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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
外伝 錬金術師が悪い死霊術士と戦うお話

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外伝2 領主館に勤める


 ゼペックさんのお店で働きながら充実した日々を過ごしていたある日のことだった。


 仕事が終わったあと、ゼペックさんからちょっと話したいことがあると言われ応接室で向かい合った。


 新しい仕事の説明か何かかと思って特に気にせず席につくとゼペックさんはおもむろに話し始めた。

「これはもしかしたら君が知らないんじゃないかと思って、念のため話すのだけど、この国には鑑定士登録制度というのがあるんだが、知っているかい。」 ドキンと心臓が跳ねた。

「い、いえ、知りません。」 どうやら鑑定に気づかれていたようだ。

 とりあえず知らなかったのでそのまま答える。

「やはりそうか・・・。簡単に説明すると、鑑定が使える人は、国に登録して犯罪捜査などに協力する義務があって、意図的に登録しないのは犯罪なんだ。」

「え。」 何それ。犯罪なの!? どうしよう!

「誤解しないでほしいのは、普通の人は自ら進んで登録するんだ。理由は、鑑定士は貴重だから好待遇で雇ってもらえるから隠す必要はないんだ。僕の友人の鑑定士も領主様に雇われているが、すごく幸せそうに暮らしているよ。給料も良いし、仕事も楽で、休みも多いらしい。家族とよく遊びに出かけていて、僕からみても羨ましい生活を送っているよ。」

 そ、そうなのね。ちょっと安心だけど、ユニークスキルの場合はどうなんだろう。

「つまり登録すれば幸せになるから隠す意味はないんだよ。年に何回か犯罪者の鑑定をさせられるらしいけど、目隠しして拘束されている人を鑑定するだけだから安全だそうだし、犯罪者に恨まれたりしないよう配慮されているそうだよ。逆に登録せず隠すような人は闇鑑定士と呼ばれている犯罪者くらいなんだ。」

 な、なるほど。

「で、本題だけど、もし君が鑑定を使えるのなら、穏便に登録が済むよう手伝おうと思うけど、君は鑑定を使えるのかい?」

 ・・・これはゼペックさんに相談した方がいいわね。ちょっと私では判断できない。ゼペックさんは信用できる人だし。

「実は、ユニークスキルの詳細鑑定というのを持っているんです。ユニークスキルも普通に登録して大丈夫でしょうか・・・」

「ユニークスキル・・・」 ゼペックさんは凄く驚いている。

「はい・・・」

「そうか・・・何かあると思っていたけど、ユニークスキルを持っている人に会ったのは初めてだよ。まあ普通は隠しているから知らないだけかもしれないけどね。」 ゼペックさんはにっこり笑った。

 私を安心させるためだろうけど、ゼペックさんはやっぱりいい人だ。

「そういうことなら、誰にも聞かれないように友人の鑑定士に直接相談して領主様に保護してもらう方がいいだろう。不安かもしれないけどうちの領主様はすごく評判がいいから大丈夫。これは純粋に君のために言うが、隠し続けるより絶対にいいよ。領主様に相談して不幸になる確率より、隠して不幸になる確率の方が遥かに高いからね。恐らく隠し続けたら犯罪者になるか犯罪者に狙われるかどちらかになるだろう。」 

 そうなのね。犯罪者はいやね。

「わかりました。よろしくお願いします。」 不安だけどゼペックさんの判断を信じよう。

「うん。まかせておいて。さっそく明日鑑定士の友人に会いに行こう。」


 ゼペックさんが私が鑑定を使えることに気づいたのは、色々なポーションの素材を初めて見たような反応だったのに、何の説明も受けずに使えていたからだそうだ。

 うん、私には隠し続けるのは無理みたい。


 次の日、ゼペックさんに連れられて領主館にやってきた。

 受付でゼペックさんの友人の鑑定士を呼んでもらい、応接室で向かい合った。

 鑑定士の人は細身の鋭い目つきのおじさまだった。


「ゼペックが領主館に会いに来るなんて珍しいな。相談があるってことだけど、そちらの女性の関係か?」

「アスカと申します。よろしくお願いします。」

「これはご丁寧に。鑑定士のユリウスです。」 急に丁寧な態度で挨拶するユリウスさん。

 お仕事の時の挨拶がクセになっているんだろう。あるあるだ。

「ユリウス。誰にも聞かれたくない話なんだが、ここは大丈夫かい?」

「なんだよ、ゼペックがそんな顔をするなんて怖いな。ここは秘密の話をする時にも使われる部屋だから大丈夫だ。」

「単刀直入に言うが、彼女はユニークスキルを持っているんだ。可能なら領主様に保護してほしい。」

「え!?それは本当なのか?」 驚くユリウスさん。

「しかも詳細鑑定というそうだ。」

「詳細鑑定!?」 大きく口をあけるユリウスさん。ちょっとおもしろい顔だ。

「頼む。ユリウスしか頼れる人がいない。」

 しばらく考え込むユリウスさん。大丈夫だろうか。

「・・・・・分かった。確かにそれなら領主様に保護してもらった方が良いな。だが確認していない情報を領主様に伝えるわけにはいかない。」 するどい目でこちらを見てくるユリウスさん。いったい何だろう。緊張する。

「本来ならこんな失礼なことは頼みたくないんだが、君のステータスを鑑定させてもらってもいいだろうか?」

「もちろんいいですよ。」 まあ当然だよね。

「気を悪くしてしまったら申し訳ないが、私が鑑定済みかどうかで、情報の信用度が大きく変わるんだ。決して悪いようにしないから許してほしい。」

「はい。大丈夫です。」 いや良いって言ってます。

「え? あ、そ、そうか。ありがとう。」 私があっさりOKしたことに気づいたユリウスさんはちょっと気まずそうだ。


 その後、ユリウスさんの鑑定を受け、ユリウスさんがどこかへ報告に行くと、とんとん拍子に話が進み、その日のうちに鑑定士として領主館への就職が決まった。


 次の日には領主様と面接を行った。

 私は緊張でガチガチだったが、領主様は穏やかな人で、私のユニークスキルの詳細を聞くとすごく喜んで好待遇を約束してくれた。


 私は領主館の上級文官用の宿舎に引っ越すことになり、ゼペックさん、アンナさん、ゼルさんとお別れ会をして、新たな生活を始めた。

 上級文官用の宿舎は驚くほど広くて豪華な造りをしていて、本当に好待遇なことを実感した。


 ユニークスキルは隠すことになり、私はユリウスさんの知り合いの鑑定士の弟子で、ここの領主様の評判を聞き、就職を希望してやってきたという設定になった。

 ちょうど数年前にユリウスさんのお師匠様がお亡くなりになり、もう一人鑑定士を探していたので、何も不自然じゃないそうだ。


 そして私はユリウスさんから鑑定士としての心得等の指導を受けた。

 人に鑑定を使うということは、無理やり服を脱がせて裸にすることと同じであり、普段は決してやってはいけないことらしい。逆に緊急時や重要な業務など人を裸にしても許されるような状況ならやっていいという考えだそうだ。だからあっさりOKしたらあんなに驚いていたのね。

 物に対する鑑定は、売り物に関しては気にせずどんどんやっていいそうだ。鑑定を嫌がるということは偽物だと言っているようなものだからだそうだ。他人の私物に関しては、人間ほど厳しくはないが、普通は許可をとってから行うそうだ。


 そしてカムフラージュのため通常の鑑定の手順と動作を習ったところ、私は簡単に通常の鑑定スキルと鑑定士の職業を取得できた。

 これにはユリウスさんにも凄く驚かれ、文献で理由を調べたところ、ユニークスキルを持っているとそのユニークスキルに関係する職業を覚えやすいという説があり、不確かではあるがこの説が正しかったのだろうという結論になった。


 その後、私の仕事は、侯爵家の所有する様々な貴重品を鑑定し、その材料、製作器具、製作方法を調べて記録するという内容になった。

 普通の鑑定では材料や製法などは分からないので、非常に有用だそうだ。

 すごく貴重な万能薬や回復薬などの製法が分かったので、ものすごく喜ばれた。私もやりがいのある仕事ができて嬉しかった。

 私がレベル5になったときに錬金レシピという錬金できる物の製作方法を記録するスキルを覚えたので、私のスキルには貴重品のレシピがどんどん増えていった。


 そうしてお仕事をしながら平和に生活していたら、凄く嬉しい出来事があった。


 なんと私に恋人ができたのだ。


 レオスという22歳の明るい茶髪の爽やか系イケメンで、若くして騎士と槍士の二つの職業を得た実力者で、家柄も良くて将来は騎士団長になるのではないかと言われている若手のホープだそうだ。


 レオスは以前から何かと私に気を配っていてくれて、買い物に出るときも女性一人では危ないからとついてきてくれたり、ちょっとした差し入れなんかをくれたりしていた。

 仲良くなって食事に行ったりしているうちにお互い良い雰囲気になり、彼から告白してくれたのだ。

 騎士だけあって力強くそれでいて礼儀正しく所作が美しい。日本の男性にはない魅力がある。私にはもったいないくらい魅力的な人だ。


 まあ私も日本にいた時よりハーフっぽくなって少し美人になっているけどね。少しだけよ。


 あまり隠し事はしたくなかったので、ユニークスキルのことを話していいか、ユリウスさんに相談したら許可をとってくれた。

 ただ、私から伝えるのはダメらしく執事長からレオスに伝えることになった。

 話を聞いたレオスは驚いていたが納得もしていた。

 私の待遇が凄く良いし、私と恋人になったことを騎士団長や執事長が喜んでいたから何かあると思っていたらしい。

 騎士団長や執事長が何で喜んでいたのか分からないけれど、とにかく私は幸せだ。ゼペックさんの言うとおり領主館にきて良かった。


 最近では私が槍の一種であるなぎなたを習っていたことを話すと、レオスは見てみたいと言い出したので、なぎなたの技を披露した。

 最近運動不足だったのでダイエットに丁度いいと思い、その後も定期的に訓練することにした。太って嫌われたくないからね。

 レオスは私の動きを見て、感心したり首を傾けたりしていた。普通の槍でやると変な部分もあるのだろう。武器の形状が違うと説明すると、せっかくだからちゃんとした薙刀を作ろうという話になり、レオスの行きつけの鍛冶屋で注文することになった。

 私は騎士のレオスよりもたくさんお給料をもらっていて使いきれないくらいあったので、ちょっと奮発して良い素材で武器を作ることにした。お金持ちがお金を使わないと不景気になると聞いたことがあるしね。


 完成した薙刀を受け取ると、鞘に綺麗な装飾が施されていた。

 レオスからのプレゼントらしい。武器の装飾がプレゼントなのは笑ってしまったけれど、綺麗な鞘と赤い柄をした本物の薙刀を見て嬉しくなり、訓練場で皆の前で技を披露した。

 皆なぎなたの技に感心していた。すると何と槍士の職業を習得することができた。

 同じ槍士を持っているレオスは、習得にかなり苦労したらしく私のことを天才じゃないかと驚いていたが、10年以上習っていたと伝えると納得していた。

 どうやら槍士の習得条件に多くの人に技を見せて認められるというものがあるらしく、今回多くの人に披露したことで習得したのだろうということだった。


 詳細鑑定で経験値が入り槍士のレベルも上がったことをレオスに伝えると、驚かれ羨ましがられた。

 種族や戦闘職のレベルを上げるのはすごく大変らしい。

 私は誰よりも強くなれる可能性を秘めているそうだ。

 でも、戦いはしたいと思えないから後方で鑑定とポーション作成で貢献することにする。レオスにもそれを伝えると、それがいいと同意してくれた。


 そんな生活を続け、私はこれからもずっとレオスと一緒にいる気になっていた。私が異世界から来たことはまだ伝えていないが、結婚する前には伝えられたら良いな、なんて考えていた。




 そんな、ある日のことだった。


 あの男がやってきたのだ。


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