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残っていた力1

占いが終わり、やっと買い物をすることができる!とアイリスは高揚感を抑えることができなかった。


ここで、自分用と両親にお土産を買うつもりだ。 


店内はどの商品も素晴らしく、店ごと買ってしまいたい衝動にかられる。 


アイリスならそれが可能だ。


しかし、そんなことをすればこの店に迷惑がかかることは明白なので厳選した商品を数点買うことにした。


「楽しそうですね」


一生懸命候補を絞るアイリスにセイウスは目を細めた。


「はい!どれも可愛くて………」


「そんなに気に入ったのなら店ごと買いましょうか?」


アイリスと同じことを考えたセイウスに私達はやっぱり貴族だ………と思いながらも首を振った。


「いえ、厳選した商品だからこそ大事にするのです。それにセイウスさんとの初めてのデートの思い出ですからきちんと選びたいです」


「いちいち可愛いな………」


セイウスの声は必死なアイリスには届かなかった。


しばらく吟味して選んだ数点をレジに持っていき支払いをしようと思ったのだが………。


「貴女様からお金をいただくことはできません!」


と占い師に拒否されてしまい、半ば強引に商品を渡されてしまった。


「貴女様ならこの店のすべての商品を無料で提供します」 


「そういうわけにはいきません」 


アイリスは抵抗したが、占い師の意志の強さに押されて結局支払いをしないまま商品を受け取ってしまった。


昔から押しに弱い。


「またいつでもいらしてください」


店を出ると二人の姿が見えるなくなるまで、占い師は頭を下げ続けていた。


「なんだか申し訳ないです………」


お金を受け取ってもらえずに落ち込んでいると 


「アイリスさんの前世に助けられたと言っていたので、恩返しのつもりなんですよ、きっと。アイリスさんが商品を大事にすればあの女性も満足するんじゃないですかね」


「もちろん大切にします」


そんな会話をしながらケーキが美味しいカフェへ向かった。


予約してくれているということなので、待つことはないだろう。美味しくケーキが食べられる!とアイリスは自然に笑顔になった。


セイウスはそんなアイリスを幸せそうに見つめていた。


ところが………まさかのカフェにはCLOSEの看板が置かれている。


「あれ………おかしいな」


セイウスが店内を覗くと、店には店員の姿がある。ドアに手をかけると鍵はかかっていないようだ。


「予約していた者だが」


セイウスがドアを開けて声をかけると、若い女性の店員が慌ててやってきた。


「申し訳わけございません!たった今、王宮から店を閉めるようにと言われまして」


「王宮?何かあったのか?」


有事があると、王の命令で街が閉鎖されることがある。アリアが黒竜を討伐したときも街は閉鎖されていた。


「実は……ウルフの目撃証言が多数あったそうで………黒竜以来、街で魔獣が目撃されたことはありません。そのため街の安全を考えて店を閉めるようにと先程言われまして」


「なるほど………」


王からの命令となれば仕方がない。 


「魔獣が出たとなると、我々も帰ったほうが良さそうですね」 


セイウスに言われて、わかってはいるが落ち込んでしまった。


「そう………ですね」 


「今度リベンジしましょう」


セイウスに言われてここでワガママを言っても仕方がないと頷いた。


「また街に行ける口実が出来ました」


強がりではなく、自然とそう口にしていた。

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