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14.ユーディーside

「僕の両親に会ってくれないかな?」


唐突の俺の提案。それでも、エレノアは嬉しそうにうなづいてくれた。


俺の領地は、今いる所から馬車で4時間くらいの結構田舎だ。自然はいっぱいで穏やかな所ではあるが、若く派手やかな生活を送っていた女性が好んで行く場所ではない。もし嫌がられたらと思うと不安だったが、その心配は全くなさそうだ。


俺の家族は皆マイペースで穏やかだし、エレノアを邪険に扱うことはないだろう。だから安心して紹介できる。とりあえずここにいるよりはマシだ。


『懸賞金:家出中のエレノア=リクア公爵令嬢に関する情報を持つものに金貨1枚。保護したものに金貨10枚。』


という噂が流れている。王都周辺では姿絵も配られて居るらしいが、まだここには届いていないようで、ここにいるのが、そのエレノア本人だということは誰も気づいていないみたいだ。まぁ、普通平民が自分の町と関係ない公爵令嬢の顔なんか知るはずもないから当たり前だけど。


それでもいつかそう遠くない時に姿絵がこちらにも流れてくれば、金に目が眩んだ奴がエレノアを引き渡そうとしてもおかしくない。その前に、とりあえず自分の領地に帰れば多少の時間稼ぎになるし、結婚という、心の準備も整う…といいけれど。あと出来れば心だけでなく、体も通じ合えば。そうすれば、流石に王家の連中もエレノアを連れていくことはないだろう。


気高いやつらは、未経験ということに重きを置いているから。


後悔するだろうとは思ってたし、最初のほうは後悔しろとさえ思っていた。だが、いざそれが現実になると恐ろしささえある。本当に、エレノアが手からすり抜けていってしまったら俺はどうなるのか。どうするのか。


せっかく、あれこれ手を回してエレノアを手元に引き寄せることに成功したのに、権力に逆らえず手放すなんてことになったら。


もしエレノアがそれを望むなら、俺は手を離すだけ。でもエレノアが俺を望んでくれるなら、例え王太子を殺してでも、エレノアを誘拐する。その覚悟はできている。


そんな物騒なこと起こって欲しくないから、出来れば円満にいきたいけれど。


もちろんそんなことはエレノアには一切伝えないつもりだ。エレノアに懸賞金が掛けられていることも、その理由から結婚を早めに進めたいことも。そんなことを話してしまえば、エレノアを追い詰めてしまうかもしれない。だから俺の我が儘だという程だ。まぁ実際全て俺の我儘だけど。


「ほんとに?やった。嬉しい!」


「私も、紹介してもらえるのなら。でも、咎人の私を、その…」


「僕の家族はね、皆マイペースで穏やかなんだ。綺麗で優しいエレノアを嫌うはずもないし、もしそんなことあったらすぐ出ていこう!二度とあわなくてもいい!!」


「ほ、本気ですか?私が嫌だといったら絶縁でも。」


「僕の最愛の人を傷つける家族は、家族じゃないよ。」


「やっぱりなんだか変な感じです。ハーロックが私を気遣ってくれるなんて。」


「ハーロックじゃなくて、ユーディーだっ…」


言葉の続きは、エレノアの唇によって塞がれた。


「愛しています。ユーディー。」


最高の笑みを浮かべながら、最愛の人に名を呼ばれ、最大の言葉を貰ったのだ。


嬉しさを超えて、色々とキャパオーバーになり、涙が零れる俺を「ふふ」と笑いながらエレノアは頭を撫でてくれた。




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