第21話 ギルドへの報告とオーク馬車
領都メルベルについた俺達はすぐに冒険者ギルドに向かった。
ギルドに入り、顔見知りの冒険者に声をかけられながら受付カウンターに向かう。
まあ声をかけられるのは主にアックスと青髪だが。 ・・・俺にも話しかけてくれ。
受付には例の性格の悪そうなおっさんがいたので早速報告を行うために声をかける。青髪が。
「依頼の報告いいですか。」
「鉄仮面か。早かったな。もう原因が分かったのか?」 おっさんが聞いてくる。
「はい。原因らしき魔物を発見しました。」
「じゃあ別室で報告を聞く。おい!ガイ!こいつらの報告を聞いておけ!」 どうやら別の職員が報告をきくようだ。
「へーい」 やる気のなさそうな男が返事をした。
小さい会議室に移動し早速報告を行う。
「じゃあ報告をたのむ。」 やる気のなさそうな男が調書のようなものを用意しながら言った。
「調査の結果、原因らしき魔物を発見しました。場所は山の中腹あたりで、大きな黒豹のような魔物でした。非常に強そうだったので刺激しないようにそのまま撤退しました。」 青髪が報告する。
「大きな黒豹だと?・・・・ちょっと待ってろ。」 話をきいて急に真剣な顔になった職員はしばらく考えたあと部屋を出て行った。
やっぱり結構大事なんだろうか。Aランクだもんな。
しばらくすると性格の悪そうな男と一緒に戻ってきた。
「話は聞いた。大きな黒豹のような魔物で間違いないな?」 俺達はうなずいた。
「見たのは誰だ?全員か?」
「全員です。」 青髪が答え、他のメンバーもうなずく。
「場所はどこか分かるか?」 性格の悪そうな男がアド山の地図を広げた。
青髪がジミーに視線を送る。
「このあたりです。」 ジミーが指をさす。
「お前らが知っている魔物か?」
「いえ知らない魔物です。」
ダンからAランクと聞いているが余計なことは言わないらしい。
「お前らから見て勝てそうか?」
「勝てないと思います。」 青髪が答える。
「アックスも同じ意見か?」 さらに聞かれる。
「んなことはやってみなけりゃ分からねえよ。だが、ありゃ厳しそうだ。」 アックスがそれらしく答える。
「そうか・・・・」 考え込む性格の悪そうな男。
・・・・・しばらく沈黙が訪れる。どうなるんだ?
「よし!分かった!依頼は完了だ!青髪はCランクに昇格だ!お前ら報酬を受け取って帰っていいぞ!」 いいのかよ!ビビらせんなよ!
「いいのかよ。ダンからはAランクだって聞いたぜ?」 アックス!余計な事言うなよ!
「チッ!確かにAランクに黒豹の魔物はいるが、素人に簡単に見つかるようなヤツじゃない。襲われて初めて気づくようなヤツだ。お前らが見つけられたなら違う魔物かもしれん。専門のヤツに再調査させる。」
・・・なるほど。俺らも襲われるまで気づかなかったもんな。
「ふーん。」 アックスが興味なさそうに返事をする。
聞いておいてなんだよその態度!睨まれてるだろ!
「言っておくが報告が嘘だと判明したらランクアップ取り消しとペナルティがあるからな!」
やけにあっさりOKしたと思ったがあとで取り消せるからか。
「嘘ではないので大丈夫です。」 青髪が涼しい顔で答える。
興味なさそうなアックス。
目立たないようにしているジミー。
あせっているのは俺だけだ。
「憶測で余計な情報を広めるなよ!分かったらとっとと帰れ!」 切れ気味に怒鳴られ追い出された。
「ふぅ。」 あせったが何とかなったな。
俺があせっていたのはバレていたかもしれないが、話の流れ的にアックスの態度にあせっていただけだと思われただろう。実際半分以上はそのとおりだしな。
もしかしてそれを狙ってあんな態度だったのか?
見ると、さっそくアックスは喧嘩をしていた。
・・・何も考えてないだけだな。まあいいや。
依頼の報酬受取と青髪のギルドカードの更新を行った後、素材買取所に大猪を売りにいった。
大猪2体と猿と蛇数体をドドンと出すと、買取所の職員もさすがに驚いていた。
しかしやはり詮索はされないようで、何も言われなかった。
そしてなんと大猪は1頭あたり金貨10枚だった。2頭売ったので20枚だ。こりゃダンが大笑いするわけだ。俺らもまた大猪を狩りに行くか。
高すぎると思ったが、よく考えたら軽自動車サイズの猪だからな。地球の牛の何倍も肉や皮がとれるし牙とか骨も使えるのかもしれない。そう考えると高くもないのだろう。美味いしな。
そうして再び平和な冒険者生活に戻った俺達は、しばらく大猪とオークを狩ってすごした。アド山には近づきたくなかったから別の場所だ。
東の川を渡ってしばらくいった先にある森でも狩れるとのことだったので、何度かそっちへ行った。
アド山の件は、ちゃんと痕跡も見つかり、獣の咆哮を聞いたという情報から、俺達の報告は正しかったと判断された。 ・・・咆哮は俺が指示したやつだろう。
黒豹は見つからなかったが、どこかに去ったんだろうという結論になったそうだ。
そして狩の合間に、また思いついたことをいろいろ試してみた。
まずは速い移動手段がほしくなったので、黒豹に乗って移動できないか試した。
だが、軽く走っただけで振り落とされてしまった。
体感的には鞍を用意した程度では無理そうだ。縛り付けるくらいでないと落ちるだろう。
黒豹は木に登ったり上下にも移動する動物だしな。上に乗るようにはできていないらしい。やはり乗るなら馬だな。
馬は馬車から外すと馬車が収納できなくなるので、完全に倉庫としてしか使っていなかった。
馬をどうにか乗り物として使用するため、馬車の検証を行った。
馬車をアックスにつないだり荷物を降ろして軽くしてジミーにつないだりした結果、普通に引く力があれば他の配下でも馬車をつけて収納できることが分かった。
これは背負う荷物も同じだったが、普通の速度で運ぶことができれば括りつけた馬車や荷物も収納できるようだ。
これで馬が解放された。
そして馬車はどの配下に取り付けたかというとオークである。
オークは力があるので普通に馬車を引けた。
馬車ならぬオーク車が誕生し、今後は馬を買わなくても馬車だけ買えばいくらでもオーク車を増やせるようになった。まあ馬車だけでも高いが。
そんなこともあり、オークは売らずに毎回配下にすることにした。
そして鞍を買ってきて馬に取り付けた。
アンデッド馬を馬を扱うような店に持っていくとバレそうだと思ったので、鞍などの馬具だけ買ってきた。
馬具の付け方なんて知らなかったが、ジミーが知っていたので付けてもらった。なんでもできる男である。なぜできるか聞いたら、奪った馬を乗り回したときに覚えたそうだ。盗賊だからね。
さっそく馬に名前を付けて愛馬とした。
黒いアンデッド馬だから名前は「ヨカゼ」だ。漢字だと夜風だな。松風とか大好きなのだ。
馬は最初は怖かったが、少し練習すれば問題なく乗れた。
配下なので指示すれば言うとおりに動くし、HPのおかげで尻も痛くならなかった。
これで馬以外を収納して無限の体力のアンデッド馬で走れば移動速度爆上がりである。まあ俺は疲れるけどな。
ただ一人で馬に乗っているときに不意打ちキルされたら終わるから基本一人では移動しない。
まあHPはそこそこあるし即死しなければ配下を出せるから大丈夫だとは思うが、強者の不意打ちをくらったら即死しそうではある。
心配しすぎかとも思ったが、実際アックスは盗賊だったわけで、アックスに不意打ちされたら一人だと即死するだろう。盗賊は普通に不意打ちしてくるしな。横にジミーがいないと不安だ。ジミー依存症である。
なので基本は鉄仮面のメンバーと一緒に走る。人が見えたら怪しまれないように歩く。人に見られない場所なら黒豹のノワリンと一緒に走る。
俺以外は疲れないから俺が馬に乗るだけでもだいぶ移動速度が上がるんだよね。今までは俺が疲れるから遅かっただけだからね。
そしてオークと大猪を両方10体まで狩った結果レベルが1上がった。
オークの配下も16体まで増えた。大猪よりオークの方が数が多いからね。
今のステータスはこうだ。
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名前 ユージ
種族 人間Lv16
年齢 18
職業 死霊術士Lv16
HP 442/442
MP 1330/1330
身体能力 25
物理攻撃力 25
物理防御力 25
魔法攻撃力 161
魔法防御力 161
ユニークスキル
死体収納
スキル
配下作成
配下解放
配下回復
配下探知
配下
上級アンデッド 36
ゾンビ 6
スケルトン 1
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現在の配下はこうだ。
戦闘員
黒豹 1(ノワリン)
斧士盗賊 1(アックス)
戦士 1(青髪)
盗賊 5(ジミー)
オーク 15
フォレストスネーク 1
クロウモンキー 1
無職 2
スケルトン 1(オーク)
ゾンビ 6(人間)
非戦闘員
オーク 1(馬車)
大工 1
無職 4(荷物持ち、ATM君、料理解体係、ギルバーン)
ハイイロオオカミ 1(グレイ)
ツノウサギ 1(つのっち)
馬 1(ヨカゼ)
合計 43
大分戦力も充実してきた。
増えたのはオークとスケルトンだ。
骨だけを材料にすればスケルトンができるのではないかと思い試してみたらできた。
結論からいうとスケルトンを作る意味はなかった。
オークを解体してオークの骨で作ってみたが、予想はしていたが大分弱体化した。
特徴としては、ゾンビより動きが速いがパワーや耐久は低い。フラフラどっかいったりしないしちゃんと指示も聞くのでゾンビよりは使いやすいが別に強くはない。
まあ上級アンデッドの方が何倍も強いから骨だけしか手に入らなかった時以外作る意味は無いな。ドラゴンとか強い魔物の骨だけ手に入ったりしたら作るのもいいかもしれない。
そんなこんなでお金もだいぶ貯まったので、何を買うかのんびり考えているところだ。
オーク用の馬車を買うか、オーク用の盾を買うか、アックスの鎧を強化するか、もっと良い使い道はないかとか考えている。
そんな平和な暮らしを楽しんでいた。
しかし平和を壊す者はいつだって突然やってくるものだ。
誰も望まない結末を迎える出会いが近づいていた。




