プロローグ
プロローグ
心して聞け、お前等。
僕はモテモテだ。
それはもうびっくりするくらいモテモテ。
より詳らかに語るならば、幼稚園から現在、高校二年生四月の今に至るまで僕はモテなかったためしがない。
小中学校の入学式ではまず真っ先に告白され、
体育祭文化祭の後は、必ずと言っていいほど教室に残っていてくださいと言われる。
修学旅行なんかの泊りがけの学校行事ではまるで決まり文句かのように夜中同級生から呼び出しを受けるわ、卒業式でもピンク色の便箋を渡された。
そんな、ほぼ二十四時間モテ続ける毎日。
現に早朝、校門から校舎に向かって歩いている今だって、
「キャー!愛可君こっち向いて―!」
だの
「キャー!抱いてー!」
だの、
周囲からあちこち黄色い声が(若干変な声もあった気がしなくもないが)飛び交っている。
かようにして、僕はモテモテなのだ。
今この小説を読んでいるお前等と違って、モテモテなんだ。
「愛可君―!今日も可愛いー!」
「俺、性別の壁なんて気にしない。壁は登るためにあるんだ!」
……モテモテなんだ。
「愛可君。昨日の身体測定で身長計るとき隣だったよね?俺、175センチで愛可君160センチだったよね?理想のカップルの身長差って15センチらしいよ?俺達もしかして……」
「愛可君、お弁当作ってきたんだけど、今日、僕と一緒に食べよ?」
モテモテ、なはずなんだ……。
「愛可君!昨日お手紙出した結木です!僕、君のことが大好なんだ!付き合ってくれ!」
「すいません!お断りします!」
……男にな!
御一読ありがとうございました。