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転生して死霊術士になったけど敵が多すぎてヤバイ!  作者: はくさい
外伝 錬金術師が悪い死霊術士と戦うお話

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外伝18 ジェリーの修理


 私は失意のままレイライン王国の首都まで戻った。


 ゴルドバは敵の可能性があるので、身分を隠しつつ移動し、国境は空を飛んで通過した。

 他に生き残りがいないか気になったが、私には探すすべが無いので、一旦戻るしかなかった。


 レイライン王国の首都まで戻り、顔見知りの文官に私の見たことと勇者の安否も不明であることを報告すると王城は大騒ぎになった。

 今のところ他の生き残りからの報告は来ていないらしい。私は空を飛んで移動したので、かなり早く到着したはずだ。生き残りがいないと決まったわけではない。


 私は今後どうすべきか考えたが、ユージやギルバーンを倒す方法は何も思いつかなかった。討伐軍を送ってもドラゴンに勝てるとは思えない。


 もはや私にはレイライン王国にもルディオラ太陽神国にも仲間と呼べる相手はいない。


 いるのは壊れたジェリーだけだ・・・


「ジェリー、私はどうしたらいいの・・・」 何と無しにジェリーに問いかける。

「ガガ・・・損傷・・・修理・・・」 ジェリーが何かを答えた。

 よく聞き取れないが、修理について言っているようだ。

 修理か・・・ ジェリーを見つけた遺跡に行けば修理できるかもしれない。


 何もすることが無い私はジェリーの修理のためにルディオラにある遺跡に向かうことにした。


 顔見知りの文官にルディオラに戻ることを伝えると、私の処分などが決まっていないため引き留められたが、どうやら引き抜き手続きはまだ終わっていなかったらしく、私はまだルディオラの所属になっているため、強制はできないようだった。

 ユージの討伐に失敗した今、レイライン王国にいる理由もないので、引き抜きをキャンセルする旨伝えてレイライン王国を去ることにした。

 ユージの討伐と引き換えに勇者の仲間になるという約束だったので、ユージの討伐に失敗し勇者もいない今の状況なら、約束を破ったことにはならないはずだ。


 ルディオラの外交官にも事の顛末と一旦ルディオラに戻ることを伝え、引き留める文官や外交官を無視して出発した。

 もはや彼らの考えや国の事情などどうでも良かった。



 気分を紛らわすために、グライダーの改良作業をしつつ空を飛んで移動した。

 ルディオラの首都に寄っても面倒な事を言われるだけなので、そのまま遺跡に向かう。


 魔物が出る場所に行くので、途中の町で薙刀の材料を買って新たな薙刀を作った。幸いお金は今までの仕事の報酬が使いきれないくらいあるので、良い素材を購入でき、設備も親切な鍛冶屋で借りることができた。ただ、光属性を付与できる素材は手に入らないので、火の薙刀だ。火属性の素材も貴重だが、途中の町で毎回素材屋に寄っていたら、運良く売っている店があった。


 遺跡のある森に到着し、記憶を頼りにしばらく探し回ると目的の遺跡を見つけた。

 特にルディオラの調査隊などはいないようだ。見張りの兵などもいない。

 聖女のセイラが研究する予定を立てていたが、セイラが死んでそれどころではなくなったのだろう。

 鑑定結果は伝えているので、貴重な物だとは分かっていると思うが、Bランク魔物が出る森にあるので、そう簡単に警備の派遣もできないのかもしれない。


 中に入ると弱いアンデッドが少しいただけで、以前来た時と変わっていなかった。魔導炉も稼働しており、動力も問題なさそうだ。


 詳細鑑定で修理に必要な素材は分かっていたので、購入可能な素材は途中で購入してきた。

 一部手に入らなかった素材もあったが、前回修理した時の残りの素材と倉庫に積んであった壊れた魔道具の残骸から必要素材を集めて修理することができた。


「ジェリー、調子はどう?」

「ピー、システムオールグリーン問題アリマセン。」 いつもの子供っぽい機械音声でジェリーが答えた。修理は成功したようだ。

 MPが尽きてしまったので、今日はここに泊まっていこう。


 暇になったので、ジェリーと話すことにした。以前からジェリーと話すだけで何となく癒される気がしていた。ペットのような効果があるのかもしれない。今となっては唯一の仲間でもある。ジェリーが治って少しだけ気分が上向いた気がする。


「ジェリーはこの場所について何か知っている?」 会話の内容は何でもいいので適当に聞いた。

「ピー、ネットワークニ接続シテイマス。コノ建物ハクルセイド社クラウ地方研究所デス。」

「ネットワークに接続できるの?」 以前はネットワークに接続できないと言っていたが、この場所では接続できるのだろうか?

「ピー、ローカルネットワークニ接続シテイマス。ワールドネットワークニハ接続デキマセン。」

 この建物内のネットワークには接続できるが、インターネットは接続できない感じのようだ。

「何か役に立つ情報はあった?」

「任務ニ有用ナ情報ヲ検索中。」

「任務?」

「個体識別名ユージノ討伐ガ任務設定サレテイマス。」

 そういえば以前そんなことを言っていた。

「有用情報該当42件。機械式魔導精霊設計図、オプション品設計図、人間用装備設計図、基本技術情報、希少材料入手ポイント座標、戦闘用魔導外骨格製作拠点座標ヲダウンロードシマシタ。」

「え?」

 設計図や材料入手場所が分かるの? どこかにサーバーみたいな物があるのだろうか?

「セキュリティとか無かったの?」

「セキュリティハ解除サレテイマス。不正侵入ノ形跡アリ。」

 ・・・まあ滅びた文明の遺跡だし、滅びた時に情報戦などがあったのかもしれない。

「設計図や地図を見せてもらうことはできる?」

「画像出力装置ガアリマセン。指定ノ物体ニ物理記載ガ可能デス。記載位置ヲ指定シテクダサイ。」

 紙に書くことはできるということだろうか。試しにメモ帳を出して渡してみる。

「ピー、推奨サイズデ記載スルニハ不足シマス。」 紙が足りないようだ。確かに精密機械の設計図なら一つ一つが分厚い冊子のようになるだろう。

「希少材料の入手場所だけ記載してみて。」 

「了解シマシタ。」

 ジェリーがレーザーのような物で紙に書き始めた。レーザーで線を引けるようだ。意外と早い。

 書き終わった紙から見ていくと、最初は印のついている大陸の地図で、次が素材一覧、そして素材がある場所の詳細地図という構成のようだ。

 ただ大陸の形や地形は私が見たことのあるこの世界の地図と微妙に異なっている。地形が変わるくらい古い物なのかもしれない。今も素材が入手できかは分からない。

 素材一覧を見ると入手できなかった素材や聞いたことも無い素材が並んでいる。そして精霊の採取場所も載っている。ジェリーを増やせるのだろうか。


 しかし問題はこれらの情報を使えばユージに勝てるのかということだ。

「ジェリー。今回の情報を使えばユージに勝てるの?」

「ピー。敵戦力情報不足。勝率不明。」

 分からないようだ。

「予想でいいからドラゴンに勝てるかは分かる?」

 せめて今回見たドラゴンに勝てるかは知りたい。

「ピー。敵ドラゴン推定戦力計算中。戦闘用魔導外骨格ヲ装着スレバ敵ドラゴン一体ヲ撃破可能ト推測。」

 ・・・ドラゴン一体なら勝てるということか。

 ドラゴン以外にも敵には戦力は多いが、ドラゴンを倒せるなら討伐軍と組めばユージに勝てる可能性がある。


 燻っていた胸の中の黒い渦が再び暴れ出しユージを殺せと叫ぶ。

 私は止まることなんてできない。今も毎晩思い出すたびに胸が苦しくなる。

 やれることがあるなら全力で進むだけだ。

 


 私は行動を開始した。

 まずはジェリーのオプション品のタブレットが作れないか試す。タブレットがあれば偵察や録画再生や遠距離通信ができるようになるし、情報の表示に大量の紙が必要なくなる。単純にパソコンとしても使えるだろう。


 以前私は、精密すぎる装置や大きな装置はMPが足りなくて作れないと思っていたが、それは間違いだと気づいた。装置の作り方が分かるということは部品の作り方も分かるということだ。一気に製作するにはMPが足りなくても、小さい部品一つだけなら作ることができる。部品を全部作ってから組み立てれば良い。

 この方法なら大きな魔導炉だって作れる可能性がある。小さいジェリーやタブレットなら材料と設備さえあれば作れるだろう。


 遺跡内に残っていた紙や壁などにタブレットの設計図を書かせ、魔道具の残骸から使えそうな材料をかき集め、数日かけてタブレットを作ることに成功した。


 タブレットは中々多機能で、動画撮影、編集、文書作成など色々できた。まあそういった機能は使う予定はない。とりあえずこの場所のサーバーにある情報を色々見ていると、ここは機械式魔導精霊と日常用装備を開発する研究所らしい。日常用装備というのは、ハンドガンや携行バリアなど日常生活で持ち歩く護身用装備のことだ。ジェリーに使われている技術の転用だろう。それ以外にも基本的な技術の情報も色々ある。


 私は使うか分からない情報も含めて、可能な限りの情報をタブレットに保存した。


 そして使えそうな物を色々作るために、しばらくここに滞在することにした。



 私の戦いはどちらかが死ぬまで終わらない。

 改めて戦い続けることを決意して、物作りに励んだ。




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