらカイザーシップを使って協力しようという話をしていた。

「ええ、もちろんよ。今回は出し惜しみ無しで全力で協力しましょう。」

「はい。賛成です。」

 二人も協力に賛成のようだ。全力ということは新拠点も避難に使うということだな。島に避難できないなら必要だろう。

「実は数日前に新たな乗り物を手に入れまして。」

「新たな乗り物ですか?」 まだヨーラムさんとヨーマ君は知らないだろう。

 ヨーコちゃんは知っているが、俺から伝えると言って黙っていてもらった。もちろん使う予定が無くても教えるつもりだった。単に俺から伝えたかっただけだ。自己満足のためだな。まあそれはいい。

「はい。カイザーシップと言います。先日船を手に入れまして、実験したところ、カイザーは船を持って空を飛べたんです。ヨーマ君の大型船は無理ですが、中型船までなら飛ばせます。今持っている船なら、荷物を俺が収納すれば、一度に100人は運べますよ。」

「船で空をですか・・・」 ヨーラムさんは驚いている。

「船ごと飛べるんっすか?!」 ヨーマ君も良いリアクションだ。

「魔の森の奥の拠点にも念のため避難用の宿舎を建てていました。足りなければ船が三隻あるのでしばらく船に住んでもいいですし、増設もすぐにできるので、避難場所にできます。」

 新拠点には平屋のワンルームアパートみたいなのがすでに何棟も建っている。トイレや台所は共用の簡易な建物だ。

「さ、さすがユージさんですね・・・それは凄い。」

「確かにあの速度で建てられるなら、大丈夫そうっすね。」 ヨーマ君は俺達の家を建てる速度を直接見ているからな。とりあえず住めれば良いレベルのアパートなら1日もかからない。レベルも上がって動きも速いし力もあるからな。建築資材の用意も大分楽になった。木材の乾燥を大魔導士に練習させたら魔法でうまくできるようになったからだ。魔物の水猿だとイマイチうまくできていなかったからな。水猿でも期間短縮はできていたが。


「植物魔法使いに農業をさせていますので、食料も用意できます。食べられる魔物を狩ってもいいですし、数百人くらいであれば問題ありません。」

 農業を試してみて分かったが、高レベル植物魔法使いはチートだ。いや正確には高レベル植物魔法使いと無限魔力の組み合わせがチートだ。高レベル植物魔法使いは、種さえあればほとんどの植物を育てられるが、成長速度を上げれば上げるほど、環境が合わなければ合わないほどMPを消費する。普通であればMPが足りないので多くの作物を作ることはできないが、無限魔力があれば色々な作物が即座に収穫できる。大量の食糧を生産可能だ。町一つ分くらい余裕だ。内政チートができる。まあ即座といっても魔法は多少時間がかかるし、大魔導士をはりつけなければいけないので、限界はあるだろうけどな。内政する予定もないしな。

 色々考えると大魔導士の無限魔力は、戦闘用と見せかけて内政チート向きなんだろうな。


「なるほど・・・」 ヨーラムさんは難しい顔で考え込んでいる。

 問題は無いと思うがどうかしたのだろうか?

「何か問題ありましたか? 安全面も魔物が一切出ないので問題ありませんが。」

「いえ。安全面が問題無いことはヨーマから聞いています。・・・ただ、ユージさんを良く思わない人もいるので、連れて行って大丈夫かということと、嫌がる人も出るだろうと思いまして・・・」

「・・・それは、確かにそうですね。」

 俺やギルバーンを恨んでいる人がいるんだったな。そういう人を連れて行くと問題を起こしたりスパイになったりするかもな。それに単純に魔の森の奥なんて行きたくない人も多いだろう。安全だと言っても俺達が信用できなければ拒否するだろうし。

「それについては俺っちに一応案があるっす。ただ、ユージさんの協力が必要ですし、あまり良い案ではないかもしれないんっすけど・・」 ヨーマ君が言った。

「できることはするつもりだから、とりあえず言ってみてくれ。それにこちらで改善案が思いつくかもしれないし。」

「はいっす。避難する島はスブ島って言うんっすけど、一応ゴルドバ商業連合国に所属しているので、いずれ島にも占領軍が来るのではないかと恐れているみたいっす。占領軍が来たらドラゴンで追い払う約束をすれば、避難民の受け入れをしてくれるかもしれないっす。ただ、証明するためにドラゴンを見せにいかないといけないっすし、占領軍の動向を見張る必要があるっすから、ちょっとユージさんの負担が大きいかもしれないっす。」

 なるほど。島も占領軍に支配されるのは嫌なんだな。レイライン王国は評判が悪いからな。関税も高いし、その他の税とか色々商人に不利な国らしい。

 しかしカイザー出撃はまあいいが、問題は勝てるのかと、ギルバーンのドラゴンになっているから対外的にどうするかというあたりが気になるな。偵察は配下を潜入させておけば何とかなるかな。

「さすがにそれはユージさんの負担が大きいし、ユージさんにメリットが無いんじゃないか?」 ヨーラムさんが言った。

 ・・・確かに俺のメリットがないな。カイザーを出撃させてまで守ってもただ働きだ。一時的であればヨーラムさんに恩を返すということで良いが、長期間となるとな。

「それなんっすけど。一応考えはあるっす。これもちょっと言いづらいんっすけど・・・」

「変な話でも別にかまわないから、とりあえず言ってみてくれ。」

「じゃあ言うっすね。いずれユージさんがスブ島を支配すれば良いんじゃないかと思うっす。」

「ええ?!」「支配?!」「どういうこと?」 皆も驚いている。

 俺が島を支配ってなんだ?!

「支配だと言い方が悪かったっすね。領有して領主になってはどうかと思うっす。スブ島が占領されたくないと言っても近くに守ってくれる国はないっす。守れるのはユージさんしかいないっす。そうなればユージさんに従う必要があるので、いずれはユージさんの物になるっす。ユージさん達の能力だと、どこに行っても権力者と揉める可能性が高いので、ユージさん達が権力者側になった方が良いと思うっす。ユージさんの能力なら、どこにでも町が作れるし、魔の森の海沿いに貿易の中継地点となる港町を作ることも可能っす。ユージさんが領主になれば多くの人が助かるっす。ユージさんの能力は凄く権力者に向いている能力だと思うっす。」

 ヨーマ君は一気に言った。

 軽い口調とは裏腹に真剣な表情だ。本気の提案なのだろう。さすが狐目の男だ。やはり腹黒いことを考えていた。・・・別に腹黒くはないか。

 しかし、俺が権力者にか・・・、まあ確かに俺の力なら可能性はあると考えたことはあったが、面倒そうなのでなる気は無かった。ただ、俺の能力だとどこに行っても権力者と揉めるというのは、そのとおりかもしれない。実際今までそうだった。それを改善できるなら一考の余地があるな。しかし権力者になるなんて面倒そうなんだよな。どうするか。

「・・・私もヨーマの意見には賛成です。考えましたがユージさんが権力者側にいることで、様々なことがうまく行く可能性が高いです。もちろん無理になるものではありませんので、ユージさんの判断次第ですが・・・」

 ヨーラムさんも賛成か。ということは良い案なんだろうな。しかし今ヨーラムさんは権力者側にいれば良いと言ったよな。つまり俺が権力者じゃなくてもいいんじゃないか? そういうことなら良い案がある。


「分かりました。ギルバーンを権力者にしましょう。」 俺は言った。


「ええ?!」「ギルバーンを!?」


 俺は今ギルバーンの弟子ということになっている。それを実はギルバーンは俺の配下で俺がトップだと言っても、言っただけでは信じない者も多いだろう。証明して見せることも可能だが、ネットや動画なんて無いので、疑う相手に毎回証明して見せなければならない。そんなことに時間をかけていては色々な物事の成功率が下がってしまうだろう。何より面倒くさすぎる。その点、すでに名の通っているギルバーンをトップに置けば色々スムーズだし、何より面倒ごとや憎まれ役を全てギルバーンに押し付けることができる。何か大きな失敗をしてもギルバーンに全部被せれば良いし。考えれば考えるほど良い案だな。

 俺は公務員時代に培った責任逃れ思考をフル回転させて考えた。

 ・・・ダメな公務員の基礎スキルだな。まあ日本と違って責任を取るイコール俺達全員の死とかになりかねないからな。逃れられる責任は逃れたい。


「・・・なるほど。確かに今の状況ですとその方が話が早いですし、リスクも低いかもしれません。」 ヨーラムさんも賛成してくれるようだ。

「・・・そうっすね。長い目で見たらユージさんの方が良い気もするっすけど、軌道に乗るまではその方が成功率は高いかもしれないっす。」 ヨーマ君はできれば俺がよかったみたいだが、とりあえず賛成のようだ。


「ヨゾラさん達はどう思いますか?」 女性陣にも聞いておこう。

「いいんじゃないかしら。ユージが王になりたいとか言い出したらどうしようかと思ったわ。」 ヨゾラさんが言った。

 ヨゾラさんはギルバーン作戦に賛成なようだ。まあ、「新世界の王になる!」とか言うほどの情熱は俺にはないのは分かっているだろう。日本人なら権力者にあまり良いイメージは無いだろうしな。

「私はユージさんが王で良いと思いますが、本人の希望優先ですね。」

 ユリアさんは、消極的賛成だな。

 俺を王にしたいのだろうか? よく分からない。まあアンデッドが王になるのが嫌なのかもな。この世界の人には王は特別っぽいからな。

「私はギルバーンではなく、ユージさんにお仕えいたします!」 ヨーコちゃんが言った。

 最近ヨーコちゃんは聖騎士なりきりごっこをしている。ギルバーンはお気にめさないらしい。

 ・・・ごっこだよね? 本気じゃないよね? ヨゾラさんに任せてあるが不安だ。


 しかし権力者にすると言っただけで王にするとまでは言っていないが。国を作る気なのか? まあ話の流れ的に国になる可能性も十分ありそうではある。あまり話を広げたくはないのだが。



 とりあえずギルバーンを権力者にすることで話がまとまったので、会議は一旦終了となった。

 ヨーラムさんは、魔の森の新拠点に連れて行く人への説明や説得と連れて行かない人の選別作業を行う。

 ヨーマ君は島への避難第二陣の航海準備と島の説得の準備だ。

 俺は・・・思いつかないので、まずは配下と相談だな。新拠点の整備あたりだろう。



 俺は新たな展開に頭を抱えながら行動を開始した。 

 早く平和な暮らしを手に入れてダラダラしたいものだ。




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