半額シールの味
腕時計の秒針が刻一刻と
開始時刻を目指して進んでいる。
僕は、まだジュースしか入っていない
カゴを片手にスーパーの惣菜コーナーへ
移動する。
まばらに並ぶ惣菜たちには
まだ20%引きのシールしか貼られていない。
まだ、まだだ。
心の中は
部活の試合前の熱くも冷静な気持ちでいた。
今まで、テレビやドラマの中でしか
観たことがない半額戦争に今日、僕は
初めて参加しようとしているのだ。
半額シールが貼られる時間と
惣菜が安い値段に均一される日を
友人から情報提供して貰い
前日、お昼の買い物にいった時に
貼られるであろう物に
ある程度、目星をつけて置いたのだ。
狙うは、キャベツ半玉半額と
今日の晩飯と明日のお昼、できれば
晩飯のおかずを半額で買うことだ。
惣菜コーナーの近くにある
てきとーなパンコーナーやら
サラダコーナーを見ながら
店員が来るのを伺う。
そして、時計の針が目的時刻を差した数秒後
出てきた店員が何か機械で惣菜を調べている。
そして、遂に20%シールの上に半額のシールが貼られ始めた。
その事に夢中になってしまった僕は
周りにかなりの人がいた事に気付かなかった。
押し寄せる人の波、遠ざかる惣菜……
なんて事はなく、意外にも
手に入れた半額アジのフライの衣のように
サクッと手に入った。
激戦区じゃなかっただけかもしれないけど
やっぱりテレビのあれは
誇張してたのかと思った。
その後も美味しそうなチキンナゲットを
手に入れ、ひとまず夜、明日の昼のおかず
ゲット。
さて、残りは
明日の晩飯のおかずと半玉キャベツ。
明日の晩飯のおかずを探していたが
半額シールが貼られているものは
目星が当たらず、予想よりも数が少なく
惣菜コーナーで買うのは断念。
しかしたまたま、売れ残り処分ワゴンの
半額以下のパンを2つゲットし、クリア。
(人がここには結構いた。ちょっとごちゃごちゃしてて取りにくかった。)
そのラッキーな出来事に
ルンルンで野菜コーナーへ行った。
そこにはもうキャベツの姿はなかった。
少しガッカリしたけど諦めてレジへ
さて、金額は……400円とちょっと。
これが半額戦争業界では安いのか高いのかは
解らないが自分としては、満足出来たので実質勝ちだろう。
僕は気分よく戦利品を袋に詰め込み
スーパーを後にするのだった。
今晩の飯は、半額シールの味も
味わうことが出来たのだった。
読んで下さってありがとうございます!!
半額でも、うまいものはうまいんや。
シールが貼られている所を初めてみたとき
ちょっとワクワクしたのなんでだろ?