鼓動5
パフェはガラスの容器に入れられていた。
「現在はイチゴパフェになっております」
一番下にはクッキーを崩したもの。
その上にオレンジのジュレ状ゼリーにナタデココ。
さらにアイスクリームと生クリーム
最後にたくさんのイチゴが乗せられている。
「とても美味しそうです」
セイウスの席にはチーズケーキとコーヒーが置かれた。
「ごゆっくりお楽しみください」
慇懃にあたまを下げて去っていた店員を見送ってから、早速パフェを食べることにした。
イチゴはほどよい酸味で生クリームは甘い。
アイスも甘いがオレンジのジュレは甘さが抑えられていた。
ナタデココのコリコリとした感触とクッキーの感触もいい。
アイリスは一つ一つ味わいながらパフェを堪能した。
「とても美味しいです」
一度、感想を口にするとセイウスは満足そうな笑顔を浮かべた。
「念願のパフェは気に入ったようですね」
ゆっくりとゼリーを飲み込んで口を拭く。
「本当に美味しいです。今度、料理長に作れないか聞いてみようと思います」
「喜んでもらえて嬉しいです」
アイリスが食べる姿をセイウスは幸せそうに眺めていた。
しばらくしてアイリスはパフェをすべて食べ終えた。
「美味しかったです」
「飲み物はいかがされますか?フルーツティーが美味しいそうですよ」
「是非、飲んでみたいです」
セイウスは慣れた様子でフルーツティーとコーヒーを追加注文した。
「幸せそうに食べるアイリスさんを見ていると、こちらも幸せな気分になりました」
「そうですか?ふふ……本当に幸せだったので仕方ありません」
「また………一緒に外食しませんか?街にはここ以外にも美味しいレストランやカフェがあるんですよ」
「連れていってくださるんですか?」
予想外のセイウスの言葉に思わずテンションが上がる。
「アイリスさんが嫌じゃなければ私のおすすめのレストランに連れていきたいですね」
「是非!あ………でもしばらくは難しいですよね」
「そうですね。アイリスさんの誕生会が終わった頃には時間を確保できると思います。誕生会のあとも会ってくれますか?」
「もちろんです!セイウスさんとあちこち行くのはとても楽しいですし、セイウスさんが一緒ならお父様も許可してくださいます」
アイリスが即答したので、セイウスはホッと息を吐いた。
「約束ですよ?」
「はい!約束です」
飲み物がきたので、ゆっくりと口に運ぶ。
「私はいいのですが、セイウスさんは私と一緒だと嫌ではありませんか?」
「嫌ならこんな風に誘いませんよ。どうしてそう思うのですか?」
「私は世間知らずで面白味がないのではと思いまして………」
「まだ14才です。これからどんどん会話もおもしろくなりますよ。それに、私は一度だってアイリスさんといてつまらないと感じたことはありません」
「そういってもらえたらホッとします」
アイリスはフルーツティーを口にして笑った。
セイウスも自然と笑顔になり優しい空気が二人を包んだ。




