第56話 決戦!勇者パーティ
俺はさっそく勇者と戦う準備を始めた。
今回はじっくり作戦を練っている時間はないので、作戦はほぼ配下におまかせだ。
敵はヨゾラさんやアンデッドを倒すユニークスキルを持っているという前提で作戦を立てさせる。
俺が装備を整えたり、配下を収納から出したりしている間に配下達が立てた作戦はこうだ。
・前回とほぼ同じ魔物正面隊、人間右翼隊、木の上隊、不意打ち隊を出しておく。
・全員に聖女の支援をかけておく。カイザーにも聖女の支援をかけて収納しておく。
・正面隊以外は後方で待機する。俺達は正面隊のすぐ後ろで待機する。
・勇者達が見えたらギルバーンが演説を行い、ギルバーンが召喚したていでカイザーを出す。
・すぐさまカイザーがブレスを放つ。
・敵が壊滅したら人間隊が生き残った敵を殺さずに倒して配下にする。
・敵が壊滅しなかった場合は、遠距離攻撃重視で全力戦闘。
基本は良いと思うが俺は気になったことを確認した。
まずカイザーを最初から出しておかないのは、敵を油断させるためだ。でかいカイザーは目立つ。カイザーを出しておくと敵が警戒して、すぐに全力で色々やってくる可能性が高いので、こちらの戦力が前回から変わっていないと思わせて油断させる。
ギルバーンが召喚したことにするのは、勇者殺しの罪をギルバーンに負わせるためだ。今更なので効果は怪しいが、一応やっておいた方が良いという考えだ。
勝利が確定した後人間隊だけで戦うのは、魔物は殺さないように手加減することができないからだ。勇者を配下にできる可能性を上げるためだな。勇者は配下にしたいが、配下にすることを優先して負けたらシャレにならない。勝利を優先しつつ、勝利確定後は勇者パーティをできるだけ配下にすることを目指す。
ヨゾラさんのようにカイザーのブレスに耐えられるスキルを持っていた場合は、全力で戦うしかない。遠距離攻撃重視なのは、カイザーのブレスが主力だからだな。乱戦になるとブレスが撃てない。遠距離攻撃の撃ち合いなら俺達はかなり強いはずだ。敵のユニークスキルが不明なので、近づくと何されるか分からないしな。今までとは逆だな。
配下を配置につかせたり聖女に支援をかけさせたりしていると、話し合いが失敗したとの連絡が入った。使者として送った無職の配下は浄化されてしまったようだ。
やはりダメだったか・・・
手紙は俺が書いている暇がなかったので執事長に任せていた。
送った手紙の内容は、襲われなければ人を殺したりしないし犯罪もしない。魔王討伐にも協力する。まずは手紙でお互いの状況や考えを伝え合うことにして町に戻ってほしい。返事は使者に伝えてくれ。というものだ。
話し合いに同意してくれたとしても、この状況で今すぐ会うのは、騙し撃ちで殺される可能性があるので無理だという判断だ。まずは文通からという内容だな。まあ妥当だろう。
しかし拒否されてしまったので、戦うことが確定した。戦う前に意思確認ができて良かったと思っておこう。これでモヤモヤした気持ちで戦わなくて済む。
戦う前に呼びかけたりせずにすぐさま戦闘に入れる。まあ、そんなリスクの高い行動をする気は最初からないが。
準備を終えて俺達は配置についた。
俺達は今回は兵士の恰好ではなく、現時点の最強装備を身に着けている。俺は聖騎士、ヨゾラさんは女騎士、ユリアさんは聖女スタイルだ。豪華な装備なので目立つが、今回はコソコソ近づく気は無いので強さ優先だ。念のため顔を隠すマスクは付けた。できるだけ顔を覚えられたくないからな。
聖女はもう収納してある。聖女がやられたら俺のステータスが終わるからな。アンデッドには聖女の光魔法の支援はかけられないので、支援術士の無属性の支援しかかけられていないため攻防ともに500くらいしか上がっていないが、俺達には全力で聖女の光魔法がかかっているので防御は1800くらい上がった。しかも状態異常無効やHP継続回復などもついている。やはり聖女の光魔法はかなり強い。アンデッドにかけられないのが残念だ。
それと前回ギルバーンが砲撃でやられてしまったので、聖騎士をギルバーンのそばに配置した。聖騎士は火の大楯を持っているし、レベルがかなり上がっているので、アスカさんの砲撃も防げるはずだ。ギルバーンの役目が終わった後は俺の護衛をしてもらう。
状況次第では俺が死体収納を試すかもしれないから、聖騎士に護衛してもらう。敵は即死対策している可能性が高いが、聖女のように連打すればいけるかもしれないし、俺のステータスなら火の魔法槍で普通に攻撃しても倒せるだろう。まあ敵が即死を持っていそうなら逃げるが。
ヨゾラさんとユリアさんは今回は安全な位置で様子見だ。よほどのピンチでないかぎりは出ない予定だ。
しばらく待っていると勇者パーティが現れたようだ。
俺は魔物隊の後ろにいるので、よく見えない。
俺も見たいが、目立つ格好をしているので、見える位置に顔を出すと狙い撃ちされそうなので我慢だ。
ギルバーンが亀の上で演説を始めた。
「フハハハハ!我は闇の王ギルバーン!勇者よ!よくぞ我が前に現れた!勇者を我が配下にできるとは嬉しいぞ!」
「ギルバーン?!」「あいつは死んだはずでは?!」「生きていやがったのか!」
相手はギルバーンが生きていたことに驚いているようだ。しかし話してないでさっさとカイザーを出したいんだが。
「我は冥界より蘇った!我の新たなる・・」
ゴウ!ドガィイィン!
突然飛んできた砲撃を聖騎士が防ぎ、槍は斜め上に飛んでいった。聖騎士は空中で攻撃を防いだため多少後ろに押されたが、盾でうまく斜めに受けて衝撃を逃がしたようだ。すぐに元に位置に戻った。
「防がれた?!」「あいつはまさか!」
「貴様!前回我を攻撃した者だな!だが無駄だ!我は何度でも蘇る!冥界の神より授かりし新たな力を見よ!サモンダークネスカイザードラゴォン!!」
ギルバーンがまた適当な事を叫びながら詐欺師のスキルを使ったようだ。多分それっぽい召喚演出を見せているのだろう。合図があったので俺はギルバーンの後ろにカイザーを出した。
「なっ!!」「ドラゴン?!」「バカな!!」
敵が驚いて動揺しているようだ。
重要な局面なので俺も敵を見るために亀を出して上に登った。カイザーがいれば俺も目立たないだろう。
カイザーはすぐさまブレスを放つために口を開けた。自分を強化するダークオーラのスキルも事前に使っていて、すぐに最大威力のブレスが撃てる状態で収納していた。
「マズい!」「ホーリーシールド!!」「マジックバリア!!」「皆俺の後ろに!」
敵が防御態勢に入る。さすが勇者パーティの精鋭だ反応がいいな。色々な防御系スキルが発動しているようだ。しかし何人かは回避行動をとっているな。全員には当たらないかもしれない。
ドゴォォォォォォ!!!!
極太の黒いブレスが撃ち出された。凄い轟音と爆風だ。
良く見えないがかなり広範囲が破壊されているっぽい。これなら回避はできなかったかもしれない。俺達がブレスをうけた時より距離が近いしな。
「うおおおおお!!!」
突然光り輝く男が爆風の中から現れた。多分勇者だ。ブレスを受けても死ななかったらしい。
勇者は光のオーラを放ちながら俺達に向かって突撃してきた。




