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夢と科学の交差点

大学病院の診察室にて

第一土曜日の午前中、精神科医の松田真人まつだ まさとは、音楽の天才として知られる18歳の青年、諸星煌もろぼし きらと向き合っていた。


「先生、最近、非常にリアルな夢を見るんです。」


諸星は少し緊張した様子で話を切り出した。


「夢の中で、僕は全く別の世界にいて、『アポロン』と呼ばれているんです。」


松田は眉をひそめたが、興味深そうに続きを促した。


「それは興味深いね。どんな夢なんだい?」


「空がもっと広くて、星が手の届きそうなところにあるんです。それに、音楽が風のように流れていて、すべてが調和している感じがします。」


諸星の話を聞きながら、松田はその内容の鮮明さに驚きを隠せなかった。


「この夢が、君の音楽活動に何か影響を与えていることはあるかい?」


諸星は戸惑いながらも答えた。


「はい。最近、夢で聞いたメロディが現実でも浮かんでくることがあるんです。それが、今までにない斬新な曲として形になっているんです。」


松田は考え込み、静かに言った。


「これを調べる価値はあると思う。一度、記憶の再現装置を使ってみよう。」


理化学研究所での準備

数日後、理化学研究所にて。

松田は幼馴染である小泉悟志こいずみ さとしと共に、諸星煌の夢を再現する準備を進めていた。


「諸星君、これは記憶の再現装置だ。君の脳波データを解析して、それを映像として出力することができる。」


悟志が機械を指しながら説明した。


「ただ、まだ完璧ではない。再現できるのは一部の映像や断片だけだ。でも、夢の内容を掴む手がかりになるかもしれない。」


諸星は少し緊張した様子で頷いた。


「お願いします。」


記憶の再現とハッキング

実験が始まり、モニターに映像が映し出された。

そこには、広大な異世界の風景が広がっていた。星々が輝き、天空には銀河がゆっくりと回転している。その中央には巨大な神殿のような建物が見えた。


悟志が驚きの声を上げた。


「これが君の見た夢か?」


諸星は頷いた。


「はい…まさにこれです。この場所で『アポロン』と呼ばれていました。」


松田はデータを確認しながら呟いた。


「この映像は非常に鮮明だ……だが、ここで何が起きているのか、まだ分からない。」


その瞬間、モニターが突然暗転し、装置から警告音が鳴り響いた。


「何だ……?」


悟志が急いでコンソールを確認する。


「外部からアクセスされています!これは……ハッキングだ!」


画面に現れたのは、不正アクセスのログと共にシステムが次々と破壊されていく様子だった。


松田が鋭く問いかけた。


「どういうことだ?なぜこんなタイミングで?」


悟志は必死にシステムの保護を試みたが、機械は停止し、煙を上げて完全に破壊された。


記録の残存

沈黙が訪れる中、松田がデータストレージを確認すると、奇跡的に一部の記録が保存されていることに気づいた。


「悟志、記録の一部が残っている……だが、このタイミングでのハッキングは偶然とは思えない。」


悟志も画面を覗き込みながら頷いた。


「これは、誰かがこの実験を妨害しようとしたとしか考えられないな。」


松田は深く息をつき、再現された夢の断片的なデータを表示した。


「このデータを分析する必要がある。夢の内容がただの空想ではない可能性が高まった。」


新たな疑問と次の行動

その夜、松田と悟志は保存されたデータを改めて確認した。


映像には、銀河の回転、神殿のような構造物、そして聞き取れない言葉が断片的に記録されていた。


「これをどう解釈すればいいんだ……?」


悟志は呟きながら画面を見つめる。


松田は静かに言った。


「一つ確かなのは、誰かがこれを止めようとしている。夢の背後には、もっと大きなものが隠されているのかもしれない。」

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