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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
第四章

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第59話 祝勝会


 勇者を倒した日の夜、またひとつ戦いを乗り越えたということで、例のごとく祝勝会を行うことにした。大事らしいからな。


 さっそく新しく仲間にした料理人剣士に料理を作らせ、さっき確認した情報を二人に伝えたりしながら、お酒と料理を楽しんだ。料理人剣士の作った料理は素晴らしく、町の店より美味しく感じた。さすが勇者の料理番だ。勇者の胃袋を掴む役目があったのかもしれない。


 俺から話を聞いたヨゾラさんは、勇者と共に魔王を倒す気満々らしく、ブレイブハートのスキルや無限魔力のことを聞いて魔王戦でも使えると喜んでいた。

 そしてヨゾラさんが意見を言ったのは、聖騎士を一点集中で育てるという話だった。

「じゃあヨーコちゃんを聖騎士にしましょうよ。」

「え? でもヨーコちゃんは商人を目指しているんじゃないんですか? 今も商業ギルド関係で文官の勉強をしているみたいですし。」 ヨーマ君とヨーコちゃんの二人は商人としての経験を積むために家に滞在している。

「ヨーマ君は本気で商人を目指しているみたいだけど、実はヨーコちゃんはここに滞在するために商人になりたいことにしているだけなのよね。」

 どうやら建前だったらしい。まあ薄々そんな気はしていた。

「そうなんですね。俺も実はそうかもしれないとは思っていました。」

「ヨーコちゃんは一応商業ギルドへの就職も候補に入れているみたいですが、体を動かす方が好きみたいで、まだ進路を決めていないみたいです。」 ユリアさんも言った。

 まあヨーコちゃんはいつも元気に動き回っているからな。体を動かすのが好きそうな感じではある。

「私は剣道を教えているけど、ヨーコちゃんは運動神経もいいし、思い切りも良くて、勇気もあるから、戦いの才能があると思うのよね。狐獣人は戦闘にも向いている種族らしいし。」

 確かにヨーコちゃんはカイザーゴンドラも魔物配下も怖がっていなかったな。言われてみれば狐獣人も強そうな気はする。まあどちらかといえば魔法系なイメージだが。

「うーん。でも聖騎士は魔王と戦う時の戦力にしようと思っているんですよね。ヨーコちゃんを魔王との戦いに巻き込むのは良くないんじゃないでしょうか。」

 聖騎士を育てるのは一緒に戦う強い仲間を作るためだ。神官や戦士ならともかく、さすがに聖騎士は親切心だけであげられるほど安くはない。

「あ~それはそうね。確かにヨーコちゃんを命がけの魔王との戦いに参加させるわけにはいかないわ。」

 さすがにヨゾラさんもヨーコちゃんを魔王と戦わせる気はないようだ。

「そうでしょうか。私はヨーコちゃんが望むなら一緒に魔王と戦えば良いと思います。」 ユリアさんが言った。

「え?」 まさかユリアさんからこんな過激な発言が出るとは驚きだ。

「ええ?!」 ヨゾラさんも驚いている。

 いつも微笑んでいるユリアさんが、真剣な顔をしてこちらを見た。

「お二人は、別の世界から来たので理解できないかもしれませんが、魔王と戦う聖騎士というのは、この世界の人なら誰でも一度は夢見る憧れの存在です。もちろん命がけなので嫌がる人も多いでしょうが、命を懸けるに値する、人生を懸けるに値すると考えて、聖騎士になって共に戦いたいと願う人も多いのではないでしょうか。私もお二人に出会えたのは運命だと思っていますし、私もお二人と共に魔王と戦いたいと思っています。そしてこの場に連れてきてくれたことをお二人に感謝しています。」

 ・・・いつの間にかユリアさんは、魔王と戦う決意をしていたらしい。俺はユリアさんの立場では断りづらいだろうから、うまくユリアさんは魔王と戦わずに済むようにしてあげようとか考えていたが、考えが浅かったようだ。

「ユリア・・・」 ヨゾラさんもユリアさんの思いを聞いたのは初めてのようだ。

 この世界の人の思いか・・・ 俺達は一度死んでいるし神の部下に言われているから俺達が魔王と戦うのが当たり前と思っていたが、確かに自分たちの世界を自分たちの手で救いたいと考える人がいるのは当然かもな。むしろ俺達よりこの世界の人達の方が戦う意志は強いのだろう。

「わかりました。本人の意志を聞いてみようと思います。でもヨーラムさんに相談してからでいいですか?」 保護者の許可はとりたいし、ヨーラムさんに嫌われたくない。

 でも娘が魔王と戦うなんて普通の親なら嫌がるよな。それともこの世界では違うのかな。

「はい。この世界の常識みたいに言ってしまいましたが、あくまで私の考えです。ヨーコちゃんは戦いたくないかもしれませんから。ヨーコちゃんが望む場合でもゆっくり話し合ってからにした方が良いと思いますし。」

「・・・そうね。でもユリアが魔王と戦う決意をしていたのは知らなかったわ。この間まで自信なさそうにしていたじゃない。」

 おう・・ヨゾラさんは聞きにくいこともズバッと聞くな。

「ふふふ。ヨゾラのおかげ。昨日までは私は二人の足手まといにならないか不安だったの。でも他の世界から来たヨゾラが魔王を倒すと言ったのを聞いて、この世界を救うのはこの世界の人がやるべきだって思ったの。そのためには私も変わらなきゃって思ったの。だから魔王は私が倒すから二人は無理しないでね。私がんばって強くなるから。」

 どうやらユリアさんが魔王と戦う決意をしたのは今日のようだ。ヨゾラさんが決意したのも今日だしな。余裕がなくて気づかなかったが、言われてみればヨゾラさんが魔王を倒す宣言をしてから、ユリアさんはずっと黙って真剣な顔をしていた気がする。

「もう!何言ってるのよ!私は前の世界では死んで、この世界に生まれ変わったのよ。もうこの世界は私の世界でもあるんだから、私がこの世界のために戦うのは当たり前じゃない!」 ヨゾラさんが言った。

「そうですよ。この世界では前の世界よりも長く生きていく予定なんですから、俺達もこの世界の人間ですよ。一緒にがんばりましょう。」

 俺はこの世界で38年より長く生きてやるからな。

「ふふふ。ありがとうございます。そうですね。一緒にがんばりましょう。」

 ユリアさんはいつもの調子に戻ってほほ笑んだ。


 その後、絆を深めた俺達は和やかな夜を過ごした。



 今日はヨゾラさんとユリアさんが魔王を倒すことを決意した日になった。勇者がアンデッドになった日でもある。もしかしたら今日は世界の命運を分けた日だったのかもしれない。



 俺は色々な不安要素に目を瞑りながら、世界が良い方向に進むことを祈った。





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