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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
外伝 錬金術師が悪い死霊術士と戦うお話

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外伝20 地下遺跡


 翌日、私は太陽の炎の隊長になったという祓魔師のゲインに会うために隊長室を訪れた。

 ゲインは派手な服を好む嫌味っぽい顔と性格の男で、話していて楽しい相手ではない。


「入りなさい。」 面倒に思いながら私がドアをノックすると、中からゲインの声が聞こえる。

 部屋に入ると、執務机で作業をしていたゲインは私の方をちらりと見て頷いた。

「来ましたか。今までどこをほっつき歩いていたのですか。おかげで私はあなたの尻ぬぐいに大忙しでしたよ。」

 予想どおり嫌みを言ってきたが、それほど険しい表情ではない。思ったほど機嫌は悪くないようだ。

「悪かったわね。ドラゴンを倒す方法を探していたのよ。」 とりあえず一応謝罪をしておく。

「・・・なるほど。あきらめてはいないようですね。それは結構。」

「・・・どういう意味?」

「そのままの意味ですがね。あなたには早くユージやギルバーンを倒してほしいということです。今回呼んだのもその話をするためです。」

「・・・私はクビではないのね?」 ゲインが隊長になったと聞いて追い出される可能性が高いと思っていた。それならそれで一人でやるだけだが、動きにくくなるのは面倒なので残れるならその方がいい。

「そういう意見もありますが、あなたを追い出しても何のメリットもありませんからね。頭の悪い意見です。」

「意外だわ。あなたは私のことを嫌っていると思っていたけれど。」

「・・・ふむ。誤解されたままで暴走されても困るので伝えておきましょう。あなたのことは好きではありませんが、一部の者のように恨んだりはしていません。結果は悪かったですが、真剣に取り組んでいるのは分かっています。あなたに失敗の責任が無いとまでは言いませんが、あなたより聖女や指揮官などの上官の責任の方が大きいです。あなたより大きい権限を持っていたわけですからね。当たり前の話です。あなたに文句があるのは今回勝手に失踪した件くらいですよ。」

「そうなのね。」 思ったより冷静な考えを持っているようだ。それとも何か狙いがあってこんなことを言っているのだろうか。

「腑に落ちないようですね。では付け足しましょう。今回の一連の騒動で私は隊長になることができました。前隊長や副長が生きていたら、私は一生隊長にはなれなかったでしょう。おかげで自由に采配を振るえるようになりました。その結果、私は私の復讐を果たすことができたのですよ。騒動の後始末は面倒でしたが、聖女や前隊長に思い入れの無い私個人にとっては結果的に非常に良い状況となりました。あなたに感謝などという見当違いな感情はありませんが、恨むような気持は無いということです。むしろ未だかつてないくらい晴れやかな気分なのですよ。」

「・・・なるほど。納得だわ。」 この男は自分の復讐を果たしたのか・・・

 感謝とかされても気持ち悪いからいいけれど複雑な気分だわ・・・


「というわけで仕事の話です。あなたは知らないかもしれませんが、先日の世界会議でギルバーンが世界の敵に認定されました。」

「ギルバーンが世界の敵に・・?」

「はい。まあ各国が支援していた期待の勇者を殺したわけですからね。おかしな話ではありません。それは良いのですがね。世界会議では勇者を殺した死霊術士ギルバーンは魔王の手先であるとされたそうです。」

「ギルバーンが魔王の手先?」

「ええ。何度も戦ったあなたから見てギルバーンは魔王の手先だと思いますか?」

「・・・ギルバーンが魔王の手先とは思っていないわ。少なくともユージは力を持った悪人というだけで魔王の手先ではないはずよ。」 私達日本人は神の部下に魔王を倒すように言われて力を与えられた。魔王の手先ではない。仮にギルバーンが魔王の手先だとして魔王の手先と出会って手を組むだろうか? ・・・可能性は低いと思うが絶対かと言われると分からない。

「ふむ。やはりそうですか。まあそれはいいでしょう。これにともないレイライン王国で討伐軍が組まれることになっています。」

「討伐軍が!? ・・・私はそれには参加できるの?」 私が装備作りをしている間に思ったより話が進んでいるようだ。討伐軍が出るなら参加したい。

「そう言うと思っていました。結論から言うと参加可能です。ただ、本来なら我々もそれなりの軍を出すところですが、色々あって我が国は、今回は小規模部隊の派遣にとどめることになりました。あなたが希望するならその部隊に加わることになります。」

「・・・小規模部隊でいいから参加するわ。」 聖女や隊長が死んでゴタゴタしたからだろうか?

「分かりました。出発は1ヵ月後になりますので準備をしておいてください。安心してくださいレイライン王国はかなりの数の軍を出すそうなので勝算は十分あるでしょう。」

「そう、分かったわ。」 数でドラゴンを倒せるのだろうか? まあ何か対策はあるのだろうが、私の方でも対策はするべきだろう。

「ところでドラゴンを倒す方法は見つかったのですか?」

「一応見つかったけれど、まだ用意はできていないわ。それを用意するためにエルフの国とと獣人の国に行きたいから許可して。」 ついでに出国の許可をもらっておこう。

「ふむ?分かりました。本当にドラゴンを倒せる物ができたら報告してください。」 あまり信じていないようだ。

「分かったわ。」


「それとあなたには念のため聞きたいことがあります。」

「何?」

「いつかの会議で聖女がこの場では言えないと言っていた聖女やあなた、そしてユージが黒髪黒目でユニークスキルを持っている理由は何でしょうか? 勇者とその仲間の数人も黒髪黒目だそうですね。知っていることがあれば教えてください。今なら言えるのでは?」

 ・・・日本人の情報を伝えるべきだろうか?

 というか勇者は国に日本人や神の部下の話を伝えたと言っていた。各国でもある程度情報を共有しているとも。ゲインは太陽の炎の隊長になったのに知らされていないのだろうか?隊長が死んだから引き継ぎができていないだけ?

 この国の上層部が知っているのであれば私が勝手に伝えるのも良くない気がするけど、特に口止めはされていない。今後の動きやすさを考えればゲインを味方につけておいた方が良いか。すでに多くの人が知っているはずだし。

「どうです?」

「とりあえず、いつかの会議の場で話せなかったことを話すわ。」


 私は、私達が神の部下から力を与えられ、魔王を倒すよう指示されてこの世界に送り込まれたことを話した。


「そのようなことが・・・。にわかには信じられませんが、色々な情報から考えると真実の可能性は高いですねえ・・・」 ゲインも色々心当たりがあるようだ。

「勇者はこの話はレイライン王国には伝えてあって各国ともある程度情報共有されていると言っていたわ。ゲインは隊長になった時に上から知らされていなかったの?」

「・・・そうですねえ。魔王復活の可能性については知らされていましたが、神の指示を受けた者達については知らされていません。まだ隊長になって日が浅いせいかもしれませんが・・・意図的に私に隠していた可能性もありますね・・・いやこの国の上層部もそこまで知らない可能性も・・・しかしそうなると魔王の手先の話は・・・」

 なにやらぶつぶつ言いながら考えている。

「話は終わりでいい?」

「ん?ああ、ええ、結構です。この件はこちらでも調べておくので他言無用でお願いしますよ。」

「分かったわ。」 私は思案を続けるゲインをおいて部屋を出た。


 何やらきな臭い感じだったが、魔王関連は国や他の日本人にまかせて私はユージやギルバーンを殺すことに専念しよう。

 出発まで1ヵ月しかないが、これまでどおり太陽の炎の上級討伐隊員の権限も使えることになったし、移動速度や製作速度が上がった今ならドラゴン対策も何とか間に合うかもしれない。少しでも時間を確保するため、討伐部隊とはレイライン王国の首都で合流することにしてもらおう。現地合流にしてもらえば馬車でゆっくり移動しなくて良いから使える時間が増えるだろう。



 次の日、獣人の国の入国許可はすぐにおりた。獣人の国は神官が少なく、アンデッド対策を苦手としているため、アンデッド討伐部隊の太陽の炎の存在はありがたがられていて割とすぐに入国許可が出るそうだ。逆にエルフの国は自力解決能力もそれなりに高く比較的排他的な気質のため、入国許可には多少時間がかかるらしい。

 当初はエルフの国から行こうと思っていたが、時間があまり無いこともあり、ジェリーを増やすための精霊採集よりドラゴン対策の戦闘用魔導外骨格を優先して先に獣人の国に向かうことにした。


 獣人の国はルディオラの北にあり、山や森、高原などが多い自然豊かな場所だ。

 数時間ほど北に飛ぶと国境についたので、国境の警備所で出国手続きを行ったが、獣人の国側には検問などは何もない。話を聞くと獣人の国では入国手続きなどは無く、町で提示を求められた際に、入国許可証を見せれば問題ないそうだ。獣人の国はかなり緩い国のようだ。こちらとしては都合が良いので、時間短縮のためにどこにも寄らずに目的地に向かうことにした。



 美しい自然を眺めながら空を飛び、空が夕暮れに染まるころ目的地についた。

 馬車なら10日以上かかる距離を1日で飛んできたことになる。この調子なら討伐軍にも間に合うかもしれない。

 着いた場所は、木の生い茂った低い山が連なっていて、見たところ何もない。

「ジェリー、魔導外骨格の製作拠点がどこにあるか分かる?」

「ピー。周囲ヲサーチシマス。」

 ジェリーが周囲を飛び回る。

「ピー。右前方150。地中ニ建造物ノ反応アリ。」 魔導ゴーグルに位置情報が表示された。

 ゴーグルに表示された場所に来てみたが、木が生い茂っているだけで何も無い。どうやら完全に埋まっているようだ。まあ大昔の施設なら不思議ではないだろう。兵器を作っていたなら元々地下施設だった可能性もある。

「ジェリー入口を探して。」

「ピー。発掘作業ヲ開始シマス。」

 ジェリーが穴掘りを開始した。ジェリーの資源採取システムには鉱物資源の採取機能もついているので穴掘りはお手の物だ。

 ジェリーの作業を見ているとみるみる大きな穴があき、建造物らしき物が見えて来た。正面入り口らしき頑丈そうな巨大な扉が見えて来たが、開くのだろうか?

「ジェリー、開きそう?」

「ピー。動力ガ停止シテイマス。緊急用通路ヲ捜索シマス。」

 見たところ破壊はされていないが、動力は停止しているらしい。使えると良いのだけど。

「ピー。緊急用通路発見。ロックサレテイマス。」

 通路は普通サイズのドアで鍵がかかっているようだ。

「壊しても大丈夫そう?」

「リスク低。警備システムハ停止シテイルト推測シマス。」

「なら壊してもいいわね。」

 バシュン!バシュン! 

 とりあえずハンドガンを撃ってみたが意外と頑丈で壊れない。兵器を作っている場所だから頑丈なのだろう。

 仕方ない全力で攻撃してみよう。


ゴウ!ドガアァン!!


 槍投げを放つと今度はしっかりとドアが吹き飛んだ。少しやりすぎたかもしれない。

 中をのぞくと壁に槍が刺さっていたが、付近には重要そうな施設はなさそうだ。大丈夫だろう。たぶん。

「ジェリー中を調査して。」

「ピー。調査ヲ開始シマス。」

 こういった遺跡は中の空気に異常があったりなど危険があると聞いたことがあるので、調査はジェリーにまかせる。私はジェリーから送られてくる情報やリアルタイム映像をタブレットで見ながら待つことにした。幸い中のドアはジェリーでも壊せるようだ。

 映像を見ていると生産ラインらしき場所に作りかけの魔導外骨格らしき物が並んでいた。完成品もありそうだ。

 魔導外骨格は言葉だけではいまいちイメージが湧かなかったが、ロボットと鎧の中間くらいの物で、装着するロボットといったところのようだ。地球の戦闘機や戦車のように乗り込んで操縦するタイプではなく、装着するタイプの兵器になっているのは、おそらくこの世界にはスキルやステータスがあるからだろう。スキルやステータスを生かそうとすると自然とこういう形になるのかもしれない。


 調査が終わり、空気も問題なく警備システムも壊れていて安全な事が分かったので、私も中に入った。

 ただし、ほぼ全ての設備は経年劣化で壊れていて、設備も魔導外骨格も修理しなければ使えないようだ。まずは動力源の魔導炉から一つずつ修理していかなければならない。幸い材料は豊富にあるようなので何とかなるだろう。



 私はドラゴン対策に目途が立ったことに安堵しつつ、次の戦いへの決意を新たに作業を開始した。



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