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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
第四章

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第72話 ダメ男でいいや


 次の日、皆で集まって定期連絡を聞いた。

 新たな情報はこれだ。


 レイライン王国はゴルドバの首都を占領した大義名分を発表した。

 その内容は、ゴルドバは今まで魔王の手先であるギルバーンの討伐軍を拒否しており、ゴルドバ首脳部や関係者は魔王に協力した重罪人である。その重罪人を捕らえ魔王の野望を阻止するために攻め込んだ。というものだ。

 そしてゴルドバの首脳部の大商人、討伐軍の拒否に協力した役人、アンデッド事業関係者は重罪人とされた。


 今日の情報は以上だ。


 一応ギルバーン討伐軍という体裁はまだ保っているようだ。

 確かにギルバーンを魔王の手先と認定したなら、ギルバーンの協力者はみんな魔王の協力者になるのかもしれないが、国の首脳部全員を魔王の協力者扱いするのは無理があるよな。占領する口実にしているだけだろう。


 配下に確認すると、やはりゴルドバを奪うための建前だそうだ。各国も当然分かっている。

 だた、こういった建前はかなり重要らしく、ちゃんとした建前があると、敵対者が降伏しやすいし、微妙な立場の者が逆らいにくくなるし、逆らった者を処罰しやすくなるそうだ。

 意外とやっかいらしい。


 しかしアンデッド事業関係者が全員重罪人というのは非常にマズいな。ヨーラムさんの商会の従業員はもちろん、俺と契約した商業ギルドも対象になる気がするし、ヨーラムさんの付き合いや相手の判断にもよるので、どこまで広がるのか予想できない。


「ヨーマ君、罪人とされる範囲が曖昧だけど、ヨーラムさんとはどこまでの人を避難させることにしているんだ?」

「被害を受ける可能性があって、避難を希望する人全員です。」

 最大限全員ということか・・・ヨーラムさんらしいがどれだけの人数になるか分からないな。

「それはかなり人数が多くなる可能性があるけど大丈夫なのか?」

「・・・この状況だと、うちの財産を全て売り払って船の購入や避難費用にあてることになると思います。こういう場合の段取りもしてあります。」

 店をたたむ覚悟をしているんだな・・・いやどちらにせよこの国では商売は続けられないから当然か。商売を続ける場合は他国に行くしかないだろう。

「そうか・・・費用や人手は俺も出すよ。」

「いえ、人手はアンデッドを出していただけると助かりますが、費用はこちらで出します。ユージさんが会ったこともない人をこちらの判断で助けるので。」

 避難するのはほとんど俺のせいだから、俺が出すのは普通だと思うが、何か意志が固そうな感じだな。ここで押し問答してもしょうがないか。俺も見ず知らずの人を絶対に助けたいとか言うほど善人でもないしな。

「じゃあ、もし足りなかったら無利子で貸すから言ってくれ。と言ってもうちの蓄えも大した金額じゃないかもしれないが・・・」

 執事長に聞くとかなりの大金があった。大きな船を買うこともできるそうだ。

 日常的に配下が勝手に金を稼いでいるし、珍しいAランク魔物を複数売ったりもしている。それに俺達はあまり金を使わないからな。貯まっていたようだ。

「・・・ありがとうございます。足りなかったらお願いします。」

 借りることには納得したらしい。商人だからな、金を借りて何かをするのは商人なら当たり前だからだろう。ヨーマ君なら将来的には余裕で返せるだろうしな。


 ヨーマ君は避難準備に向かっていった。


 避難がうまくいくかちょっと不安だったので、執事長に聞いてみると、この状況では財産を処分して逃げようとする人は多いので、安く買い叩かれてしまい費用が足りるか怪しかったそうだ。俺が貸せば問題ないので良い判断だそうだ。

 珍しく執事長に褒められた。俺も中々やるようになったということだな。



 そしてさらに10日ほどが経った。


 追加情報はこんな感じだ。


 レイライン王国は、ゴルドバの統治機関は修復不可能なレベルで魔王の手先に汚染されているため、ゴルドバを解体してレイライン王国がこの地を治めると発表した。

 ゴルドバの残存勢力が国の北側で首都奪還のために集まり始めた。

 ギルバーンの協力者として捕まった者は拷問されたり処刑されたりしている。

 配下達の支援もありヨーラムさんが無事に首都を脱出できた。

 ヨーマ君は避難の準備を終えた。



 レイライン王国の動きは予想どおりだ。

 このままゴルドバを自国の領土にしたいのだろう。

 残存勢力の動きもまあ当然だな。恐らく日本人集団には勝てないだろうが、粘ってくれればこちらに敵が来るのが遅くなるので、がんばってもらいたい。

 捕まった者が拷問されたり処刑されたりすることも、残念ながら予想どおりの流れだ。やはり関係者は国外に避難するしかないな。


 ヨーラムさんは脱出するまでかなり時間がかかったが、どうやら首都出身の従業員が避難するかどうかで揉めていたからのようだ。捕まった者たちが処刑されたのを見てようやく避難する方向で意見が纏まったらしい。なので、ヨーラムさんはまだレバニールに到着していない。

 カイザーゴンドラで迎えに行こうか確認したが、ヨーラムさんは20人ほどの人を連れているらしく、大規模な追手は来ていないし、中には俺に対して良い感情を持っていない者もいるという理由で断られた。

 ヨーラムさんの商会の従業員だからといって必ずしも俺の味方になるというわけではないらしい。考えてみれば当たり前だ。現実には会社の社員が全員味方なんてことは滅多に無いからな。それに俺を恨んでいる者がいて当然の状況だし。

 ヨーマ君が俺が直接避難を手伝うことを望んでいないのも、恐らく同じような理由だろう。俺を恨んでいる者がいるから俺が顔を出すと争いや混乱が生じるのだと思う。・・・心が痛くなってきた。


「ヨゾラさん。心が痛いです・・・」

「もう、急にどうしたのよ。仕方ないわねぇ。」

 色々考えると精神的に辛くなったので、ヨゾラさんに慰めてもらった。

 ヨゾラさんは俺が自信満々で堂々としている時は厳しい態度をとるが、弱って情けない態度の時は俺を甘やかしてくれる。なので俺もついつい情けない態度で甘えてしまいがちだ。

 このままではダメ男になってしまう。しかし分かっていてもやめられない。まあいいかという気持ちにさせられてしまった。

 ・・・ヨゾラさんはダメ男製造機の素質があるのかもしれない。

 しかしどうしようもない。ダメ男でいいや。



 ヨーマ君は、中古の大型貨物船を購入した。普通はすぐに買える物ではないが、もともとアンデッド事業の利益で貨物船を購入する予定だったらしく、逃げなければいけない事態も予想していて購入が早まっても良いような契約をしていたそうだ。おかげで足元を見られずに適正価格で購入できたらしい。

 操船は海賊や船員のアンデッドが担当する。そして航海士は、南東大陸と貿易をしている付き合いのある商人から、避難先の島でアンデッド水中事業を行うという約束で、経験者を借りることができたそうだ。避難準備と同時に避難先での仕事も確保したらしい。

 そして今回購入した船で今後は貿易も行うのだろう。さすが夢のために国を出てきた攻めの商人だな。転んでもただでは起きない。

 ヨーラムさんと一緒に立てた計画だと思うが、ヨーラムさんがいなくてもしっかり計画を実行できている所を見ると、ヨーマ君もかなりのやり手のようだ。普段は軽い感じの口調に胡麻化されているが、きっと裏では非情なことも平気でやるのだろう。それが狐目の男というものだからな。・・・多分偏見だ。


 捕まると拷問されたり処刑されたりするという情報を聞いて避難希望者はだいぶ増え、大型貨物船でも一度には運べない人数になってしまったので、ヨーマ君はヨーラムさんの到着を待たずに100人ほどの避難者を連れて出航していった。ヨーマ君を頼らず自力避難する人も多いので、実際の避難者はさらに多いそうだ。



 とりあえず俺はヨーラムさんが無事に戻ってこれそうなことに安堵しつつ、待っている間にできることを考えた。


 そして思いついたことを試してみることにした。




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