第79話 海の魔物配下と水着作戦
島に帰った俺は、とりあえず配下に船の修理を指示した。応急処置はしたので一応浮いているが、専門家の修理が必要らしいので、しばらくは使えないだろう。まあ、まだ魔の森の拠点に2隻あるので問題ない。
カイザーで飛んできたことと、船がボロボロになっていることに、また町の人達がワーワー騒いでいたが、町への説明は配下達にまかせて、俺は捕まえた魔物を確認することにした。
拠点予定地の前の綺麗な海岸の浅瀬に魔物を次々に出して配下作成を行っていく。まだ明るい時間だが、今日は曇っているので問題ない。
次々に暗く光る魔法陣が死体の下に現れ、黒い光が死体を包む。
海が黒く光っていて不気味な光景だ。
しかしやはりタコはかなりでかいな。足も含めた全長は俺達が乗っていた船と同じくらいあるぞ。20mくらいありそうだ。ちなみにサメは5mくらいだな。サメでも十分でかいが、タコと並べると小さく見えるな。
配下にした魔物のステータスを確認していると建設現場にいたヨゾラさん達が寄ってきた。
「思ったより早かったじゃない。良い魔物は捕まえられた?」
海が黒い光で染まったりして目立つからな。気になったのだろう。
「船が壊されてしまったので早めに戻ってきました。」
朝出発して昼くらいに船が壊されたので、まだ日は高い時間だ。サメの釣り場は飛べば1時間もかからない場所だからな。
「ええ!?大丈夫だったの?」 ヨゾラさんが心配してくれた。ちょっと嬉しい。
「船底に穴が開いてしまったので今修理中です。海は魔の森のように強い魔物が多い危険地帯みたいですね。」
「そうなの?!よくそんな場所を航海できるわね?」 やはりヨゾラさんも俺と同じようなことを思ったようだ。
「魔物除けを使って刺激しないようにすれば大丈夫みたいです。今回は意図的に魔物を引き寄せましたからね。でもそのおかげで強そうな魔物を配下にできましたよ。」
「なるほどね。どんなのが捕れたの?」
「ちょうど今性能確認をしようとしていたところです。一緒に見てみましょう。水に入るので皆も水着に着替えた方がいいですよ。ついでに皆で一緒に泳ぎましょう。」
俺は水着に着替えている。水中で配下作成を使うし、ステータスには泳ぐ速さは表示されないから、水中での確認が必要だ。仲間外れは嫌なので、ついでに皆で遊ぼう。
「え? 私達もですか?」 ユリアさんは戸惑っている。
プールで何回も泳いだけどまだ水着が恥ずかしいのかな?
「わーい。」 ヨーコちゃんは喜んでいる。泳ぐのが好きなのだろう。
「何よ急に。水着が見たいだけなんじゃないでしょうね。」 ヨゾラさんがジト目でにらんできた。
ギクッ! いやもちろんそれもあるが、それだけじゃない。
「いえいえ。今回思ったんですが、海は危険地帯ですし、今後も海の近くで活動することになりそうですから、泳ぎの練習はしっかりした方が良いと思うんですよ。レイライン王国と海で戦う可能性もあるわけですし、海に落ちてもある程度自由に動けるように主要メンバーは全員泳ぎの練習をした方が良いと思うんですよね。特に俺達は命にかかわりますから泳ぎの練習は必須です。」
「・・・うーん。確かにそうね。」 納得しているな。あともう一押しだ。
「今後は空いた時間ができたら、できるだけ皆で泳ぎの練習をしましょう!配下達はアンデッドなので溺れないですが、この世界は泳いだことのない人が多いので、水中だと動きがかなり悪いです。いざという時のために主要配下は全員練習させましょう!生存率がかなり違うはずです!」
ついでに女性配下全員に水着を着せるぞ!
「・・・何かやけに力が入っているのが怪しいけど、全員泳げた方が良いのは確かね。わかったわ。今後は空いた時間に皆で泳ぎの練習をしましょう。」
よっしゃ! ヨゾラさんの許可が下りたぞ!
フフフ。計画通り!これで日常的に水着美女が見れるぞ!・・・まあ今さっき適当に考えた計画だけどな。
さっそく人妻エルフさんに女性配下全員の水着を作るよう指示しよう。男どもは町で安物を適当に買ってくればいい。
「戦いのためですね!がんばります!」 ユリアさんの賛同も得られたようだ。
ユリアさんは山育ちなので泳ぎが苦手なようだが、戦いのためにやる気になっている。まあもっと気楽でも良いと思うが。
「毎日泳ぎましょうよ!」 ヨーコちゃんは泳ぐのが好きなので大喜びだ。
ヨーコちゃんは運動神経が良いから、ちゃんと教わればすぐ泳げるようになるだろう。今までは自己流で適当に泳いでいただけだからな。
ヨーマ君は町に行っているらしく今はいない。後で伝えよう。
まあ、水着は良いとして仕事の続きをしよう。ちゃんと仕事もしないとヨゾラさんに嫌われてしまう。
そして俺達は海の魔物に詳しい海賊配下に話を聞きつつ、捕ってきた魔物のステータスや泳ぐ速さなどを確認した。
色々確認した結果、今回配下にした魔物で使えそうな魔物は、タコ、サメ、カジキマグロ、クラゲの4種類だ。見た目が似ているだけかもしれないが、地球にもいる生物を攻撃的デザインにして大きくした感じだ。
まずは大ダコだ。こいつはでかいしステータスも高い。水魔法と闇魔法と幻術が使えて近接戦闘もできる万能型のようだ。地上基準だとAランクくらいのステータスだが、海で戦えば人間にとっては地上のAランク魔物より遥かに倒すのが難しいだろう。器用で頭も良いらしく、指示した相手を触手で捕まえたりもできる。しかも予想外に泳ぐのも速い。サメやカジキほどではないが、足ヒレをつけた海賊配下よりだいぶ速いので、単独長距離移動も十分可能だろう。海での主戦力になりそうだ。
海の魔物に詳しい配下に話を聞くと、この大ダコは危険海域で戦闘をしたり騒いだりしていると稀に現れる魔物で、その容貌と強さから「海の悪魔」と呼ばれて恐れられているらしい。ただ、滅多に現れないので数をそろえるのは難しいようだ。
良い戦力になりそうなのに残念だな。まあ魔の森でもAランク魔物は中々見つからないしな。仕方ない。こいつを高レベルにすれば、うちの水中最強になるだろうから十分だろう。
タコだから美味いのか聞いてみると、討伐したという話は聞いたことがないし、食べたがる人もいないので知らないそうだ。現れたら基本全力で逃げるらしい。
機会があったら食べてみたいな。アンデッドの肉は毒だし不味いらしいので食べられないからな。アンデッドが食べられたら美味い肉や魚貝がスキルで無限に生産できたのに残念だ。
ヨゾラさんと二人で食べてみたいと話していると、ユリアさんとヨーコちゃんがドン引きしていた。
・・・どうやらこの世界の人はタコは食べないようだ。まあ地球でも西洋人は食べなかったらしいし、日本人には美味そうにしか見えないが、言われてみれば悪魔っぽく見えなくもない。触手だしな。はいよる何とかっぽい。美味いんだけどな。いやこの世界のタコは不味いかもしれないか。
次はサメの魔物だ。こいつはノコギリのようなギザギザがあちこちについた5mくらいのサメで、噛みつきと体当たりとヒレでの切り裂きが攻撃手段の近接パワー型だ。防御力も高い。頭は悪いようだ。完全に脳筋物理タイプだな。しかしそれでいてスピードも速いのでシンプルに強い感じだ。ステータスはBランク程度だが、高レベルにしたら海で人間が勝つのはほぼ無理だろう。
パワーがあるのでベルトなどを巻けば配下を引っ張って泳ぐことも可能だ。強いし使い勝手が良さそうだ。数もそれなりにいるようなので、タコは俺の護衛兼切り札にしてこっちを主力にした方がいいかもしれない。今後も集めよう。
サメなので味にはあまり期待できないが、配下にこいつは美味いのか聞いてみた。
漁の対象ではないので、食べたという話は聞いたことがないらしい。普通は逃げるか薬品を使って追い払うだけだそうだ。
一般的にサメは、仕留めた直後はそれなりに美味いが、時間が経つとすぐに不味くなるのであまり売れないため、狙ってとる人はいないらしい。フカヒレとかも知らないようだ。
まあ無理に食べなくてもいいか。見た目も美味そうじゃないし。今後も全部配下にしよう。
3種類目はカジキマグロだ。2mちょっとくらいの大きさでステータスはCランク程度だが、こいつはとにかく泳ぐ速度が速い。旋回性能はサメやタコに劣るようだが、一直線に泳ぐ速度は今のところ一番だ。槍のような鼻先で突進攻撃を行うのでステータスの割に攻撃力も高い。まあ突進しかできないみたいだが。
海賊配下はこいつのスピードにまったくついていけなかったようだ。それでどうやって捕まえたのかというと、わざと腹のど真ん中で突進を受けて鼻を腹に突きさして動きを遅くしたそうだ。それでも止まらなかったようだが捕まえられる速度にはなったらしい。
・・・アンデッドならではの捕獲方法だな。人間だったら1匹捕まえるたびに1人死ぬから無理な方法だ。
とにかく速いしそこそこパワーもあるので、レベルを上げれば人間配下を乗せて高速移動できそうだ。数も多いようだし突進も強いので海での一般兵としても使える。
サメも移動用に使えるが、サメは戦闘の主力になりそうなので、移動用や偵察用はカジキにしよう。頭は悪いようなので単独での偵察できないかもしれないが、人間配下を乗せれば問題ないだろう。船を見つけるだけなら海賊配下じゃなくてもできるから、偵察は余ってる兵士にやらせてもいい。
4種類目はクラゲだ。傘部分が3mくらいのサイズで、海賊配下だけで捕ってこれた魔物の中では一番ステータスが高い。Bランクくらいある。動きは遅いが麻痺攻撃ができるようだ。
アンデッドには麻痺が効かないから捕獲できたんだろう。遅いから偵察などには使えないが、麻痺攻撃があれば魔物の捕獲が楽になるのではないかと思っている。俺が毎回カゲイチにおんぶされなくても済むかもしれない。暴れる魔物に毎回俺が近づくのは危ないし面倒だからな。
ステータスも結構高いし、人間は水中で麻痺=死亡なので対人戦力としても強いだろう。
というわけでこの4種類を中心に集めて海軍を作ろうと思う。タコは見つからないかもしれないが他の3種類は数をそろえられるだろう。他にも良い魔物を見つけたら随時つかまえていこう。
レベル上げもしなければいけないし、俺はまたしばらく忙しくなるな。
だんだん晴れてきたので、今日のところはアンデッドをしまって皆と泳いで遊ぶとしよう。
しばらくするとヨーマ君も合流し、一緒に南の島の海を楽しんだ。
レイライン王国や魔王など将来戦うことになりそうな相手は多いが、心と体の健康のためには楽しむことも必要だろう。
泳ぎ疲れた俺は、沈む夕日を眺めながら、南の島のフルーツとココナッツジュースを味わった。




