外伝24 銀翼のアスカ
ギルバーン討伐軍が出発して10日ほど経った。
特に何事もなく、空き時間が多かったため、私は奇襲された際に魔導外骨格を素早く装着できるよう、普段の装備をすぐに脱げるように改造したりして過ごしていた。
その間に私が戦闘参加するための交渉が進められており、私の実力を討伐軍に披露することが決まった。
私の能力は大げさに言っているだけだろうと思われている節があるようだが、私がルディオラの代表であり元勇者パーティーの一員でもあることから、それなりに高い能力があることは間違いないので、確認する必要があると判断されたそうだ。
当初は少人数に対してこっそり見せることを考えていたようだが、魔導外骨格の見た目や空を飛ぶ能力はかなり目立つので、行軍中に隠れて見せることは難しいと判断され、隠さず大勢の前で披露することになった。
ルディオラとしては、普通は切り札になるような戦力を他国に簡単に見せることは無いが、私がいつ出て行ってしまうか分からない立場で、場合によっては討伐が終わったら戻ってこない可能性もあるため、披露して問題ないと判断されたそうだ。ルディオラ側が詳細を把握する前に出て行かれるより披露してしまった方がマシということらしい。これは指揮官のルギスが正直に教えてくれた。
私としても、目立つことで面倒ごとが寄ってくる可能性はあるが、全力で戦うためには目立つことは避けられないので、今回の戦いでユージとギルバーンを逃がさず仕留める事を最優先に考えて、大勢の前で披露することに同意した。
私の能力を披露する当日。
その日の移動が終わり、日が傾き夕方になる前、討伐軍の主要人物が見守る中、大勢の兵士達からも見える位置でそれは行われた。
「それではアスカ様。お願いします。」
「わかったわ。ジェリー、魔導外骨格装着。」
「ピー。魔導外骨格装着シークエンス起動。」 シュイーン
透明なバリアが張られ、普段はジェリーの魔導コンテナに格納されている魔導外骨格が現れる。
私は手早く鎧や靴を脱いで、体が魔導外骨格に重さなる位置に立つ。
ジェリーの無属性魔法で体が浮かび上がり、後ろから展開された状態の魔導外骨格が私に覆いかぶさるように近づき、装着される。
ガシュン ガシュン ウイーン
機械音が鳴り魔導外骨格が装着され、銀色で所々青く光るロボットような見た目になった。
「おお!」「な、なんだあれは?!」「この世界に機械が?!」
魔導外骨格の装着シーンを見て皆驚いている。
一時的に全身タイツの様な格好になるので装着シーンを見せるのは微妙に思ったが、事前にルギスとガイラルに相談したところ、装着後は誰だか分からなくなるし、印象も良くなるため、装着シーンも見せた方が良いということになった。
私は女の武器を使う気はサラサラ無いが、ルギスとガイラルは真剣に成功率を考えているようだし、戦場で気にするようなことでもないため、意見に従うことにした。
そしてまずは飛行能力を披露する。 ウイィン バシュゥゥン!
可変ウイングを高速飛行モードで展開して上空に飛び上がる。
キーン ゴオオオオオオオオ
キーン ゴオオオオオオオオ
ザシュウゥン
背中の推進装置から光を放ちながら全力で飛んで、討伐軍の端から端まで2往復ほどして元の場所に着地する。
「ほ、本当に飛んだ!!」「は、速い!!」「これほどとは・・・」
討伐軍の兵士もワーワー騒いでいる。
続いて魔導薙刀で事前に指定された岩を攻撃する。
空中に飛び上がり急降下しながらフォーリングアサルトのスキルを使って魔導薙刀で全力で岩を斬りつけた。
フォーリングアサルトは急降下しながら高威力攻撃を行う槍士の上級スキルだ。
ズバァァァァァン! ドゴォォォォォォォ
岩が跡形もなく砕け散り大地が深くえぐれる。
「何だあの威力は!」「本当にただの槍士のスキルなのか?!」
私が何をやるかの概要は事前に伝えてある。
次に空中から両肩の魔導バルカンを地面に向かって斉射する。
ドドドドドドドドドドドドドド
「凄まじい連射力だ・・」「一撃の威力もかなり高いぞ・・・」
そして空中戦ができることを見せるため、戦闘機動をとりながら攻撃目標の丘に魔導ライフルを撃つ。
バシュウゥゥン! ドオォォン!
バシュウゥゥン! ドオォォン!
バシュウゥゥン! ドオォォン!
「あ、あ・・・」「バカな・・・」「これは・・・」
最後に槍投げを見せる。
身体強化と物理攻撃強化を発動し、空中にバリアで足場を作成、魔法槍に火をまとわせ、風の投槍器で槍に加速と空気抵抗減少を付与し、投槍スキルを発動、魔導外骨格のパワーを使って全力で火の魔法槍を放つ!
チュイィン! ドゴオォォォォン!
空中に炎線を引きながら槍が見えない速度で飛翔し、丘が消し飛びクレーターができた。
槍投げの動作が最適化され、前回試した時よりさらに威力が向上しているようだ。
「・・・」「・・・」「・・・」 静まり返っている。
見学者たちは夕日に照らされて輝く機体を呆然と見ていた。
やりすぎたかもしれないが、指揮官に私の能力を正確に把握してもらうことは勝率にも大きく影響するので、間違ってはいないはずだ。
槍投げは、火の魔法槍が壊れてしまうため回数制限があるが、作戦を立てる上で必要な情報なので、見せておいた方が良いだろう。残りはあと6本しかないが。
全て見せ終わったので、私が魔導外骨格を脱いで普段の装備に着替えていると、ルギスとガイラルが駆け寄ってきた。
「アスカ様。お疲れさまでした。」
「ええ。でも一回ずつ見せただけだから別に疲れてはいないわ。」
「・・・そうですか。先ほどのアスカ様の演武は非常に素晴らしいものでした。正直一人の武人として心を動かされました。今日この場に立ち会うことができた幸運を神に感謝しています。」 ルギスが感極まるような態度で言ってきた。
ルギスはクールなタイプだと思っていたが熱い心を持った武人だったらしい。
機械で空を飛んだり銃を撃つのが演武と言われると違和感があるが、この世界の感覚では演武のようだ。
「アスカ様、話には聞いていましたが、実際に見ると非常に素晴らしい力でした。強制はできませんが、アスカ様にはできれば今後もルディオラに残っていただきたいと思っていますので、協力できることがあれば何でも言ってください。個人的なことも含めて私は協力を惜しみません。」 ガイラルも言ってきた。
・・・どうやら実際に能力を見て国から出すのが惜しくなったようだ。まあ純粋に国を思っての言葉で、変な工作をするつもりは無さそうなので問題ないだろう。
「ええ、ありがとう。少なくともユージとギルバーンの討伐が終わるまでは二人を頼らせてもらうわ。」 復讐を終えた後の自分の気持ちはまったく分からないが、少なくとも今は頼らせてもらおう。
「アスカ君、聞きたいんだが。」
マサノブが話しかけて来た。さすがに日本人でも驚いたのだろう。表情に現れている。
「ええ。」
「先ほどのロボットや銃は何だ? 文明度の低いこの世界で、あんなSFのような物があるとは思えないが、君が作ったのか?」
「あれもこの世界で見つけたものよ。この世界は、探せばああいう物が見つかる世界だということね。」 私の能力はこの世界に存在しない物を作ったりはできない。すでにこの世界にある物が作れるようになるというだけだ。
「そ、それは・・・」
「アスカ様、マサノブ様、ケリー将軍がお呼びです。」
「あ、ああ。分かった。」 何か言いかけていたが将軍からお呼びがかかったようだ。
「ええ。今行くわ。」
ケリー将軍というのは、今回のギルバーン討伐軍の総司令官で、50代くらいの百戦錬磨の猛将といった風体の将軍だ。先ほど見せた能力のことを聞きたいのだろう。
その後、ケリー将軍との会談が行われた。
ケリー将軍は、私の能力を褒めたたえつつも、細かい性能や継戦能力などの詳細を聞いてきた。豪快な見た目だが、さすがに大軍の将になるだけあって、戦いに関しては細かい確認作業にも手を抜かない性格なのだろう。
私も今更隠すつもりもないので、分かっている範囲でできるだけ正確な情報を答えた。
意外にも魔導外骨格の入手経路などは聞いてこなかった。私が他国の所属なので、そこまで聞くのは外交上まずいということのようだ。
マサノブはもっと色々聞きたそうにしていたが、将軍が聞けないことを聞くわけにもいかないらしく、私も相手をするのは面倒なので、会談が終わった後は、すぐに自軍の陣地に戻った。
その後、私には「銀翼」の二つ名が与えられた。
私は他人に話のネタにされたりするのは嫌だったが、ルギスとガイラルによると、二つ名は、単に兵士たちの息抜きの娯楽というだけでなく、士気向上の効果があると考えられていて、勝率を上げる定石の一つになっているそうだ。弱い者や無能な者に与えると逆効果なので簡単には与えないが、目立つ強者に与えると効果が高いらしい。
勝率が上がるのなら勝つことを優先して受け入れることにした。まあ、もともと断れる立場でもなかったが。
私の演武は、多くの者が見ていたし、ほぼ全軍から見える位置を高速飛行したので、「銀翼」の名はすぐに全軍に知れ渡った。
私は兵士達から「ルディオラの銀翼」や「銀翼のアスカ」などと呼ばれ、どこに行っても注目されるようになった。
好奇の視線は煩わしかったが、他国の軍も最優先で対応してくれるようになったのはメリットだろう。
実際の戦場でも味方に邪魔をされる確率が大分下がり、かなり動きやすくなったはずなので、悪い結果ではないだろう。
その後、交渉は全て予定通りに進み、戦う準備が整った。
これなら全力で戦うことができる。勝率も極めて高いはずだ。
あとは戦場で戦うだけだ。今度こそ必ずユージとギルバーンを殺してみせる。
私は殺意を滾らせて、戦いの時を待った。
季節はまもなく冬になり、私のレベルは44になっていた。
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名前 アスカ
種族 人間Lv44
年齢 20
職業 錬金術師Lv44 鑑定士Lv43 槍士Lv43 戦士Lv36
HP 13776/13776
MP 16467/16467
身体能力 68
物理攻撃 2611+5000
物理防御 1665+5000
魔法攻撃 1043+5000
魔法防御 999+5000
ユニークスキル
詳細鑑定
スキル
錬金
錬金レシピ
修復
付与
合成
複製
大量錬金
錬金術魔導書作成
鑑定
鑑定結果記載
鑑定記録
偽装解除
鑑定妨害
鑑定魔導書作成
槍術
パワースラスト
ハードチャージ
スマッシュジャベリン
ブロウスイング
ポールハイジャンプ
フォーリングアサルト
身体強化
物理攻撃強化
物理防御強化
魔法防御強化
威圧
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