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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
第四章

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第55話 勇者襲来


 突然ヨーラムさんがやってきた。

 いつもは事前連絡をしてから来るヨーラムさんが、事前連絡なしで午前中にやってくるということは緊急を要する話だろう。


 とりあえず家の前にいるヨーラムさんに挨拶した。

「ヨーラムさんいらっしゃい。何かありましたか?」

「ユージさん突然すみません。緊急事態です。昨日レバニールに勇者がやってきました。今日すぐにでもここに攻めてくるかもしれません。」

「勇者?!」

 来るかもとは予想はしていたが、今日すぐかよ!

「偵察を出します。」 一緒に出迎えていた執事長が言った。

「ああ頼む。主要メンバーも食堂に集めてくれ。とりあえず中に入ってください。詳しい話を聞きます。」

 俺は食堂にヨーラムさんを通して話を聞くことにした。

 食堂にヨゾラさん、ユリアさん、ヨーマ君、ヨーコちゃんと主要な人間配下を集めてヨーラムさんの話をきいた。

「ではお願いします。」

「はい。昨日の夕方、20名ほどの勇者一行がレバニールに現れたそうです。私は昨日は仕事で店を離れていたため、今朝出勤してから知りました。急いで商業ギルドに向かい事情を聞くと、勇者は死霊術士の討伐にきたそうです。商業ギルドも事前に聞いていなかったらしく慌てていました。私も聞いていませんでした。アンデッドの討伐は首都で止めてもらうことになっていたのですが、首都からも連絡を受けていません。勇者は高速馬車を使ってレイライン王国からここに直行したようです。首都には寄らずに来たのでしょう。そのためこちらに情報が届く前に勇者が到着してしまったと思われます。いつ攻めてくるかは分かりませんが、今日の可能性もあるようなので、急いで知らせにきました。」

「なるほど。分かりました。」

「勇者が来たのね・・」「そんな・・・」

 皆も不安そうだ。

 ・・・どうするかな。カイザーがいれば普通に勝てる気がするが、できれば話し合いたいな。しかし人数が少ないのは気になる。聖女と戦った時の情報を持っていないのだろうか?

「ヨーラムさんは勇者が俺達の戦力を把握しているかご存じですか?」 ヨーラムさんが知っているかどうか聞いてみよう。

「ドラゴンのことは知らないはずです。ただユージさんの能力と前回の戦いの詳細は知られている可能性が高いと思います。」

「そうですか・・・」

 つまりアンデッド軍団やヨゾラさんの無敵バリアを知ったうえで少人数で攻めて来たわけだ。少人数でも勝てる算段があるということだ。

 となると凄いユニークスキルを持っている可能性があるな。強くなったから勝てると思って油断していると即死させられたりするかもしれない。少なくともアンデッド軍団と無敵バリア相手に、ある程度余裕を持って勝てる能力があるはずだ。そうでないと少人数では来ないだろう。いくら強くなったとはいえ俺が近づくのは危険すぎるな。下手をすればカイザーを殺せる能力を持っている可能性もある。カイザーもアンデッドだから、浄化系には弱い。浄化系か即死系だとカイザーもやられる可能性がある。特にアンデッド軍団対策してきているはずだから浄化系の可能性は高い。カイザーを盾に近づいてもやられてしまうかもしれない。近づくのは危険だ。話し合いを試すにしても、やられても良い無職とかを送ってみるだけにしよう。戦う場合はカイザーのブレスで遠距離から先制攻撃だな。

 しかし勇者を殺してしまって大丈夫だろうか? まあもう聖女を殺してしまっているので今更な気もするが、皆の意見も聞いてみよう。

「カイザーがいれば勝てると思いますが、皆は勇者を倒してしまって大丈夫だと思いますか?」

「勇者をですか・・・」 皆考え込んでいる。

「私には勇者を倒してしまって良いのか判断ができませんが、倒すとユージさんを敵視する人が増えるのは間違いありません。ただすでに聖女を倒していますし、勇者が来たのも聖女を倒したことも理由でしょう。倒さなければ勇者に狙われ続けるのではないかと思います。」 ヨーラムさんが言った。

 やっぱりそうか。一応日本人どうし協力しようと手紙などで呼びかけてみて無理だったら倒すしかないかな。

 ヨーラムさんは俺にいなくなってほしくないから、倒す方が良いと考えているっぽいな。

「でも勇者を倒してしまって魔王は大丈夫なのかしら?」 ヨゾラさんが言った。

 そうなんだよな。今後魔王が出てきた際に勇者がいないと困る気がする。

「魔王ですか?! やはりあの話は本当だったのですね・・・」「魔王っすか?!」「魔王!?」 ヨーラムさん達が驚いている。

「ヨーラムさんは魔王について何か知っているんですか?」

「はい。首都の有力者から、今後復活する可能性が高い魔王を倒すために、各国が協力することが決まったと聞きました。」

「なるほど。魔王復活のことは知られているんですね。」

「・・・ユージさん達も何か関係がおありなんですか?」 慎重な態度でヨーラムさんが聞いてきた。ヨーラムさんも薄々気づいていたのだろう。

 もう各国に知られているなら、ヨーラムさん達にも教えて良いかもな。知られているのも勇者とかが国に教えたんだろうし、日本人の詳細が知られている可能性も高い。

「ヨゾラさん話してもいいですか?」 一応ヨゾラさんにも確認するか。

「ええ。もちろんいいわよ。」 ヨゾラさんも賛成のようだ。

「実は俺とヨゾラさんは、神の部下に魔王を倒すよう指示されていまして、その時に職業やユニークスキルを授けられたんです。たぶん勇者も俺達と同じでしょう。」

「ええ?!」「神の部下っすか?!」「すごーい!」 ヨーラムさん達は驚いている。ヨーコちゃんは何故か嬉しそうだな。

「聖女もそうですし、他にも何十人かいるはずです。なので本来は俺達が争うのは良くないんですよね。」

「何十人も・・・ そ、それでは神のご意思に逆らうのはマズいでよね。聖女を倒してしまって大丈夫なのですか?」 ヨーラムさんは焦っている。

「基本放任な感じで、誰かが魔王を倒せばいいと言われているので、天罰とかは無いと思います。」

「そうね。割と雑で事務的な感じだったし、私達が争っても問題はなさそうだったわ。」

「放任、事務的ですか・・・」 ヨーラムさんは微妙な顔をしている。神のイメージが崩れたのかもしれない。

「まあ俺達が会ったのは神の部下で、神本人ではないですけどね。」 あまり変な影響は与えないようにしておこう。

「しかしそうすると、ユージさん達が魔王を倒すのであれば、勇者を倒しても問題ないということですか?」

「う・・・まあ、そういうことになりますが・・・」 魔王となんて戦いたくないぞ。

「問題は私達で魔王を倒せるかよね。まあユージは世界最強になったし何とかなる気はするけど。」

「世界最強ですか?」

「ええユージは昨日レベル65になったのよ。聖騎士のレベルは57だったかしら?」

「65?!聖騎士57!?」「ええ?!」「そうなんですか?!」

 ヨゾラさんにバラされてしまった。まあレベル上げするか聞く予定だったからな。無断でバラされたわけではない。

「私とユリアも同じくらいになる予定よ。ヨーラムさん達も戦士でよければ高レベルになれるわよ。」

「・・・ちょっとスケールが大きすぎて考えが追いつきません。」 珍しくヨーラムさんが唖然としている。

「レベル上げの話は後でゆっくり考えてください。勇者の話ですが、俺としては和解の手紙を送って、無理そうなら一旦逃げてどうなるか様子を見ようかと思いますが、どうですか?」

「でもそうすると、ヨーコちゃん達が捕まっちゃうかもしれないじゃない。」

「もちろん3人が良ければ一緒に連れて行きます。ヨーラムさんどうですか?」

 ヨーラムさんは少し考えてから言った。

「・・・ヨーマとヨーコはお願いします。私は町に残ります。商業ギルドに頼めば何とかなると思いますし、何より妻や従業員を置いて行けません。」

 ・・・そうだった。俺は会ったことないが、奥さんがいるんだった。ヨーラムさんのことだから家族のように付き合っている従業員もいるだろう。置いていけるはずがない。

 どうするべきか。


 しばらく沈黙が訪れた。皆それぞれ考えている。


「ユージ様。敵を発見しました。」 突然カゲイチが現れて言った。

 ちょっとビクッっとしてしまったが、すぐに話を聞く。

「勇者一行と思われる21人の集団が、森の入口付近に待機しています。昼食をとりながら話し合いをしているようでした。恐らく半数ほどが主力戦闘員と思われます。黒髪の人間は5人、そのうち一人は前回戦ったアスカです。」

 クソ!もう来たか。もっと考える時間がほしかった。しかも俺を恨んでいるアスカさんもいるのかよ。話し合いは無理かもしれない。

 しかも日本人らしき人間が5人もか。確実に強力なユニークスキルがあるな。

 日本人のことは主要配下に教えている。戦う上で重要な情報だからな。ヨーラムさん達がいるから日本人と明言していないだけだろう。

 どうする。すぐに荷物をまとめてカイザーゴンドラで逃げるか?


 俺が迷っていると、ヨゾラさんが言った。

「ユージ、戦いましょう。魔王は私が倒すわ。」

 ヨゾラさんは真剣な顔でこちらを見ている。軽い気持ちで言っているわけではなさそうだ。ヨーラムさん達を悲しませないために決意したのだろう。男前すぎる。

 俺も覚悟を決めるしかないか・・・一時的かもしれないとはいえ世界最強になったしな・・・勇者や魔王と戦っても簡単には死なないだろう。

「分かりました。戦いましょう。ヨーラムさん達は護衛をつれて迂回して町に戻ってください。おそらく勝てますが、万一俺達が負けて逃げたら、そのままアンデッドは好きに使っていいので、後の判断はお任せします。」

「・・・分かりました。お気をつけて。」「ご武運を。」「後でお話聞かせてくださいね。」

「もしもの時はアンデッドは捨ててもかまわないので、安全を優先してください。」


 ヨーラムさん達は斥候に案内されて出ていった。


 俺は念のため執事長に勇者宛の手紙を書いてすぐに送るよう指示した。

 まあおそらく無理だろう。


 残念ながら今日もよく晴れている。戦いの時はいつもそうだ。



 俺は勇者と戦うことになってしまった自分の運命を呪いながら聖騎士の鎧を身につけた。



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