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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
外伝 錬金術師が悪い死霊術士と戦うお話

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外伝26 撤退


 気が付くと私は、バリアに包まれながら町の上空を飛んでいた。


 ジェリーが私を持って飛んでくれているようだ。


 ボーっとする頭で気を失う前の事を思い出す。おそらくジェリーが私を守りながら逃げてくれたのだろう。ジェリーは強化されて私を運びながら飛ぶことも可能になっている。

「ジェリー追手は?」

「追跡者ノ反応ナシ。」

 どうやら空を飛ぶ私を追ってこれてはいないようだ。念のため戦う準備をしよう。

「ジェリー。魔導外骨格装着。」 「ピー。魔導外骨格装着シークエンス起動。」 シュイーン

ガシュン ガシュン ウイーン

 空を飛びながら魔導外骨格が装着され、脱いだ装備は魔導コンテナに収納された。



 適当に飛びながら状況を確認しよう。


 不意打ち対策の一環で、ジェリーには各種回復薬を色々持たせていて、私が戦闘不能になった場合は、ジェリーの判断で治療や撤退をするよう指示してあった。

 私は何をされたか分からないまま突然気を失ったが、あの場にいた誰かから攻撃されたのだろう。私は味方は勝手に鑑定しないようにしているが、飲食物は全て鑑定しているので、出されたお茶等には異常はないことを確認している。


「ジェリー、私が何されたか分かる?」

「データベースニ無イスキルニヨル干渉ヲウケマシタ。ユニークスキルニヨル攻撃ノ可能性アリ。」

 ユニークスキルか、マサノブかもしくは兵士が日本人だったのかもしれない。

「私が気を失った後の映像はある? あるならゴーグルに表示して。」

「了解シマシタ。映像ヲ再生シマス。」

 ジェリーには録画再生機能があるので、会議や戦闘など重要な場面は録画しておくように指示している。


 映像が再生された。

ーーーーーーーー

「緊急バリア展開。不明スキルニヨル攻撃的干渉ヲ検知。意識レベル低下。」 

 視点が私の背中側なので分かりにくいが、私が気を失った瞬間、ジェリーがバリアを張ったようだ。

「む!何かしているぞ!取り押さえろ!」

 マサノブが叫び兵士が動き出した。ジェリーを見ているだけで動かない兵士もいる。

「離脱開始。牽制射撃開始。」

ドドドドドドドドドド

 ジェリーが魔導バルカンを乱射し、部屋を派手に破壊しながら窓を突き破って空に飛びだした。

「治療開始。」

 ジェリーが空を飛びながら魔法薬を使い、私が起きた。

--------------


 どうやら気絶した以外は攻撃を受けていないし、ほとんど時間もたっていないようだ。

 映像を見ても何をされたか分からなかったが、マサノブの指示で攻撃されたのは間違いなさそうだ。思ったよりあっさり逃げられたようだが、機械のジェリーに気絶させるスキルが効かなかったのかもしれない。

 なぜこんなことをしたのか分からないが、レイライン王国軍と戦闘になる可能性がある。すぐにルギスとガイラルに合流して状況を伝えなければ。


 すぐに滞在していた太陽神教の神殿に向かった。



 レイライン王国軍が神殿に来る可能性もあるので、魔導外骨格で武装したまま神殿の事務室に向かう。神殿の人達は私を見て驚いていたが、私はすでにかなり有名になっているので、初めて見て驚いているだけで不審者扱いされたりはしなかった。

「ルギスとガイラルはいる?!」

「えっ?!銀翼様ですか?!しょ、少々お待ちください!」 事務員が慌てながら奥に呼びに行く。

「アスカ様!どうされたのですか?!」 ルギスが出て来た。ガイラルはいないのだろうか? こういう時はベテランのガイラルにも相談したい。

「緊急事態よ。マサノブから攻撃を受けたわ。話し合いの最中の奇襲だった。」

「!!・・・分かりました。すぐにガイラルや兵達と合流しましょう。ガイラルは兵の野営地に行っています。 事務長! 聞いていたか! 戦闘になる可能性がある! 非戦闘員の避難や交渉の準備をしろ!」

「分かりました。直ちに準備に入ります。そちらもお気をつけて。」 事務長が答える。険しい表情だが落ち着いているようだ。

 さすがエリート軍人だけあって、ルギスも戦闘に関しては判断が早い。もしかしたらこういう事態も想定していたのかもしれない。


「ルギス。時間が無いから飛んでいくわよ。念のため手をつないで。」

「えっ?! は、はい!!」

「ジェリー。ルギスを浮かせて。一緒に飛ぶわ。」

「了解シマシタ。」

 ジェリーの無属性魔法でルギスの体が浮き上がり、手をつないで一緒に空に飛び上がる。手をつなぐのは突然攻撃されて魔法が解除されても落とさないようにするためだ。

「うわっ!」

 ルギスは、少し驚いたようだが、さすがに取り乱したりはしていない。

「これが、神の使徒の視点・・・」

 何やら感動した様子で不穏な事を言っているが、完全な間違いとも言えないのが微妙なところだ。

「神殿の人達は大丈夫なの?」

「は、はい。ここが戦場になる可能性も考えていたので避難準備はできています。仮に捕まったとしても機密を知っているわけでもない非戦闘員なので、そこまで酷い扱いは受けないはずです。」

「そう。ならいいわ。」 そういうことなら自分達のことに集中しよう。



 討伐軍の幹部は町に滞在しているが、一般兵達は町の外で野営している。

 ルディオラの野営地にはすぐに着いた。


「見ろ!銀翼様だ!」「あれが・・・本当に光る翼で飛んできたぞ。」 ザワザワ


 飛んできたので兵士達の注目を集めてしまったが、気にせず着地してガイラルがいるという天幕に入った。


「ガイラル!いるか!」 ルギスがガイラルに声をかける。

 ガイラルは兵士と打ち合わせをしていたようだ。

「ハッ!・・!! 何があったんですか!?」 ガイラルは武装している私を見て緊急事態を察したようだ。

「アスカ様がレイライン王国軍から襲撃を受けた。アスカ様、状況説明をお願いします。」

「ええ、マサノブに呼び出されて、私の装備を魔王対策に使いたいから入手方法を教えろと言われたわ。色々話して復讐が終わったら教えると言ったら、突然気絶させられた。何をされたかまったく分からなかったから、多分ユニークスキルね。幸い奇襲対策を色々していたから逃げることができたし、すぐ起きることもできた。ついさっきの話よ。」

「なるほど、アスカ様を捕らえようとしたということですね?」

「そうね。情報を聞き出そうとしていたから殺すつもりは無かったと思うわ。」

「お怪我はありませんか?」

「ええ、怪我は無いわ。教えられた通り武装解除を拒否したから何とかなった。おかげで助かったわ。武装解除していたら捕まっていた。」

「いえ、それも我々の仕事ですから。 おい!聞いていたな!偵察を出せ!招集と戦闘準備もだ!」 「ハッ!」 兵士の一人が出て行った。

「この後はレイライン王国と戦闘になるの? それに討伐の後に教えると言ったのになぜ襲ってきたのか分かる?」

 私は思っている疑問をガイラルに聞いてみた。動きは遅かったが真剣にドラゴン討伐を考えている様子だったのに、なぜ討伐の後ではダメなのかが分からない。

「それについては、ちょうど情報部の状況予測がまとまったところです。今のアスカ様の話も予測が正しいことを示しています。今日明日にでも対応を相談しようと思っていたのですが、後手に回ってしまったようです。」

「もしかして多くの国を敵に回すというあれが事実だったのか?」 ルギスが言った。

 多くの国を敵に回す? どういうこと?

「はい。ルギス中隊長にはいくつかの可能性を伝えていましたが、今回まとまった予測を説明しますと、ギルバーン討伐軍は最初からゴルドバを占領して手に入れることが目的だったようです。我々も世界会議もゴルドバも、レイライン王国に騙されていたということです。」

「どういうこと? 最初からユージ達と戦うつもりが無かったということ?」 真剣に見えたが演技だったの?

「いえ。ゴルドバ占領が主目的ですが、その過程でギルバーンと戦うことになる可能性は高いと考えていたようで、真剣に対策をしていたようです。なので我々も騙されてしまいました。」

「・・・ゴルドバは各国が拠点を置いているから手を出せないと聞いているわよ?」

「はい。普通は手を出せませんが、各国を敵に回しても勝てると考えているなら別です。情報部はレイライン王国が黒髪黒目の者達を手に入れたことで、各国を敵に回しても勝てると考えたと予想しています。それに実際には力を見せれば警戒して攻めてこない国も多いと考えたのでしょう。」

 日本人達の力があれば何とかなるということか・・・

「今日私が襲われたのはなぜなの?」 ユージ達と戦うつもりなら私は味方でいた方がいいと思うが、不要だと判断されたのだろうか?

「はい。おそらく、ギルバーン達がレバニールの町を去ったという情報が入ったからでしょう。我々も今日情報を入手しました。」

「え!? どういうこと?! ユージ達が戦う前に逃げたの?!」 

「理由は不明です。討伐軍から逃げた可能性もありますが、別の目的で移動した可能性もあります。空を飛ぶドラゴンを手に入れたとなると色々な場所に行けるでしょうから、研究のためなど別の目的を見つけて移動したとしても不自然ではありません。」

「そんな・・・・。どこに行ったか分からないの?」 

「魔の森の奥に飛んでいったとか、海を越えていったというような噂はあるようですが、残念ながら確かな情報はまだありません。」

「そう・・・」 この討伐軍に賭けて準備をしてきたのに、無駄足だったということか・・・

 また居場所を探す所からやり直しなの?

「・・・確かなことは言えませんが、ドラゴンを手に入れた以上、派手な行動を起こす可能性は高いです。情報収集をしていれば、いずれ見つかるでしょう。」

「・・・そうね。ありがとう。今は目の前の危機を乗り越えることが重要ね。この後どうするの?」

「はい。まずアスカ様が襲撃された理由の続きですが、情報を聞き出すこととアスカ様を仲間にすることが目的だと思われます。」

「仲間に?どういうこと?」 襲ったら仲間にならないと思うが。

「今回レイライン王国は、アスカ様の力を行軍中に知ったわけですが、いずれルディオラや各国を敵に回す予定のレイライン王国にとっては、アスカ様のドラゴンに比肩する力は予定外の脅威だったはずです。急遽対策を考えたことになります。ギルバーンとの戦いが起きるようなら、ギルバーンと戦わせて弱ったところを狙うのが定石ですが、ギルバーンとの戦いが無くなったため、アスカ様がいつ去ってしまうか分からないので、急遽呼び出して説得してみて無理なら奇襲することにしたのでしょう。」

 急遽だったから武装解除などが色々甘かったのか。でもどちらにせよ仲間にはならないと思うが。

「でも、ルディオラや各国と戦争すると分かったら拒否するのは向こうも分かっているだろうから、仲間にするのは無理じゃない? それに黒髪黒目の者達も魔王相手ならともかく他国との戦争は拒否する人が多いと思う。そこはどうするつもりなのかしら。」 戦争に利用されると分かっていて日本人が素直に従うとは思えない。

「これは不確定な推測なのですが、レイライン王国は黒髪黒目の者達を強制的に操る手段を持っているのではないでしょうか?」

「操る?そんなことができるの?」

「一応人を操る魔道具は存在しますが、非常に希少ですし戦闘では壊れる可能性が高いので、戦闘員には使えません。今回の場合は、おそらくユニークスキルだと考えています。」

 ・・・人を操るユニークスキルか。確かにあってもおかしくはない。

「人を操るユニークスキルを持つ一人だけを、説得か脅迫か魔道具で従わせて、従わない者達は操られているのではないかと考えています。」

「私も捕まっていたら操られていたということね・・・。」

「あくまで推測ですが、その通りです。アスカ様が捕まると、我々だけでなく本国も非常に危険になりますので、決して捕まることのないようにお願いします。」

「・・・ええ、分かったわ。」 操られてルディオラと戦わさせられるかもしれないということか・・・

「今後の対応ですが、レイライン王国もいずれ敵になるとしても援軍に来ている各国とすぐさま開戦したくはないでしょうし、アスカ様の能力も知っていますから、軍で正面から攻撃してくる可能性は低いです。内々にアスカ様を捕らえようと、夜襲などはしてくる可能性がありますので常に警戒をお願いします。あとは神殿の人員などを人質にとってくることも考えられます。人質対応は太陽の炎も同じだと思いますが、組織で対応しますので個人で対応することのないようにしてください。先ほども言いましたが、アスカ様が捕まると人質の命どころではなくなるので、捕まらないことを最優先にお願いします。」

「ええ。」

「今後の我々の行動ですが、ここにいても危険なだけですので、各国の援軍と協力しつつ速やかに撤退したいと考えていますが、よろしいでしょうか?」

「ええ、いいわ。」 ユージ達と戦えないのであれば、ここにいる意味はない。

「ああ、それで構わない。」 ルギスも承諾した。



 その後、各国の援軍と連携して、レイライン王国に警戒しつつ撤退が行われた。ゴルドバにも各国の外交官が滞在しているため、レイライン王国への対応役は軍から外交官達に移ったようだ。


 そして私は、一人で飛行してルディオラに帰ることになった。


 陸路ではレイライン王国を通過しないとルディオラに帰れないが、私がいると足止めや罠をしかけられる可能性が高くなる。別行動する方がお互い危険が少ない。


 私はルギスから報告書を受け取り、レイライン王国を避けて海の上を飛んだ。




 快晴の空の下、輝く景色とは裏腹に、私の心はどんよりと曇っていた。





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