第60話 勇者のレベル上げ
勇者を倒した次の日、ヨーラムさん達がやってきた。
ヨーラムさん達は俺達の勝利を喜んでくれた。
ヨーラムさんには、ギルバーンがドラゴンを召喚して勇者を倒したと町に伝えてもらうことにした。
カイザーのことはできれば隠したかったが、ギルバーンがドラゴンを召喚した場面は逃げたアスカさんと斥候が見ているので、ドラゴンの情報が広まるのは確定している。
それなら敵対している両陣営から同じような情報が出れば皆信じるだろうと予想して、あえてこちらからも情報を出すことにした。
そして俺が勇者を倒した場面は見られていない。俺が勇者と戦っている間に配下が他の敵を追撃したからだ。
この状況なら勇者を倒したのはギルバーンだと皆信じるだろう。
ギルバーンは世間では前回の戦いで死んだことになっていたので、ヨーラムさんには真実を説明してギルバーンを出して見せた。ギルバーンは実は生きていたと伝えてもらうので、実際合わせた方がリアルな説明をしやすいだろう。色々聞かれるだろうしな。
レベル上げの件は、まずヨーラムさんだけ試すことになった。他の二人はヨーラムさんが試してみてから決めるそうだ。理由は二人の将来への影響をじっくり考えるためだそうだ。まあ分かる気がするな。いきなり強くなって楽に生きれるようになったら商人を目指すのをやめてしまうかもしれないしな。
ヨーコちゃんを聖騎士にする件はまだ話していない。聖女のレベル上げをするまで聖騎士枠が増えるか分からないからだ。増えなかったら無駄に悩ませてしまうからな。聖騎士の件はヨーラムさんのレベル上げをした後に話そうと思う。その方がどのくらい強くなるか分かりやすいだろう。
ヨーラムさんは、しばらく首都に行って今回の件を確認したり報告したりするので、戻ってきてからレベル上げをすることになった。予定では早くて2週間後くらいだそうだ。
これまでどおりの生活に戻ることを確認して、ヨーマ君とヨーコちゃんをおいてヨーラムさんは帰っていった。
いつもの生活に戻った俺はさっそく皆のレベル上げの準備を開始した。
まずレベル上げ用の亀、カニ、オークを高レベルにする。戦士を覚えさせる作業は時間がかかるが、MPを気にする必要が無くなったので、2日で終わった。
そして予定を変更して勇者からレベルを上げることにした。理由は、俺は人間の上級アンデッドは聖騎士を倒してレベル上げをしたが、聖騎士より勇者のレベルを上げて倒した方が経験値が多いと予想されたからだ。勇者は経験値増加スキルもあるし聖騎士より強くなるだろう。勇者をレベル上げ要員にした方が良い。
そして勇者のレベル上げ結果がこれだ。
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名前 コーキ
種族 上級アンデッドLv64(人間Lv33)
年齢 20
職業 勇者Lv72
HP 14280/48097
MP 5780/26765
身体能力 141
物理攻撃 8871+200
物理防御 8670+1000
魔法攻撃 6801+300
魔法防御 7106+1000
ユニークスキル
英雄闘気
スキル
聖剣召喚
聖鎧召喚
経験値増加
光魔法
マジックウエポン
思考加速
ブレイブハート
シャイニングブレイブスラッシュ
限界突破
暗視
再生
死体喰い
状態
ユージの配下
聖女の加護
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・・・俺より強くなった。
計算上、アンデッドなので経験値増加があっても俺の半分ちょっとしか経験値が入っていないはずなのに。1点集中した方が強いというのは本当だったらしい。まあ勇者が特別強いだけかもしれないが。
素のステータスはカイザーより低いが、スキルや装備を使えばカイザーより明らかに強いだろう。
新たに覚えたスキルも強い。
シャイニングブレイブスラッシュ 消費MP500
輝く斬撃を飛ばす勇者の必殺技。防御や耐性を無視してダメージを与える。
限界突破 消費MP1000
物理攻撃、物理防御、魔法攻撃、魔法防御を一定時間2倍にする。クールタイムあり。
英雄闘気と聖剣の効果とあわせれば、物理攻撃と魔法攻撃は、2×2×1.5で6倍だ。フル強化時の勇者のステータスを計算してみよう。
HP /95194
MP /26765
身体能力 282
物理攻撃 53226+200
物理防御 34680+1000
魔法攻撃 40806+300
魔法防御 28424+1000
・・・もうこいつがいれば俺達ががんばらなくても魔王を倒せるんじゃないか?
この前の俺達の決意は何だったのか。まあ魔王に勝てそうなのは良いことだけども。
・・・いやもしかして魔王はもっと強いのか? ・・・さすがにそれはないと信じたい。
しかし勇者は戦士を覚えなかったな。
聞いてみると、今までレベル上げは主にユニークスキルで行っていて、魔物と戦う時は仲間のレベル上げを優先していたそうだ。しかも国に見つかった後は、政治的な仕事が忙しくてあまり魔物と戦っていないらしい。
まあ上級アンデッドは人間より必要な討伐数が多いしな。おかしなことではないか。
戦士の強化スキルを覚えればさらにいくつかのステータスを1.2倍にできるから覚えさせようかな。まあ戦っていたらそのうち覚えるだろうからそれまでは勇者のレベル上げをした方がいいか。ユニークスキルを使いまくればレベル上げできるみたいだし。
とりあえず勇者の強さを皆にも伝えることにした。
二人のやる気に水を差してしまいそうだが、言わないわけにはいかない。勇者のレベル上げをすることは伝えてあるので向こうから聞いてくるだろうしな。
ヨーマ君とヨーコちゃんも一緒に5人で夕食をとる時に伝えることにした。基本いつも5人で夕食をとっている。
俺は勇者のステータスを説明した。
「・・・勇者は強いのね。」「・・・凄いですね。」「凄いっす!」「うわぁ!」
やはりヨゾラさんとユリアさんは微妙な反応だ。ヨーマ君とヨーコちゃんは素直に驚いている。
「これならもう勇者だけで魔王を倒せそうじゃない。」 ヨゾラさんはすぐに気を取り直したようで、明るく言った。
「でも魔王がどのくらい強いか分かりませんよ。」 ユリアさんもいつも通りに戻った。
「そうですね。それに魔王は魔物の軍勢を引き連れているわけですから。勇者一人では厳しいんじゃないでしょうか。限界突破のクールタイムも長いみたいですし、勇者の限界突破を温存して魔王の前に辿り着かなければならないんだと思います。」
二人にやる気を出してもらうよう、一応考えておいた俺達が強くなる理由を言ってみた。
「確かにそうね。ドラゴンをたくさん引き連れてきたりしたら私達も強くないと厳しいわね。」 ヨゾラさんも納得したようだ。
「四天王とかいるかもしれませんよ。」 俺も適当に話にのっておく。
「してんのう?」 ユリアさんが聞いてきた。この世界では四天王はいないようだ。
「物語に出てくる魔王の四人の強い幹部の呼び名ですね。実際にはいないと思いますが。」
「魔王と戦った五将軍とか11英雄みたいなものっすかね?」 ヨーマ君が言った。
味方側には似たようなのがいるらしい。
「そうそう、それの敵側の存在だね。」
「今回は私達が11英雄になるってことね。」 ヨゾラさんが言った。
「私達が11英雄・・・」 ユリアさんは何か思い入れがあるようだ。
二人はやる気が戻ったようだな。
「凄いです!がんばってください!」 ヨーコちゃんが元気に応援してくれた。
いや君も仲間入りするかもしれないんだけどね。まだ言えないけど。
まあまだ現れてもいない魔王のことで悩んでも仕方がないので、俺は気楽に行くことにした。
勇者が強かったんだし何とかなるだろう。レベル上げがある程度終わったらまた旅行でもしながらのんびり暮らそう。
俺は次の旅行先を考えながら眠りについた。




