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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
外伝 錬金術師が悪い死霊術士と戦うお話

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外伝7 リッチ討伐


 自分の装備が作り終わり、セイラに依頼された分を作成していたある日。


 国内の森の奥に遺跡が見つかり、遺跡内にアンデッドのリッチを発見したとの情報が入った。

 アンデッドとの戦闘経験を積む必要があると考えていたため、私は討伐部隊への参加を希望した。


 リッチの討伐隊は、高レベル討伐隊員が私の他にもう一人と指揮官の騎士が1名、近接職の隊員5名、神官3名、斥候3名、雑用5名の計19名の編成になった。

 リッチはかなり強いAランクの魔物だが、光魔法を使える人員がそれなりの数いれば相性の関係でBランクの人間でも討伐できる。

 私ともう一人の高レベル隊員と神官がいれば問題なく討伐できると判断された。


 もう一人の高レベル隊員は、大剣使いの獅子獣人の大男で名前はガオルだ。

 顔合わせの席でさっそく話かけてきた。

「おうおう、噂のアスカじゃねーか。派手な技で訓練場の壁に大穴を開けたんだって? リッチは雑魚アンデッドを大量に出してくるからな、期待してるぜ。まあリッチは俺がもらうけどな。」

 にやにやしながら嫌な感じで話しかけてきた。面倒な男のようだ。

「・・・私はアンデッドとの戦闘経験が積みたいだけ。好きにやらせてもらうわ。」

 こいつの言うことを聞く気はない。

「チッ!女の近接職だから聖女直属になれただけのクセに、お高くとまりやがって!助けてやらねえからな!足引っ張んじゃねえぞ!」

 私が言うことを聞かないと察したのか悪態をついてきた。私が聖女直属なのも気に入らないらしい。

 私のユニークスキルや錬金のことは知らないようだ。

 実際体力的に不利な女の近接職で高レベルの者はほとんどいないらしいので、聖女直属になった理由を勘違いしたのだろう。

「問題ないわ。」

 まともな奴なら一緒に戦う仲間候補だけど、こいつはダメなようだ。



 私達は用意された高速馬車に乗り、数日で最寄りの村まで移動した。

 途中は宿に泊まり、一度も野営することなく楽な旅だった。

 しばらくこの国で生活して分かったが、宗教国家というものは金と権力と人心を全て集めているため、国家が非常に強力な力を有している。

 そのため、国の機関に所属しているだけで、どこに行っても丁重に扱われ、特に高レベル隊員は扱いが良く、特別な立場になったと感じることが多い。

 私もそれを利用して良い素材を手に入れたり、設備を使ったりしている。

 傲慢な態度もとっていたりするが、復讐のためなら気にする必要はない。



 楽な移動は最寄りの村までで、村から先は徒歩で移動だ。

 遺跡まで森の中を2日ほど歩く必要がある。

 しかし私の役割は戦闘のみで、野営の雑用や見張りはすべて他の隊員がやってくれた。

 ここでも特別扱いだ。


 森の魔物は結構強く、遺跡がある奥の方ではBランクの魔物が出た。


 もう一人の主力のガオルは、大剣が武器なので森での戦闘には向かないが、どうやらサブウェポンに短剣を持っていたらしく、大剣が振りにくい場所では短剣に切り替えながら戦っていた。

 見た目から力押しの脳筋タイプだと思っていたが、意外にも大剣と短剣の剣さばきは見事なもので、高い技量を感じさせるものだった。

 どうやら一流の剣士のようだ。

 この世界の高レベル者は全員実力が確かだと知っていたにもかかわらず、見た目や言動で低く見ていたことを反省した。


 私の方は、魔物と戦いながら魔法の靴を使った立体高速機動戦闘の練習をした。

 森の中では平地より結構難しく、慣れるまでしばらくかかった。

 ガオルも他の隊員も私の動きを見て凄く驚いていた。

 身体能力が私より高い人でも魔法の靴がなければ私より速く動くことはできない。

 そのため、これほど速く動く人を見たことがないのだろう。


 気になったのか、ガオルが野営の食事中に話しかけてきた。

 これまでの移動中はまったく話しかけてこなかったので、よほど驚いたのだろう。

「おいアスカ。おまえ聞いてたより遥かに強えじゃねえか。あの動きは何だ? 槍士と戦士と聞いてたが、槍士や戦士にできる動きじゃねえぞ。実は忍者か何かだったのか?」

 私の戦闘職は知っていたらしい。忍者なら同じような動きができるようだ。

「私の戦闘職は槍士と戦士だけよ。あの動きは魔法の靴のおかげ。この靴なら全力で地面を蹴って動けるの。」

 昨日までなら適当にあしらう所だけど、私も今日のこの男の動きを見て考えを改めた。

 この男は共に戦う仲間になるかもしれないから、ちゃんと対応することにした。

「魔法の靴? そんな物があるのか。もしかして聖女直属だとそんなに凄い物が貰えるのか?」

「いいえ、私が作ったわ。」

「作った!? マ、マジかよ・・・ なあ、今までの態度は謝るから、俺にも作ってくれねえか? もちろん金は払う。」 驚いたあと真剣な顔で聞いてきた。

 やはりこいつも強くなることには真剣なようだ。

「私は聖女の依頼しか受けないわ。材料や設備も私では用意できない。聖女に頼むのね。」

 これは何か作れと言われた時のいつもどおりの回答だ。

「そうか・・・ そりゃ簡単に作れるわけねぇよな・・・」

 思案顔だ。どうやって聖女に頼むか考えているのだろう。

「まあ追々考えるか・・・ そういえばお前はその槍しか使っていなかったが、他の武器は持ってないのか? 森だと使いづらいだろ。」

 話を変えてきた。どうやら私とまともに交流する気になったようだ。

 しかしガオルが言うとおり、大剣と同じく薙刀も森の中での戦闘には向いていない。

「私はこの薙刀しか使ったことが無いわ。他の武器を持ってもうまく使えなければ意味はないし。」

 これまでも森の中でも薙刀だけでやってきた。

「そうか。しかしお前の腕なら、見よう見まねでもそれなりに使えるだろ。予備の短い武器は絶対に持っておいた方がいいぞ。」

 ・・・これまでは荷物になるし、使えると思っていなかったから予備の武器は採取用ナイフくらいしか持っていなかった。だけど今はマジックバッグもあるし、確かに短剣あたりを持った方がいいかもしれない。

「確かにそうね。ちょっと短剣あたりを使ってみて良さそうなら持つことにするわ。」

「おう。そうしろ。武器を落とした時の生存率も全然違うからな。」

 純粋な予備の武器はマジックバッグに投槍用の槍があるけど、この場では言わないでおこう。

 しかしガオルが生存率とか顔に似合わないことを言いだした。やはり脳筋ではなかったようだ。

「あなた見かけによらず賢いのね。」

「うるせぇよ!見かけによらずは余計だ!」



 その後遺跡に入ると、地下遺跡になっていて、ゾンビやスケルトンなどのアンデッドが出るようになった。

 さっそく光の薙刀がどの程度効くか試した。

 MPを込めて攻撃すると、アンデッドの体をまったく抵抗なく振り抜くことができ、薙刀を振った軌道に沿って30cm幅くらいアンデッドの体が消滅した。消滅した範囲に魔石があればそのまま倒すことができた。

 希少な素材を使っただけあり、アンデッドに対しては必殺の威力があるようだ。

 ちなみに普通の魔物に対しては、魔法攻撃力分威力が上がるだけだ。しかし光属性は、アンデッドに有効というだけでなく、耐性のある魔物がほとんどいないという利点もあり、普通の魔物に対しても十分強力だ。

 光の薙刀はMPを込めると光る。明るい場所では目立たないが、暗い遺跡ではかなり目立つ。ガオルや他の隊員が、またもや驚いていた。


 案の定、遺跡内での休憩中にガオルが話しかけてきた。

「おい、もしかして、おまえのその槍は光の魔法武器なのか?」

 光の魔法武器はかなり珍しいと聞いている。知識や設備も必要だし、この薙刀に付与した時はMPを六千くらい消費したので、並みの錬金術師には作れないだろう。

「そうよ。」

「もしかしてそれもお前が作ったとか言うんじゃないだろうな?」

「私が作ったわ。」

「・・・そうか。お前はとんでもなく凄い奴だったんだな。聖女直属になるわけだ・・・」

 私が聖女直属な理由を理解したようだ。

「光の魔法武器といったらうちの隊長の剣くらいしか見たことないぞ。あとはどこかの国の宝物庫とかにしかないんじゃないか? それを何本も作れたりするのか?」

 私達が所属するアンデッド討伐部隊「太陽の炎」の隊長は、代々光の魔法剣を受け継いで使っている。

「強力な光の魔法装備を作れる素材は滅多に手に入らないそうよ。聖女でもこれまで二つしか手に入らなかったわ。この武器と聖女の法衣に使ったわ。」

「やっぱり無理か・・・ 俺も魔法武器が欲しいが、なかなか見つからなくてなあ。」

 私は作れるからいいけど、魔法武器は希少だから自分にあった種類の魔法武器を見つけるのはなかなか難しいらしい。

「ライト程度の効果でいいなら素材が手に入るらしいけどね。」

「明るくなるだけじゃ意味ねえだろ。まあアンデッドにはライトでもダメージが入るけどよ。ショボすぎだ。」

「まあそうね。」

「光以外の魔法剣はどうなんだ?」

「光以外なら聖女の権力で結構手に入るみたい。私も火の魔法武器は結構な数作ったわ。」

「そうか。うーん。火でも十分強いよな。むしろアンデッド以外には火の方が強いしな。」

「そうね。」

「・・・なあ、聖女に俺を紹介してくれないか?」

「会ったばかりの良く知らない相手を紹介できるわけないでしょう。腕が良いのは見れば分かるけど、そんな人は他にもいるし、態度も悪かったしね。」

 態度はお互い様だけどね。

「態度のことは謝るって。しかしやっぱりそうだよな・・・ 何か俺でも協力できることがあればやるからよ。何とかならないか?」

 ・・・仲間を作る機会は逃さない方がいいか。

「そうね。私はある死霊術士を殺すためにこの部隊に入ったのだけど、その死霊術士の討伐に参加してくれるのなら、聖女に掛け合ってもいいわ。」

「おお!そんなことで良いのかよ!もちろん協力するぜ!この部隊にいるんだ。頼まれなくても死霊術士とは戦うぜ!」

「わかった。この任務が終わったら詳細を説明するわ。かなり強い相手だから覚悟しておいて。」

「おう!強い相手なら望むところだ!」

「でも聖女に断られるかもしれないから期待しないで。あなたより強い人がいたらそっちを優先するだろうから。」

「チッ!何だよそれ!頼むぜ!」



 休憩を終えて、リッチがいるという広い部屋に入ると、武装したスケルトンが20体ほどと、大きなゾンビのキメラのような魔物が5体いた。

 リッチはいないようで、奥に進む道があるので奥にいると思われた。


 武装したスケルトンはハイスケルトンという魔物で、試しに戦ってみると普通のスケルトンよりは強かったが問題なく倒せた。ただ、武器や防具は光の薙刀で攻撃しても消滅せず、光の薙刀の攻撃を防ぐことができるようだった。倒した後も消滅しなかったので、アンデッドの一部ではなく後から装備させた物だろう。

 アンデッドでも武具を装備していれば光の薙刀を防げることは覚えておく必要がある。特に人間のアンデッドでは注意が必要だ。


 私が軽く流して戦って様子をみていると、半数ほど倒したあたりで奥からリッチらしきアンデッドが現れた。

「我が住処に押し入る強盗どもよ。死んで後悔するがいい。」 リッチの周囲に暗く光る魔法陣が現れ、追加のアンデッドが次々に現れる。

 リッチが言葉を話した。リッチにとっては私達は強盗のようだ。まあ誤解をとく必要もないので、このまま討伐しよう。

「でたぞ!お前ら気合いれろ!」 ガオルが叫ぶ。

「サンクチュアリ」「ライト」「ブレス」「ライトアロー」「ガードアップ」「ターンアンデッド」

 次々と神官が支援や攻撃の魔法を唱える。ガオルと神殿騎士もアンデッドの群れに切り込んだ。

「ダークブレス」「ダークフレイム」「ガードダウンウェーブ」

 リッチも魔法で支援や攻撃をしてくる。


 私は、リッチに対ユージ用の投槍スキルを試してみることにした。

 リッチはAランクの魔物なのでユージよりも防御やHPは高いだろう。リッチに通用するならユージにも通用するはずだ。

 私は投槍器と火の魔法槍をマジックバッグから取り出し、装備にMPを込め、強化スキルも発動し、全身からオーラを放ちながら、リッチを狙える場所を探す。

 アンデッドの群れが邪魔で、なかなか射線がとおる場所が無かったが、神官がゾンビキメラを浄化したことでリッチの全身が見えた。


 ここだ。


 魔法槍に火をまとわせ、風の鎧で追い風を起こし、魔法の靴でしっかりと大地を蹴り、風の投槍器で槍に加速をつけ空気抵抗を減らし、投槍スキルを発動して全力で槍を放つ!


 ゴウ!ドガァン!!


 槍が空中に炎の線を引きながら轟音とともに命中し、リッチが砕け散った!


 一瞬驚きで味方の動きが止まったが、私がアンデッドの群れに切り込むとすぐに味方も攻撃を再開した。

 アンデッドを光の薙刀で殲滅しながら様子を伺ったが、リッチは復活してこなかった。

 どうやら倒せたようだ。


 しばらくしてアンデッドの殲滅が終わり、ガオルが話しかけてきた。

「凄かったじゃねえか!あれが噂の必殺技か?」

「噂は知らないわ。」

「リッチをほぼ一撃とは恐れ入ったぜ!ただリッチはまだギリ生きてたから俺がトドメを刺しておいたぜ!今念のために神官が浄化しているところだ。」

「そう。生きてたのね。」

 一撃では倒せなかったようだ。やはりアンデッドはしぶとい。油断しないようにしよう。でも人間なら死んでいたはずだから、ユージは問題なく殺せるだろう。

 これで後は仲間を集めて大勢いるであろうアンデッド軍団やギルバーンを何とかすれば、ユージを殺せるはずだ。



 私は確かな手ごたえを感じた。


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