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第5話 最悪の相手

 街に着き、ギルドまでアンナを送り届ける。彼女はこちらが畏縮する程感謝の言葉を述べてくれた。感謝される事なんて、久々かもしれない。




 ギルドの受付まで向かい、討伐証明用のゴブリンの耳と薬草を提出する。

「薬草狩りとゴブリン隊の殲滅ですね。…はい、しっかりと確認致しました。こちら、報酬の45000ベンスです。解体・買取は右側です。」


 俺は右に向かい、ゴブリンの素材を買い取ってもらう。19体で13300ベンスになった。一体700ベンスか。ゴブリンにしてはかなり単価が良いな。


「なぁ、オッサン。なんでゴブリンの単価がこんなに良いんだ?普通なら100、150位だろ?」

「あぁ、最近魔物が強くなってるんだよ。それのせいで魔物を狩ってくる冒険者が少なくなって、単価がどんどん上がってってるってわけ。お前さんも気をつけろよ。」


 買取のオッサンの忠告をしっかりと受け止め、ギルドを後にする。この後の予定なんて無いから、適当に街をプラプラと歩いてみる。だが、俺の興味を引くものは無かったので、宿屋に帰る事にした。



 宿屋に着きベッドに寝転んでみるも、日はまだ高い。…たまにはこんな時間から寝てみる、ってのもアリかもしれない。野営の時は夜番があったからあまり眠れなかったし、宿屋に泊まれた時も戦闘の疲れでそのままベッドに倒れ込むだけだったからな。こうやってゆったりぐっすり眠るのも良いなぁ…。


 あ、やば、オチる…







 そのままぐっすりと寝こけてしまった俺は、次の朝が来るまで目を覚まさなかった。長年の疲れが取れたのか、少しスッキリする。こんな寝覚めの良い朝は久しぶりかもしれない。



 昨日のように朝食を外ですませ、ギルドに向かって早歩きで進む。また朝早いに依頼を受ける事ができたため、良い依頼が残っていた。サイアル草採取と昨日に引き続き、ゴブリン隊殲滅を受ける事になった。


 サイアル草は普通の薬草とは違い、真夜中に採取しないといけない。それ以外の時間に採取してしまうと、効力が無くなってしまうのだ。ふぅ、今日は野営か。



 野営に必要なものを揃え、テントを背負い、森に向かう。…テントが重くて邪魔だ。何でも入る魔法のカバンがあればいいのにな…。いや、『魔法のカバン』はおとぎ話の中のものだ。実際にあるはず無い。

 サイアル草の採取場は森の中ほどにある。魔物と出会った時の事を考えると、早めにテントを建てた方がいいかもしれない。


 サイアル草の群生地近くの開けた場所にテントを張る。一人用の小さなテントだから、すぐに張り終えた。その後は魔法陣を使って、テントに防御魔法を付与していく。この魔法は、Bランクの魔物程度ならある程度は防げるものだ。


 何度も不備が無いか確認し、念の為盗難防止用の魔法も付与しておく。さて、ゴブリン隊を退治しに行くか。






 昨日ゴブリンに出会った地点に行き、ゴブリン隊を探している時だった。


「あっ、あの、フランクさん…ですか?」 


 声の方向を見ると、アンナがいた。


「アンナ?昨日ぶりだな。あの後痛みとかは無かったか?」

「はいっ!おかげさまで…」


 花が咲いた様に笑うアンナ。何をしに来たのか尋ねると、依頼のためだと言う。


「昨日、ホースラビットの捕獲依頼をしていたらゴブリン隊に不意を突かれてしまいまして…。私もフランクさんみたいに一人でも倒せるようになりたくって、こうして特訓しているんです。」


 彼女は、昨日の俺の力が実力だと勘違いしているらしい。本当は、ブーストが無いとゴブリン隊を一人で殲滅なんて出来ないのに。

 …まぁでも、彼女には関係無いか。



「…フランクさん、あの…」

「!!アンナ、静かに!」


 何か言いかけていたアンナを制し、森の奥を凝視する。獣道から現れたのは、数体のゴブリンと一際大きなゴブリン───ハイドルンゴブリンがいた。ハイドルンゴブリンは、集落形成への第一歩と言われている。まさか、もう集落が出来始めてているというのか!?




 そっと胸元の冒険者プレートを手に取り、ハイドルンゴブリンの方向に向ける。


「『記録』」


 冒険者プレートは魔力を乗せる事で、記録魔法を10秒発動させられる。これを使って、魔物の情報をギルドに提出出来るのだ。

 ハイドルンゴブリンはBランク。Cランクの冒険者なら、5、6人のパーティーを組めばそこそこ倒せる筈だ。しかし、今は2人しかいない。しかも、一方はDランク、一方は後援職なのだ。ここで2人やられるより、ギルドに頼んで討伐依頼を出す方が得策だろう。



「アンナ、ここは一旦引こう。」

「っ…そう、ですね。」


 こちらに気付かれないように足音を殺しながらテントまで戻る。これからギルドに向かう事を伝えると、自分も一緒に行くと言われた。ここに残っていても危険だから、着いてきてくれるとありがたい。


 俺らはギルドに向かって駆け出した。

 テントに張った魔法陣魔法は、購入時に使用方法と共に付属していたんです。




  読んで頂き、ありがとうございました!

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