長月想話 4:ペンギンを食べる
ペンギンを食べれば、美味しいのではないだろうか。
私がよく訪問しているネットのページで「ペンギンが炙られている」絵を見ることがある。
キャラクターとしてのペンギンが焚火に縛られて焼かれているだけで、本物のペンギンでは無いのだが、こうした絵を見てふと頭をよぎるのは「実はペンギンは食べれば美味しいのではないか」という事である。
何となく、外から見た質感や雰囲気が、鯨に似ているような気がする。
(白と黒が混ざった、魚っぽい?デザインである事しか類似点が無いが)
鯨と同じく、微妙に油っぽくて、癖があるけど美味しいのでは無いか。羽や腕や皮を炙って食べると、コリコリして美味しいのでは無いかと観じるのだ。また、卵も美味しそうである。
ペンギンはかつて、食用ではないものの、油を取るために乱獲されていたと聞く。「ペンギンを蒸す機械」というのが、歴史を調べると出てくる。
という事は、油っぽいけど美味しいのであろうか。
私は歴史上、昔は食べられていたけれど、今は食べられないものにとても興味がある。この現代に可能であれば食べてみたいと思う。
鳥に関係するもので言えば、例えば鶴などはかつては食べられており、戦国時代の宴の記述などで出てくるので美味しそうだなと思っていた。
そして、朱鷺などは、鍋で煮るとお湯が朱鷺色に赤く染まったなどという話も出てくる。
現代において、鶴を捕まえて食べるなど許されないであろう。貴重種である朱鷺などは尚更である。
しかしもしかすれば、ペンギンであれば食べても良いのではないだろうか。
広い世界、ネットで何でも買える時代である。もしかして、熊やオットセイの肉などと同じ程度の気安さ、難易度で入手できるのではないだろうか。
そう思って、私は早速「ペンギン 肉 販売」などのキーワードを入れてネットで検索してみた。
すると、「ペンギン 缶詰」などのキーワードで商品がいくつかヒットするではないか。
これは、やっぱりペンギンにも大和煮の様なものがあるのではないか、と期待したが、よく見てみると缶詰に描かれているのは、秋刀魚や鯖の写真であり、ペンギンではない。
ペンギンはよく見るといるのだが、ロゴマークとして描かれている。
何のことはない、「ペンギン」の名前がついた缶詰メーカーなのであった。しかも海外メーカーの様で、日本から購入するのは手間が掛かりそうである。そもそも秋刀魚や鯖であれば、わざわざ海外から購入する必要は無いのである。
他に販売している情報も見つからず、「ペンギンを食べる」試みは頓挫したのであるが、ペンギンを初めとした珍しい食べ物を食べてみたい、という冒険心は、今でも健在である。
時折、店で珍しい動物の肉がメニューにあれば頼んでみたり、旅先でイナゴや蜂の子、熊やトドの肉があれば買って試して見て、美味しかったり美味しくなかったりするのである。
ともあれ、何時の日か、滅多に食べられない食べ物を料理を。できればペンギンの料理にも。巡り会いたいものである。