第68話 ヨゾラさんに相談
ヨゾラさんと一生一緒にいる約束をした日の夜、嬉しさと恥ずかしさでおかしくなってしまっていたが、落ち着いてくると、ユリアさんとヨーコちゃんのことも気になってきた。
別に変な意味ではない。
二人も俺と一緒にいてくれるかどうか、確認した方が良いのではないかと思ったのだ。
俺と一緒にいると世界の敵に認定されてしまう可能性がある。それでも仲間でいてくれるのか本人の意志を確認しておきたい。
流れ的に一緒にいてくれるとは思うが、ヨゾラさんにはしっかりと意志を確認しておきながら、二人には何も聞かずに成り行きで一緒にいるのは、同じ仲間なのに扱いが違いすぎて問題があるような気がする。
人生を大きく左右する選択だから、仮に結果が同じだったとしても、しっかりと自分の意志を示す機会が用意されたかどうかは、今後の信頼関係にも影響するかもしれない。
とはいえ今すぐ俺が聞きにいって大丈夫かは自信がないので、ここはさっそく人生のパートナーとなったヨゾラさんに相談しに行こう。
人生のパートナー。良い響きだ。俺にそんな相手ができる日がくるなんて。日本にいたころではとてもじゃないが考えられなかった。やはり強くなったり死線を潜り抜けたりして自信がついたのが良かったのだろう。ちょいイケメンにもなったしな。もう俺は昨日までの非モテだった俺ではない。今なら愛のパワーで何でもできる気がする!
・・・たぶん気のせいだな。死亡フラグっぽいし、慎重にいこう。
俺はヨゾラさんの部屋の前まで来た。夜だがまだ寝ていない時間なので大丈夫だろう。
俺は今までヨゾラさんの部屋に入ったことはない。非モテの俺には付き合ってもいない女性の部屋に入るのはハードルが高すぎてチャレンジすらしていなかった。しかし今なら部屋の中にも入れてくれるはずだ。ちょっと緊張するな。
俺はヨゾラさんの部屋をノックして声をかけた。
「ヨゾラさん今いいですか?」
「えっ?! ユージ?!」 部屋の中から驚く声が聞こえた。
「ちょっと相談があるんですが。」
ガチャリとドアが開きヨゾラさんが顔を見せた。
「わ、分かったわ。は、入って。」
許可が出たので、ヨゾラさんの部屋に入った。殺風景な俺の部屋と違いかわいい小物が並んだ女性らしい部屋だ。かっこいい系かと思っていたが、意外とかわいい物好きなようだ。
「すみません遅くに、でも早めが良いと思って。」
「い、言いたいことは分かるけど、ちょっと気が早すぎるんじゃないかしら?」 どうやら俺の相談内容を察してくれているらしい。さすが人生のパートナーだ。
「でも時間がたつと言いづらくなりそうなので。」 明日すぐにでも二人に話さないと、時間が経つとどんどん聞きにくくなってしまいそうだ。
「そ、そうよね。わ、私の部屋でいいの?」
「はい。二人きりになれればどこでもいいです。」 まあ話ができればいい。
「どこでもって。もう!」 ちょっと不満そうだが何でだ? まあいいか。
「じゃあさっそくいいですか?」
「え? う、うん・・・」
ヨゾラさんはベッドに座った。俺にそこに座れと言わんばかりにスペースを空けている。
え? ベッドに座って話すの? そこに椅子とテーブルもあるけど。まあ恋人?になったわけだから普通なのか?
俺はヨゾラさんの横に座って、ヨゾラさんに向かって話しかけた。
別に今回は下心があって来たわけではないのに、近すぎてドキドキするな。
「そ、それでですね。」
「あ、ちょっとまって、明かりを消して・・・」
ヨゾラさんは赤くなってうつむきながら言った。
「え? 明かり?」 何のことだ?
「ん?」 ヨゾラさんも俺の反応を見て疑問を持ったようだ。
・・・
「もう一度何しに来たか言ってくれるかしら。」 一瞬の沈黙のあとヨゾラさんが聞いてきた。
「え? いや、ヨゾラさんに相談したいことが・・・」 俺は素直に言った。
・・・またもや一瞬の沈黙が訪れる。
「そ、そうよね。うん。分かっているわ。話を聞きましょう。」 ヨゾラさんは真っ赤な顔で早口で言った。
「も、もしかして、何か勘違いをさせてしまいましたか?」 こ、これはそういう勘違いをしていたのか?
「何言ってるのよ!違うわよ!」 真っ赤になって慌てている。図星のようだ。そんなかわいい態度を取られるとその気になってしまうぞ。さっきの流れはOKという意味だしな。
「あ、じゃあそっちを先に」 俺はその方が嬉しいので大歓迎だ。
「バカ!」 ドス!
「ぐふっ」 俺の腹にボディーブローが。痛い。
「いいから相談とやらを早く話しなさい!」
ううっ。どうやらダメなようだ。俺にもっと女性の気持ちを察するイケメン力があれば・・・先にそっちをできたのに・・・くそう。
まあ俺のイケメン力は今更だ。気を取り直して本題に入ろう。
「相談というのは、ユリアさんとヨーコちゃんのことです。」
ヨーマ君は将来の商売のために俺達についてくると言っていたので意思確認は済んでいる。
「二人の?」 ヨゾラさんはちょっと難しい顔になった。何か気にかかることがあるのだろうか。
「はい。ユリアさんとヨーコちゃんも俺と一緒にいてくれるのか、聞いた方がいいと思いまして。」
「・・・あんたまさか、今さっき私を口説いておきながら、二人にも言い寄ろうってわけ?」 ヨゾラさんは怒りの形相だ。ヤバい。
「ち、違います!誤解ですよ!」
俺は慌ててさっき考えたことをヨゾラさんに説明した。
「・・・ふーん。人生を左右する大事なことだから、ちゃんと意思確認をしたいってことね。」
「はい。」 どうやら分かってもらえたようだ。良かった。
「まあ二人は仲間としてついてきてくれると思うけど、確かに私にあれだけ必死に確認したのに、二人には何も確認しないのは良くないかもね。」 必死とか言われると恥ずかしい。まあ事実だが。
「やっぱりそうですよね。」 とにかくヨゾラさんも同意見なら間違いないだろう。
「私から二人に聞いておいてもいいわよ?」
ヨゾラさんが確認してくれるなら、それもありか? ヨゾラさんがリーダーみたいな雰囲気だしな。
いやでも俺のことがメインだしな。人任せは良くない気がする。
「いえ、世界の敵になるかもしれないのは俺と一緒にいるせいなので、俺が確認します。」
「そう? 分かったわ。でもいなくなってもいいみたいな捉え方されないように、言い方には気を付けなさいよ。」
「分かりました。気を付けます。」 確かに遠回しに出ていけと言われたと勘違いされたら大変だ。仲間でいてほしいということもちゃんと伝えるようにしよう。
「たまにいるのよね。言ってることは間違ってないけど、聞き方や言い方が悪い人。」
「そ、そうですね。」 ぐぅ。過去の失敗の記憶が蘇る。胸が苦しい。
「相談は終わりかしら。もう遅い時間だから・・・って、ちょっと!急にどうしたの?」
「ううっ、ヨゾラさん・・」 黒歴史を思い出してしまった。このまま一人部屋に戻ったら俺の心が危険だ。俺はヨゾラさんに縋りついた。
「あ!こら!・・もう、しょうがないわねぇ」
ヨゾラさんは弱っている時はやさしいのだ。このままヨゾラさんに慰めてもらおう。というかベッドの上で寄り添って話していたので色々もう限界である。さっき実質OKもらっているし良いだろう。
俺達はそのままイチャイチャした。
一人じゃないって素晴らしい。




