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謎の遭遇と科学の狭間

理化学研究所の紹介

理化学研究所、通称「理研」。その名は日本国内だけでなく、世界の科学者の間でも広く知られている。


最新のテクノロジーと堅牢なセキュリティを誇り、物理学や生物学、化学など多岐にわたる分野の研究が行われている場所だ。


悟志さとしはこの研究所の一角にある自分のラボを、自宅から自転車で15分かけて通っている。初夏の夜風を受けながらペダルを漕ぐ時間は、彼にとって日常の中で数少ない静寂とリフレッシュのひとときだ。


疲労と謎の訪問者

その夜もまた、長い一日を終えた悟志は自転車で理研を後にした。研究データの調整に多くの時間を割き、頭も体も疲労に包まれている。


「今日の結果、やっぱり振れ幅が大きすぎたな…」


そんな思いを胸に、暗い夜道を進んでいると、ふと感じる異様な気配。


足を止めて辺りを見回したが、周囲には誰もいない。だが、次の瞬間――視界の端に、青白く光るものが映った。


視線を向けると、そこには異様な雰囲気をまとった人物が立っていた。瞳は青く発光し、その服装はこの世界のものとは思えないデザインだった。


「君は選ばれた。この世界の裏側を知る覚悟はあるか?」


声は低く響き、言葉ではなく脳に直接届く感覚だった。その瞬間、悟志の背筋に冷たいものが走る。心拍数が上がり、額にじんわりと汗が浮かぶ。


「…誰だ?何者なんだ?」


悟志は恐怖と好奇心が入り混じる中、震える声で問いかけた。だが、その人物は何も答えない。ただ、悟志の内側に向けてさらなる言葉を送ってきた。


「真実は、見えるものの背後に隠れている。君がそれを望むなら、扉は開かれるだろう。」


その声が消えると同時に、謎の人物も視界から消え去った。


悟志は呆然とその場に立ち尽くし、胸のざわつきを抑えきれないまま、自転車にまたがった。


自宅での会話

帰宅すると、リビングで裁縫をしている朋美ともみが顔を上げた。


「おかえりなさい。ずいぶん遅かったのね。疲れてるみたいだけど、大丈夫?」


彼女の目は心配そうに悟志を見つめる。


「うん…大丈夫。」


悟志はそう答えたが、表情からは明らかに動揺が伝わっていた。朋美は手を止めて彼のそばに寄り添い、優しい声で続けた。


「何かあったの?」


一瞬迷った後、悟志は謎の人物との出来事を話し始めた。


「研究所を出た後、変な人に会ったんだ。何というか、まるでこの世界の人間じゃないような雰囲気で…」


朋美は少し驚いた表情を見せたが、やがて冷静に言った。


「そんな不思議なことがあったのね。でも、今こうして帰ってこれたんだから、きっと大丈夫よ。」


その優しい言葉に、悟志は少しだけ肩の力が抜けた。


悟志の内なる葛藤

眠りにつく準備をしながらも、悟志の頭から謎の人物の言葉が離れなかった。


「君は選ばれた。この世界の裏側を知る覚悟はあるか?」


その声は、今でも脳の奥底に響いているようだった。


窓の外を見ると、満ちていく月が静かに夜空を照らしていた。悟志はため息をつきながらベッドに横たわり、心の中で問い続けた。


「俺が追い求めている真実は、本当にその向こう側にあるのか…?」


答えの出ない問いを抱えたまま、彼はいつしか深い眠りに落ちていった。

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