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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
外伝 錬金術師が悪い死霊術士と戦うお話

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外伝32 王宮での作戦会議

 次の日、聞いていた通りに午前中に王宮での緊急作戦会議の予定が入ったので、関係者と共にエルフの国の王宮へ向かった。


 私以外の参加者は、ガイラルと外交官と補助員数名だ。

 場合によっては、王宮から出撃するかもしれないらしく、出撃準備もしてある。


 どうやら正式な会議らしいので、私は久しぶりに豪華な軍服に袖を通した。階級がさらに上がったことで豪華さが増している。

 神殿のイメージカラーである白を基調に太陽を表す赤の装飾が施されているのは変わらないが、さらに所々金の意匠が追加されていて、赤いマントには金の肩飾りも追加されている。

 そして胸に勲章が2つ付いた。

 国内最強を表す太陽の戦士章と多くの功績を上げた者に与えられる十字章だ。

 私は戦いでの功績はあまり無いが、これまでの錬金、鑑定、情報提供などの功績が再評価されて十字章の勲章が与えられた。

 情報提供というのは日本人の情報や魔導外骨格の情報などのことだ。

 あまり気にしていなかったが色々と功績があったらしい。

 まあ国民や他国に対して見栄えを良くするために勲章を増やしただけかもしれないが。



 馬車に乗り王宮に向かうと、美しい城壁が見えてきた。


 王宮の城壁は、星形城塞のようになっているようだ。弓や魔法などの遠距離攻撃を重視した構造なのだろう。

 城壁や防衛設備は町の外壁と同じように木を支柱にして石やコンクリートで作られているようだが、表面には艶のある綺麗な色の焼き物が張り付けられていて美しく装飾されていた。


 城門をくぐると、王宮が見えた。


 エルフの国の王宮は、太さが10m、高さは100mはありそうな巨木に、建物が螺旋状に巻き付くような独特な構造になっていた。まるで巨木が螺旋状に広がるスカートをはいているようだ。

 王宮は基本は木造のようだが、補強や装飾には色々な素材が使われていて、木の素朴な感じではなく、豪華な宮殿といった様相になっている。


 入口で用件を伝えると王宮の中に案内された。

 王宮の通路の壁や床は不思議な模様の布で装飾されていて、勾玉に似た飾りがついた魔道具の照明が並んでいた。

 内装は、中国の伝統的な建物を縄文時代のセンスで装飾したような独特の雰囲気だ。

 おそらく大昔からの伝統と最新建築が混ざっているのだろう。


 私たちは豪華な会議室に案内され、指定の席に座って待つように指示された。

 メインテーブルに座るのは私とガイラルと外交官の3人のようだ。


 会議室にはすでに結構か数のエルフ達がいて、準備をしていたり座って待っていたりしていた。

 そして何人かが私を見て驚いた表情をしていた。

 ここに来る途中にも、町中と同じように何人かのエルフが私を見て驚いた表情をしていた。敵意は感じないが、この場で問い詰めるのも良く無さそうな雰囲気なので、あとでガイラルに調べておいてもらうことにした。



「これより緊急作戦会議を始めます。」

 進行役からアナウンスがあり、会議が始まった。

「他国の方もいますので、まずは参加者の紹介を行います。」

 メインテーブルの参加者が紹介された。


エルフの国の参加者

 軍師長アリエフハイン(議長)

 迎撃軍将軍クライムレインス

 流星の精霊弓士長フェリアスデイン

 従軍軍師フォイグラートル


ルディオラ太陽神国の参加者

 銀翼の守護戦将アスカ

 先遣隊長兼戦術師ガイラル

 主任外交官ブライト


 他にも軍人や文官らしき人達が後方の補助席に待機している。


 私の今の役職は守護戦将というものになっている。

 これは指揮官適正の無い軍人の最高位の役職で、最高戦力級の軍人がつく役職だ。

 戦将というのは戦う将軍という意味だ。守護という言葉がつくのは、宗教国家のルディオラでは、軍は神の教えの守護者であり神殿の守護者であるとされているので、高位軍人の役職には守護がつくものが多い。


 軍師や戦術師というのは参謀のことだ。国によって呼び名が違うだけだ。


 精霊弓士というのは精霊使いと弓士のレベルを上げると覚える上位職で、ルディオラにとっての聖騎士のようなポジションの最上位職だそうだ。

 精霊弓士長は「流星」という二つ名を持っているようだ。


 精霊弓士長は何故か私をじっと見てほほ笑んでいる。

 怪しいが、とりあえず無視することにした。



 その後、大きな地図がボードに張られ具体的な作戦内容の説明が行われた。

 事前にエルフの国の軍師とガイラル達が話し合って決めたそうだ。


 作戦の内容はこうだ。

 現在、レイライン王国の侵略軍は、南東の国境から森の都のある北西に向かって進軍している。

 私は、森の都から高速飛行で移動して侵略軍に西側から近づき、敵が迎撃態勢を整える前に約2kmの超遠距離から魔導ライフルで奇襲攻撃を行う。

 敵の物資をメインに攻撃して反撃が来る前に一旦撤退する。

 次の戦場になる予定の敵の進路上にある町に攻撃結果を報告する。

 町で一泊し、翌日今度は北側から同じ様に攻撃して、結果を再び町に報告。

 二回の攻撃を行った後は、攻撃の成否にかかわらず森の都に帰還し、結果を報告して作戦終了となる。


 主目的は物資破壊による敵の足止めと弱体化。

 副目的は超遠距離攻撃に対する敵の対応能力を見ること。


「作戦の説明は以上になります。質問やご意見ありますでしょうか。」

 聞いた限りではルディオラで聞いていた通りなので、問題はないだろう。


 特に意見は無かったので、黙っていると将軍が私に聞いてきた。

「銀翼殿に確認なのだが、貴殿の能力は報告は受けているし我らの同胞もゴルドバで直接見ているので疑うわけではないのだが、本当にこんなことが可能なのか?」

「ええ、問題なく可能よ。」

「そうか・・・。」 将軍はとても信じられないという表情だ。


 続いて従軍軍師が発言した。

「アスカ殿にお聞きしたいのですが、出発日時と攻撃予定日時はどうなりますでしょうか? 我々としては今も同胞が被害を受けているので早めに出撃していただきたいのですが。」

「出撃準備はしてあるから、今日の午後すぐに出発すれば今日中に一回目の攻撃は可能よ。」

 事前に準備はしてきている。あとは着替えて出発するだけだ。敵の位置までは約600kmといったところなので少し急げば2、3時間で着くだろう。

「なっ、この距離で今日中だと?!確かなのか?!」 将軍が驚いて声を上げた。

 後方の補助席もザワザワしている。

「将軍。アスカ殿はルディオラの国境から半日でここに到着しています。間違いないかと。」 従軍軍師が答える。

「そ、そうか・・・」

「では、今日午後一に王宮広場より出撃できるよう準備しましょう。」 

 軍師長が落ち着いた様子でそう言って部下に目くばせをすると、部下が慌てて部屋を出て行った。

 王宮広場から飛び立てということだろうか?


「アスカ殿から何か質問はありませんか?」 軍師長が聞いてきた。

 私はひとつ気になったことがあったので聞くことにした。

「敵の防衛力が低かった場合、私はどこまでやっていいの?」

「といいますと?」

「私の攻撃はユニークスキルなどで防がれる可能性も高いと聞いているけど、防御できる敵が不意打ちの初撃で死んだり不在だったりして普通の軍隊程度の能力しかなかった場合は、私だけで全滅させることもできるわ。その場合は全滅させてもいいの?」

 人を大量に殺すのはあまり気は進まないが、復讐者である私が今更人殺しをどうこう気にすることはない。今までも盗賊は殺しているし侵略者も盗賊と似たようなものだ。何度も出撃させられるくらいなら一度で全滅させた方がいい。

「なっ、何を言っているんだ!普通の軍でも防御魔法くらい展開できる!不意打ちは有効だろうが敵が防御態勢をとれば全滅などできるものではない!」 将軍が怒ったように言ってきた。

「普通の防御魔法なら打ち破れるわ。」

 ルディオラでやった演武では軍が張った防御魔法も簡単に突破できた。

「そのような戯言を信じられるか!」

「将軍。落ち着きなさい。」 議長の軍師長が将軍をたしなめる。

「くっ!」 将軍が不満げに押し黙る。

 どうやら軍師長には逆らえないようだ。

「今の質問への回答ですが、敵が弱かった場合でもアスカ殿は物資への攻撃だけしていただければ結構です。敵の撃破はこちらで行います。もちろん多少は攻撃していただいても問題ありませんが、削りすぎない様にお願いします。」

「わかったわ。」

 可能なら私がやってしまった方が被害が少なくて良いと思うが、どうやら敵は自分達で撃退したいようだ。政治的な理由かもしれない。

「ふん。大言ばかり吐きおって。」

 将軍が小さい声で文句を言っている。

 私が強いことが気に入らないのだろうか?

 敵に回った時のことを考えると信じたくないのかもしれない。


 すると今まで黙っていた精霊弓士長が将軍に対して声をかけた。

「将軍。精霊の友たるアスカ殿に対して失礼ですよ。」

「何?!精霊の友だと?!・・・間違いないのか?」

 将軍は驚いたあと神妙な顔つきになった。

 他のメンバーも皆驚いている。

 精霊の友? 私が持っている精霊といえばジェリーだが・・・

「はい。間違いありません。しかも導師の素質がお有りです。」

「導師・・・バカな・・・・」 将軍は唖然としている。

 他のエルフ達も皆驚いているようだ。


 さすがに気になったので聞いてみることにした。

「精霊の友とは何のことなの?」

「精霊と友誼を交わした者のことです。アスカ殿の連れている光の中位精霊からは幸せの波動とアスカ殿に対する好意の波動が感じられます。」

 光の中位精霊? 機械式魔導精霊の材料は低級精霊だが、ジェリーは低級精霊ではなかったのだろうか?

「フェリアスデイン、光の中位精霊というのは確かなのですか?」 軍師長が精霊弓士長に質問した。

「はい。間違いございません。」

「どういうことだ? アスカ殿は人間ではなかったのか?」 将軍も精霊弓士長に質問した。

「それは分かりませんが、我々から見てアスカ殿が信頼に値する方であることは確かです。」

「・・・そうか。しかし光の中位精霊ということはもしや?」

「私はその可能性も十分に有ると考えています。」


 将軍は何かコソコソ話したあと、私に向かって言った。

「アスカ殿。先ほどは失礼な態度をとってしまい申し訳ない。我々は今後アスカ殿を信頼して支援することをお約束する。ぜひ我々と友好的な関係を築いていただきたい。お願い申し上げる。」

 先ほどまでとは打って変わって真摯な態度だ。

 精霊を連れていることはそれほど大きいことなのだろうか?

「ええ。こちらこそお願いするわ。」

 ともかく今後の魔導外骨格の強化などを考えるとエルフの国は味方にしておきたい。私にとっても好都合なので、喜んで受け入れることにした。



 その後、作戦会議も終わり、私には王宮滞在用の個室が与えられ、食事をとった後に着替えてすぐに出撃することになった。



 美しく整えられた王宮広場では簡易出発式が行われ、魔導外骨格を装着した私は、多くのエルフの高官が見守る中、大空に飛び立った。



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