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デート2

書斎に行くと、不機嫌そうなウィルネスが立っていた。


「お父さま」


アイリスが声をかけても笑顔はない。


ウィルネスは顔が整っているため無表情だと怒っているようにみえる。


アイリスにはこの表情が怒りからきていないものだとわかっているので、特に怖いとは思わないが、知らない人なら何か怒られるようなことをしたかもと身構えることだろう。


「急に呼び出してすまないね。座りなさい」


そう言いながらウィルネスが座ったので向かいのソファに腰掛ける。


バンがすぐに紅茶を用意してくれた。


「何かご用事ですか?」


「うむ………セイウス殿のことなのだが」


言いにくそうにウィルネスが言うので


「もしかして、パートーナーは無理だとか言われましたか?」


と聞くと


「いや、快諾してくれたよ。それで、こんな手紙が届いたんだ」


ウィルネスが言いながらアイリスに手紙を渡す。


読んでいいという事だと理解して読んでみるとことにした。


読み終えるとウィルネスとは対照的にアイリスの顔が輝いた。


「セイウスさんから街へ行かないかというお誘いですね!」


手紙には近々、アイリスと街を一緒に歩く許可がほしいと書かれていた。


「前回の時に二人で会う機会を作ると約束したからな………私から断ることは出来ない。アイリスはセイウス殿と街に行きたい?」


「もちろんです!お父さまも私が街に行きたがっていることは知っているでしょう?セイウスさんは国で一番の騎士と伺っています。セイウスさんと一緒なら安全です!」


アイリスはずっと街に行きたいと思っていた。


学友達が遊びに行くと聞いて、一緒に行きたくてウィルネスに頼んだのだが却下されていた。


街は危ない。ご令嬢だけで歩いていたら危険すぎる。学生のうちは許可なしない。と取り付く島もなかった。


護衛をつけてもいいと言っても学生のうちはだめだと言われ続けていた。


街に行けるのはお祭りの時だけ。それも馬車から降りることは禁止されていたのだ。


アイリスが飛び級して早く卒業したのは、街に早く行きたかったからといっても過言ではない。


「確かにセイウス殿と一緒なら安全だとは思うが、まだお前には早い気がするのだ」


「私はもう学生ではありません!お父さまとの約束通り学生時代は街に行きませんでした。今回はもちろん反対されませんよね?」


「まぁ……反対はしないが………」


行ってほしくないと言わんばかりの顔をアイリスにむけるが、アイリスは気にしない。


「私、友人から聞いて行ってみたかったカフェと雑貨屋さんがあります。どうしてもそこには行きたいので、私がセイウスさんにお手紙を書いてもよろしいですか?」


行くこと前提の言い方にウィルネスは小さくため息をついた。


「はぁ………私からも許可をする旨の手紙を書くよ。行くのは構わないが、セイウス殿と離れないことと時間は決めさせてもらうよ」


「はい!お父さまありがとうございます。私、今からセイウスさんにお手紙を書きたいので失礼しますね」


アイリスはそう言うと、セイウスの返事を聞く前に部屋をあとにした。


街に行ける!


アイリスの頭はそれだけが支配していた。




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