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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
第四章

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第57話 勇者と接近戦


 すぐさま正面隊指揮官の副団長が魔物に勇者迎撃の指示を出す。今回は正面隊の指揮官が副団長だ。


 勇者の剣が光り輝く巨大な光の剣になった。巨大な光の剣が振られると魔物が消滅した。


 あれはマズい!たぶん浄化された!

 聖騎士やカイザーがやられてしまう!


「私が出るわ!」 ヨゾラさんが魔法の靴を使った高速機動で飛び出した。

「え!?」 無敵バリアが無効化される可能性もあるのに危険だ!

 くそ!どうする?!

 落ち着け!いくら勇者でも今の俺よりはステータスが低いはずだ。勇者に余裕があるようには見えない。ブレスはかなり効いたはずだ。聖女の支援もあるから俺がやられることはまず無い。覚悟を決めろ!俺も行くぞ!

「俺も出ます!」 ユリアさんと副団長に一声かけて俺は飛び出した。



 魔物を飛び越えるとヨゾラさんが勇者の光の剣を受けたところだった。

 光の剣はヨゾラさんをすり抜け、ヨゾラさんの体の表面は小さな光が無数に発生していた。攻撃を無効化する時に出る光だ。

 よし!勇者の攻撃は無効化できている!なら俺は隙をついて死体収納すればいい!


「なんだお前は!」 勇者が叫ぶ。

「ただの敵よ!」 ヨゾラさんが言い返す。


 俺は光の剣に当たらないように近づいた。


 死体収納!

 チカッと勇者の体が小さく光った。


 くそ!やはり効かないか!連打だ!

 チカチカ光るだけで効果が出ているようには見えない。

 タリスマンとは違う反応だ。連打で突破できない可能性もある。


 ヨゾラさんと戦っていた勇者が俺を攻撃してきたので距離をとりながら躱す。

「こっちの男も強いのか?!」 勇者が焦っている。

 ガキン!

 ヨゾラさんが間に割り込んで勇者の剣を受け止める。根元は本物の剣なのですり抜けないようだ。

「くっ!攻撃が効かない女というのはお前か!」 勇者が叫ぶ。

「どうかしらね!」

 やはりヨゾラさんのことは知っているようだ。

 光のオーラを纏っていて分かりづらいが勇者は結構ダメージを受けているように見える。ブレスの影響だろう。ヨゾラさんではあまりダメージが与えられないようだが、俺の攻撃ならいけるかもしれない。攻撃してみよう。

「はあっ!!」 ヨゾラさんと打ち合っている勇者に対して、俺は全力で突進しながら槍で突いた。

 俺の槍の技術ではこの高速戦闘で難しい技は無理だ。とにかく敵の体の中心を全力で突く。

「ぐは!!」 勇者はかろうじて反応したが、鎧の隙間のわき腹を抉られて血を流しながら距離をとった。ヨゾラさんがすぐに追撃する。

 よし!貫通ダメージが入った!いける!

「クソ!せめてドラゴンだけでも!」

 勇者は方向転換して囲んでいた配下の魔物を飛び越えカイザーに向かって走り出した。

「あっ!待て!」 ヨゾラさんがすぐに追いかける。

 俺も慌てて追いかける。カイザーをやられるわけにはいかない。俺の方が速いのでヨゾラさんを追い越した。勇者はカイザーだけ倒して逃げるつもりかもしれない。


 前方を見ると勇者に気づいたカイザーが尻尾を振って勇者を攻撃しようとしていた。

 勇者は巨大な光の剣を振り上げて向かっていっている。避けようとしていない。尻尾を斬るつもりかもしれない。そのままカイザーも斬られたらマズいぞ!


 突然黒い塊が飛んできて凄いスピードで勇者にぶつかった。

 ドカ!

「ぐあっ!」


 ノワリンだ!ナイスだ!


 ゴウ!

 唸りをあげて尻尾が振るわれる。

 ズガン!

 ノワリンの攻撃でバランスを崩した勇者は尻尾攻撃をモロに受けて吹き飛んでいった。

 バキバキ ズザー

 物理攻撃1万越えの尻尾アタックだ。これは勇者も死んだんじゃないか? 

 俺は確認するため勇者が飛ばされた方向に走った。

「ぐぅ・・・」

 近づくと勇者がヨロヨロと起き上がっていた。


 マジかよ!勇者頑丈すぎだろ!でも瀕死なはずだ!やるしかない!


「でりゃあ!!」

 俺はそのまま走っていき、全力で燃え盛る火の魔法槍を勇者の腹に突き込んだ。

 グサッ!ジュウウゥゥ

「ぐああああぁっ・・・・」 勇者の断末魔の叫び声が響く。


 俺の槍は勇者の腹を貫通した。筋肉がビクビクと蠢く感触が槍を通して手に伝わってくる。

「キモッ!!」 俺は嫌な感触に思わず槍から手を放してしまった。

 今まで死体収納で魔物を倒していたから、生き物を刺す感触がこんなにキモいとは思わなかった。レベル上げの時の配下アンデッドは刺されても無反応だったからな。


 そして勇者は倒れて動かなくなった。倒したようだ。


 ・・・よし!勝った!


 俺は倒れ込んだ勇者に念のため状態把握のスキルを使ってみる。HPがゼロになっていたが一応まだ生きているようだ。

 ・・・しかし腹に燃える槍が突き刺さっている。このまま死んだらゾンビにしかならないだろう。


 俺は慌てて火の魔法槍を抜いた。ドバっと血が出てきた。ヤバい。俺はハイヒールの魔法をかけた。だが血が止まらない。死んでしまう。抜かない方が良かったかも。でも槍は燃えているし。

 俺は周囲に敵がいないこと確認して聖女を出した。

「こいつを治療しろ!」 すぐに聖女に治療を指示する。

 聖騎士が近づいてきたので、周囲警戒は聖騎士にまかせて治療を見守った。

「勇者を倒したの?」 ヨゾラさんもやってきた。

「ええ何とか。今配下にするために治療しているところです。」

 聖女が魔法を使うとみるみる傷がふさがり、綺麗に治った。


 俺がホッと胸をなでおろし安心していると、聖女が言った。

「勇者のHPが満タンになりました。いつ起きてもおかしくありません。」

「ええ?!」 ヨゾラさんが驚きながら武器を構えた。

 確かに俺の状態把握でも勇者のHPは満タンになっている。死んでいなければすぐに復活させることができるようだ。さすが聖女だな。


 いやヤバいじゃん!起きたらまたバトル再開だよ!とりあえず死体収納だ!


 死体収納!

 ギン! 小さな光とともに弾かれた音が聞こえた。


 防がれたが、これはさっきと違う反応だな。タリスマンと同じ反応だ。タリスマンを探してはずそうかな。いや触ったら起こしてしまいそうだ。連打してみよう。


 死体収納!死体収納!死体収納!・・・・・

 ギン!ギン!ギン!・・・・


 連打すると無事勇者を収納できた。


 今度こそ勇者を倒せたな。

 ・・・よく考えたら武装解除して生かして拘束するという手もあったような気がする。もう遅いが。いやユニークスキルを持つ強い相手はうまく拘束できるか分からないか。リスクが高いだろう。危険をおかしてまで生かしておく必要はないな。


「今度こそ倒せたようね。」 ヨゾラさんが構えを解いて言った。

「そうですね。勇者は予想以上に強かったです。」

「そうね。でもユージはスキルを全然使ってなかったじゃない。スキルを使えばもっと楽に倒せたんじゃない?」

 そういえば俺はスキルを色々覚えたのに全然使っていない。慣れない接近戦にいっぱいいっぱいで、すっかり忘れていた。まあ昨日覚えたばかりのスキルをいきなり実戦で使うのは俺には無理だ。

「昨日覚えたばかりで、まだ一切試していなかったので・・・早めに練習しておきます。」

 まあ前から覚えていたホーリーウエポンとかは使っても良かったかもしれない。あと物理攻撃強化とか動きに影響ないスキルは使った方が良かったな。次からは気をつけよう。

「確かに実戦で初めて使うのは危険ね。まあ勝てれば良いわ。あと他の敵はどうなったのかしら。」


 横にいる聖騎士に聞くと俺達が勇者と戦っている間に人間部隊は敵の残党狩りを行っていたらしい。

 俺達がヤバかったのにそれはどうなんだと思ったが、カイザーはともかく俺が死ぬことはなさそうという判断らしい。それにレベル上げをした強い配下は、いざとなったら俺を助けるために待機させていたそうだ。ノワリンが良いタイミングで攻撃できたのもそのおかげらしい。

 やはり俺は指揮には口出ししない方が良いようだな。何も言わずにまかせよう。


 しばらく待機していると倒した敵を配下が持ってきた。手や足が無かったり酷い状態の者もいるが、生きているらしい。俺は配下が持ってきた敵を聖女に治療させてから収納した。聖女の魔法で無くなった手足も生えてきた。神官では欠損は治せない。さすが聖女だ。

 今までは配下にするためには大怪我させないように倒す必要があったが、今回は聖女がいるので気にせず手足を斬り落としたりしたそうだ。だいぶ楽になったらしい。どんどん俺達の軍は悪役っぽくなっていくな。まあいいか。そんなこと気にしていたら死んでしまいそうな世界だしな。


 戦いが終わったようなので、騎士団長から報告を聞いた。


 まずこちらの被害は、勇者に斬られた魔物21体と使者にした無職1名だ。今回は被害が少なくて良かった。


 倒した敵は、今回攻めてきた21名のうち19名だ。

 俺達の前に来たのは11名で、森の外に8名、残り2名は隠れて戦いを見ていたそうだ。倒した19名うち収納する前に死んだのは1名だけらしい。カイザーのブレスを受けて1名しか死ななかったということだ。俺の配下はほとんど消し飛んだのに。まあ俺達の時は何度もブレス攻撃を受けたしな。・・・もしかして俺が避けろと命令したからか? 避けずに守りを固めた方が良かったとか・・・ いや何度もブレスを受けたからどっちにしても同じだな。俺の命令のおかげで何人か助かったのかもしれないし、俺の判断ミスではない。・・・多分。

 とにかくかなり強い敵だったのだろう。死んだのは一番前でブレスを受けた盾士らしきドワーフだけだそうだ。皆を守って死ぬとか凄い男だったのだろう。まあ皆死体収納で死んだけど。おかげで俺の配下が増えて助かった。俺に協力したようなものだ。不本意だと思うが戦いは非情ってやつだ。

 ブレスを受けてもHPが残っていた敵もいたらしいが、瀕死だったので楽に勝てたようだ。

 斥候の猫獣人は無傷でブレスを回避したらしい。強かったようだが獅子獣人剣士が足を斬って倒したそうだ。獅子獣人剣士は配下で唯一魔法の靴を装備しているからな。人間配下のなかで一番速く動ける。まあカゲイチも同じくらい速いが。


 逃がしたのはアスカさんと森に隠れていた斥候1名だそうだ。

 ・・・そういえばアスカさんは収納していない。今回も逃げられてしまったらしい。アスカさんもブレス攻撃を回避したのだろうか? やっかいな相手を逃してしまった。また誰か連れてきそうで怖いな。

 アスカさんは森から出て来たところを森の外の敵を襲っていた部隊が見つけたが、凄い勢いでどこかに飛んでいってしまったそうだ。

 ・・・アスカさんは空を飛べるのか?

 聖女に聞いてみたが知らないらしい。まあいいか。もう来ないことを祈っておこう。


 俺は戦場になった場所を見た。カイザーのブレスで広範囲の木がなくなり、抉れた地面に日の光が当たっている。


 森が無くなりアンデッドに不利な場所になってしまったな。


 俺は今後のことを思い、深いため息をついた。




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