第38話 現在のステータスと嵐の予感
季節は秋になった。
俺たちは相変わらず平和に暮らしていた。
魔の森のBランクエリアでのレベル上げを終えて、それ以上の危険地域に入るかどうか迷っているところだ。
Aランク冒険者も配下にしたので行ける気もするが、Aランク魔物が複数出たり、連戦になったり、野営中に襲われたりして本当に大丈夫か不安があるからだ。
俺やユリアさんは流れ弾にあたったりしたら危険な気もする。エルフ神官に防御バフをかけてもらえば大丈夫な気がするが、ちょっと心配だ。
俺の現在のステータスはこれだ。
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名前 ユージ
種族 人間Lv32
年齢 19
職業 死霊術士Lv32
HP 1386/1386
MP 3810/3810
身体能力 41
物理攻撃 41
物理防御 41+100
魔法攻撃 528
魔法防御 528
ユニークスキル
死体収納
スキル
配下作成
配下解放
配下回復
配下探知
配下情報
配下召喚
配下
上級アンデッド 455
ゾンビ 9
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俺も大分強くなったし配下も増えた。
新スキルも覚えた。
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配下召喚 消費MP50
遠方にいる配下アンデッドを呼び寄せる。
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今のところあまり使わないが、配下を貸し出したり遠出させたりしやすくなった。工夫すれば運送業もできるかもしれない。・・・面倒なのでやる気はないが。
配下の数もかなり増えた。
主に増えたのが、魔の森のBランク魔物が150体くらいまで増えたのと、オークが100体くらい、町から提供された罪人が100人くらいだ。罪人は60ちょっと貸し出し中だ。
罪人はあまり強い奴はいなかった。一番強かったのが剣士と海賊を覚えているレベル20くらいの奴だ。あとは海賊と盗賊両方覚えている奴が少し強いくらいだ。他はレベル10くらいのザコだ。強い奴が少ないこともあるが、強いと捕まえるのが難しいから殺してしまうのかもしれない。海賊は船で戦う職業で陸ではたいして強くないので、海賊はザコ兵士扱いにしている。
仲間のレベルはユリアさんが30でヨゾラさんが27だ。
ヨゾラさんは新たに魔法効果を打ち消すディスペルの魔法と範囲デバフの魔法を覚えた。ユリアさんは弱い電撃を広範囲に放って大勢を一時的に麻痺させる魔法を覚えた。雷魔法の麻痺はアンデッドには効かないため、実は雷魔法使いは死霊術士とかなり相性が良いことが分かった。2人とも俺との相性はバッチリだ。ラブラブだ。嘘だ。残念ながらまだお友達のままだ。良い人どまりだ。いや良い人と思われているかも怪しい。変な人どまりだ。 ・・・悲しい。
ヨゾラさんは戦士の職業も覚えて、職業が闇魔法使い、剣士、戦士の3つになった。なので、レベルが上がりにくい。同じレベルまで上げるのに単純計算で俺の倍の経験値が必要になる。
戦士と魔法使いをレベル20まであげると魔法戦士の職業を覚えるらしく、まだヨゾラさんは覚えていないが、レベル上げをすればもう一つ職業が増えることが確定している。ヨゾラさんは増々レベルが上がりにくくなる予定だ。できれば何とかしたいがどうにもならない。まあ強いからいいけど。
魔法戦士は、武器に覚えている魔法をまとわせて一時的な魔法剣にできる職業らしい。すでに魔法剣を持っているからいらない気もするが、闇魔法を剣にまとわれせば切りつけるたびにデバフをかけたりドレインしたりできるようになるのだろう。邪悪な感じで結構強そうだ。火の魔法剣にかけたら闇の炎になるのだろうか? 邪王の炎殺剣ができてしまうのだろうか? とりあえず上級職だけあってステータスの上昇も大きいので魔法戦士を覚えて弱くなることはないようだ。
まあ職業が多い分ステが上がるからレベルが低くても強さはあまり変わらない。というか俺より強い。無敵がなくても3人の中で一番強い。俺が一番弱い。HPも魔法攻撃も雷魔法使いのユリアさんの方が高い。死霊術士はMP以外弱い職業のようだ。配下も含めれば大分強いので仕方ないが、うっかり死にそうで怖い。
それもあり最近俺は配下に槍を習い始めた。やはりHPや物理防御の低さをどうにかした方が良いと考えたからだ。師匠はAランク冒険者の槍士ケルトと槍士も持っている騎士レオスの二人だ。師匠が二人いれば多少習得が早いのではと思って二人にした。
同じようにユリアさんも盾士の習得を目指してAランク冒険者の盾士と盾士も持っている騎士の副団長に盾を習い始めた。なぜ盾かというと、雷魔法のスタンガン魔法などは盾を介して敵に当てることができるので相性が良いらしい。それと盾士はHPや物理防御の上昇値が大きいので弱点補強にも効果が高い。あとパーティーメンバーと別の武器を選んだ方が戦術の幅が広がって良いらしいという3点からだ。被ってなければ俺も盾にしたかもしれない。ユリアさんにあまり盾のイメージはないが、特に体格が小さいと習得が遅いということはないらしいので問題ないようだ。習得できても前衛になるわけじゃないので体格は小さくても問題ない。
まあ習得は数年かかる予定なので、あくまで長い目で見た人生設計という感じだ。
そしてヨゾラさんはヨーマ君とヨーコちゃんに剣道を教え始めた。商人も剣士を覚えて損はないらしい。自衛できた方が何かと有利だそうだ。
ぶっちゃけ皆半分以上趣味でやっている。剣道チームはわざわざ竹刀と袴も作った。竹刀は実用品だが袴は完全に雰囲気を出すためだ。袴の狐獣人だ。似合う。防具は鉄仮面だが。今は青空教室だが道場も作りたいとか言っている。家にいると暇な時間が多いからな。まあ趣味は大事だ。
それにプールで泳いで思ったが、体を動かす趣味は気持ちが良い。ストレス解消になっている気がする。レベル上げで森を歩いているから運動不足ではないが、戦闘では俺とユリアさんはほぼ動いていないからもっと鍛えた方が良いというのもある。筋肉は正義だからな。
配下の強化にも力を入れている。ゴブリンを食いながらスキルを使い続けるアレだ。やはりレベルが低い職業などは簡単に上がるらしく、結構効果がある。さらにアンデッドの種族スキルである再生を使いまくれば上級アンデッドのレベルも上がることが分かった。なので自傷しながらゴブリンを食うというヤバい行為をさせたりしている。死体喰いはMPを消費しないスキルなので経験値は無いようだ。俺の死体収納もMPを消費しないので経験値は無さそうだ。
しかしゴブリン食いは見た目が非常によろしくないので、仲間の二人に気持ち悪いと文句を言われてしまった。仕方がないので、食器やテーブルなどを用意して、一見普通の食事に見えるようにした。まあ食っているのはゴブリンのぶつ切りや血のスープだが。深い皿に入れて見えないように気を使った。
最近ではゴブリンが足りなくなってきたので、ヨーラムさん経由で町から廃棄する骨や皮や内臓など死体系のゴミをもらったりしている。
ただこの訓練はレベルが高くなるとすぐに上がりにくくなり、レベル1から2は一か月もかからないが10から11に上げるのは1年くらいかかる見込みだそうだ。まあ弱いやつの底上げができるだけでも十分だし、上級アンデッドの種族レベルはほぼ全員1だったので、再生を使ったレベル上げは、強い配下の強化にもなっている。上級アンデッドのステータスには(人間Lv10)などの生前のレベルの記載があるが、これは固定でもう上がらないようだ。
それと最近アックスが戦士の職業を覚えた。新たに覚えた職業はレベル1なので上げやすい。レベルが上がりにくくなった配下は、戦士を覚える修行の旅に出してもいいかもしれない。アックスは、Aランク冒険者が配下になったので2軍落ちしていたが、基礎身体能力が高いので鍛えれば1軍に戻ってくるかもしれない。青髪は無理だろう。奴は平兵士に降格だ。ジミーはなんだかんだ色々できるので、護衛からは外したが索敵兼雑用係として使っている。ジミーは有能だ。いまだジミーの粉は常備しているしな。ノワリンに勝った実績があるので外せない。
うちの最高戦力のノワリンにも自傷&ゴブリン食いをやらせようとしたが、ユリアさんに睨まれてしまった。仕方なくノワリンには普通のうまそうな肉をあげて身体強化のスキルを使わせて戦士のレベル上げをさせている。今はノワリンは俺達と一緒に三食食べるついでに訓練をしている。ノワリンの餌やりはユリアさんが積極的にやってくれるので、俺は手間がかからないからいいけどね。
他には、オーク馬車が完成した。寝室馬車と食堂馬車とゆったりリビング馬車だ。荷馬車も増やした。今はお風呂馬車を開発中だ。完成すれば、もはやどこでも快適生活が送れるだろう。
あとはAランク冒険者のドワーフが鍛冶師の職業を持っていたので、武器の整備などが楽になったくらいだ。生産職を覚えるのがドワーフの嗜みらしい。生産職を覚えると経験値が吸われて戦闘職のレベル上げに不利になるが、ドワーフは逆に生産職のレベル上げのために戦闘職を覚えて魔物と戦うそうだ。生産職もただレベルを上げれば良いわけではなく腕も磨かなければいけないので、普通はレベル上げはそこそこにして、生産の腕を磨くそうだが、このドワーフは鍛冶そっちのけで戦闘にのめりこんで、Aランクにまでなった変わり者だそうだ。
ちなみに鍛冶場は作っていない。作るのが大変だし、騒音や公害があるし、燃料や材料を持ち込むのも大変だし、凄い物が作れるわけでもないので、町で買った方が良いからだ。
ヨーラムさんのアンデッド事業も順調で、なんとレバニールの港に大型船が着けられるようになった。罪人に大工がいたので貸し出したことが大きいようだ。他の生産職の犯罪者はいないのに、やはり大工は犯罪者になりやすいらしい。・・・大工は不遇職なのか?
大工はうちでも需要が高いがヨーラムさんのお願いなら断るつもりはない。海中工事は結構難航したようだが、水深を深くする工事だけでなく、深い場所まで桟橋を伸ばすことで対応したそうだ。大工のアンデッド水中作業員がいれば深い場所まで桟橋を伸ばすことも容易だったそうだ。
そんな訳で今レバニールの町は空前の好景気に沸いている。どこも人手不足で、地上でもアンデッド労働者が求められているそうだ。大型船用の桟橋を増やす工事も続いているし、他の町の港の工事の依頼もきていて、まだまだアンデッドは増やしたいようだ。
そんな風に平和に暮らしていたある日、突然ヨーラムさんが貸し出している大勢のアンデッドを引き連れて家にやってきた。
明らかにただ事ではない。
訪れる嵐の予感が、俺の心を大きくざわつかせた。




