告白1
念願のパフェを食べて大満足したアイリスは帰路に着く時間となった。
「お父様が許可くださる時間は短すぎます」
近くに待機していた馬車にセイウスにエスコートされて乗り込む。
「それだけアイリスさんが大切なのだと思いますよ。ところで………リズさんは一緒に帰らないのですか?」
「リズは実家の手伝いをしないといけないそうなので、今日はこのまま実家で過ごすごそうです」
「では公爵邸に向けて出発しても大丈夫ですか?」
「はい!大丈夫です」
アイリスに確認をとってから、馬車はゆっくりと動き出した。
「セイウスさん、今日は本当にありがとうございました。ネックレスに美味しいパフェにと、とても素敵な時間でした」
「そう言ってもらえると嬉しいです。私も楽しかったです。いいネックレスが見つかってホッとしています」
「本当に素敵なネックレスでした!誕生会に着けるのが楽しみです」
「私もカフスを着けるのが楽しみです」
セイウスは胸ポケットを軽く叩いた。
「お揃いを着けていたらパートナーっぽいですよね」
「そうですね。お互いのプレゼントでもありますし」
「あの……次に会うのは誕生会になりますか?」
「そうですね、おそらくそうなるかと思います。当日は早めに公爵邸に向かいます」
「ありがとうございます。パートナーがセイウスさんで良かったです」
屈託のない笑みを浮かべたアイリスを見て、セイウスが
「本当はただのパートナーとしてではなく、誕生会に参加出来たらと思っています」
と予想外のことを口にした。
「パートナーではなく……ですか?」
言葉の意味がわからずに困惑していると
「アイリスさん、12歳も年上の私からこんなことを言われると迷惑かもしれませんが………可能なら婚約者として貴女の隣に立ちたいと考えています」
真剣な眼差しにトクリと心臓が跳ねた。
「婚約者………ですか?」
「はい。最初はパートナーでじゅうぶんだと思っていました。しかし、貴女と何度も会ううちにそれだけだと満足出来ない自分に気がついたのです」
セイウスは小さく息を吐いた。
「貴女に初めてお会いしたとき、全身を稲妻が駆け抜けました。この衝動が一目惚れだと気づくのに時間はかかりませんでした。」
「一目惚れ、ですか」
「回りくどい言い方はしません。初めて会ったその日から私は貴女をお慕いしています。好きです」
まっすぐ射貫くように見つめてくる碧眼から目が離せない。
す………き………?
セイウスが?
いつも大人な態度で優しいセイウスがじぶんを異性として好意を持っているだなんて思いもしなかった。
何て答えるのが正解なのかわからずに、アイリスは視線から逃げるように顔を下に向けた。




