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1.最近流行りの異世界転生ってやつです

初投稿。みんなで綾人たちを暖かく見守ってあげましょー!


「…で?」


「だから貴方にこの世界を救って欲しいんです!」


「…なぜ?」


「それは先ほども説明しましたように、私たちの世界は今とてつもなく困っているからです!」


「…どうして?」


「魔王ですよ!魔王!」


「じゃなくて、なんで俺?」


「それはたまたm…じゃなくて、日本という国は最も平和で優しい人種が多いと聞きました。なかでも中高生と呼ばれる15歳前後の年齢層の人間は好奇心が高く、また体力も高いそうですね。まぁ知力に関しては途上のようですが…。何よりもこういった状況に柔軟に順応できると聞きましたので」


「俺、今年で20なんだけど」


「え?何かの手違い? いや、そんなはずは…」


「人違いみたいなんで帰って良い?」


「ちょっ! ま、待ってください! …というか貴方16歳ですよね!なんで嘘つくんですかっ!」


「ちっ」


「あ、いま舌打ちした!絶対にした!」


「…で?」


「で、とは? またこの件りをしろと? 何度めかな?」


「もう説明終わったなら帰るけど?」


「いやいやいや。終わりじゃないですって!これから貴方の冒険が始まるんですよ? というかもう日本へは帰れませんから」


「え?」


「何を隠そう、貴方はこれから私の恩恵により、優秀なスキルを授かるのです!

そして冒険者となり成長して行き、ゆくゆくは…勇者となり魔王を討ち取るのです! ふっふ~驚きましたか?」


「驚いた」


「でしょでしょ? という訳で、早速…」


「来月発売の新作ゲームできないじゃん」


「そ こ か よ! おい! もっとwktkしろよ!」


「はっ…!てことはここにはゲームがないってことか! …あ、持ってたよかった~」


「え?」


「え?」


「あ、いや。待ってそれなに?」


「シューティングゲームだけど」


「」


「あ、電池切れてんじゃん。どっかにコンセントってない?」


「ある訳ないでしょ! むしろなんであると思った?」


「いや、俺これないと死んじゃいますし」


「エ? そうなの?」


「そう」


「な、なら仕方ないですね! そんな大事なものなら…ってなるかボケェ!」


「ちっ」


「…もういいわ。どうでも良くないけど面倒だから次に行っても良い? 今から恩恵を授けるから、手を出してくれます? …というかさっさとしてよ」


「えー何始まるの? こわ~い」


「なに女子みたいに身をよじってんのよ! いいから、痛くないから早くしてっ!」


「ちっ」


「その舌打ちやめてくれる? …はい、これで貴方のステータスが見れるわ」



名前:滝沢綾人

職業:(  )

レベル:1


HP:16

MP:6

体力:3

知力:9

精神力:6

運:16


スキル:(  )

ユニークスキル:真実を追う者



「おぉ~なんかすごい」


「アヤトさんね。はぁ。何だかここまで来るのにすっごく疲れた気がするわ…」


「職業とスキルが空欄なんだけど?」


「あぁそれね。職業は実際に冒険者にならないと登録されないの。最初は冒険者だけど、スキルを磨いたり、ステータスを上げたりして自分の好きな職業に転職することもできるわ」


「冒険したくない人はどうすれば?」


「スキルに関しては、ここで私から貴方に一つだけ授けることができるの。さっき説明したんだけどもう一度言うと、運が良ければ超レアなスキルが手に入るかもしれないのよ。ちょっとワクワクしてきたでしょ?」


「冒険したくないんですけど」


「我らが神でおられる太陽神様のお力により、それは賜われる。我らが唯一神でおられる太陽神様の御心により、それは祝福される。我らが絶対の神でおられる太陽神様の慈悲により、それは救済される。我らが…」


「冒険イヤだ…」


「…今こそ太陽神様のお力でこの者に力を与え給え…! えいやっ!」


「いやぁああ!」


「終わりです」


「あ、そうですか。では帰りたんですが」


「だから帰れねーつってんだろが!」


「いや、だってこれ何かの撮影現場とかだろ? 文化祭とかでドッキリでしたーって種明かしするんだろ?どうせ」


「いやいや、いま見たでしょ! 私の手から光がこうブワァー!っと出たでしょ今!」


「見てなかった」


「さいですか」


「んでスキル、どうなったんだ?」


「乗り気か!…はぁ。まあいいわ。…てかスキルなんじゃこれぇ!」


「どうかしたのか?」


「あのね、スキル欄が(選択してください)ってなってるのよ…。つかその前にユニークなスキルなんて聞いたことも見たこともないし! 先にそっちつっこめよ私!」


「落ち着けって。な?」


「はぁはぁ…あんたに言われると余計ムカつくわ」


「いいから早くしてくれ」


「なんか調子狂うなぁ…。普通はスキルが一つ決まって表示されるんだけど、貴方の…綾人さんの場合は正直初めてなの」


「何かから選択する、とか?」


「そうねぇ、おそらくだけど好きなスキルを言ってみたら良いんじゃないかしら?確証はないけれど…」


「じゃあ~…電源!」


「電源? そんなスキルあったかしら?」


「スキル欄には増えてないみたいだな」


「きっと存在しなかったのよ。他のは?」


「じゃあ、充電!」


「じゅ…えええええ!!!」


「おー、使えるみたい」


「ままままさか! チート並みのスキルだって手に入れられるかもしれないのに! そんな変な板切れの為にそのチャンスを捨てたって訳?あんたバカ?はぁ?」


女はついにキレた。


「だって冒険なんてしたくないし。ゲームしたいし」


「小学生かっ!」


呆れ返った女は、もはや小学生並みのツッコミしかできなくなったのである。


そうこう喚いている間にも、男は嬉々として持参したゲーム機をスキルによって充電し、女のことは無視して自分の世界に入ろうとしていた。


「無し!訂正!もう一回! そんなの認めない!」


そんな男の身勝手な振る舞いに、異を唱える。我の強い女である。


「何度やっても同じだって。我の強い女だなぁ」


「剣の達人だったり、大魔法使いだったり、それこそ時間を操ったり魔王を一撃で倒せる聖剣使いだって!できたかもしんないじゃん!そして私は我の強い女じゃない!」


確かに、女の言うことも一理ある。そう思った男は次のように女に語った。


「そりゃチート能力があったら無敵だけどさ? だんだん強くなって自分の力で何度も立ち向かうのが醍醐味ってもんだろ」


そう力説しながらも、男は決してゲームを手離さない。


「それは…そうかもだけど。だって、だってチャンスだったんだよ? 一度しかないチャンスを捨てるなんて」


納得のできない女はまだ食い下がる。納得したくないのである。


「チャンスをどうするのかなんて、俺の自由だろ? お前が魔王を倒すってなら別の話なんだが」


「ぐっ…」


痛いところを突かれた女。我の強い女は手元でピコピコ鳴る薄い板に一喜一憂する男をただ見ているしかなかった。


「何よ、そんなに私が我の強い女だって言いたい訳? …じゃなくて、そんなに冒険したくないのは何か理由がある訳?」


「あー」


女にそう言われ、一旦ゲームを中止して考える男。この男が人の為にゲームを中断するなどこれまであっただろうか。いやない。


「じゃないと説明がつかない。私を納得させるほどの理由がないと、とにかくダメ!」


なんと言う我の強さである。我の強さだけで言えば間違いなく魔王をしのぐ程である。


「失礼だな! …で、どうなの? 理由、あるんでしょ?」


「いや、無いな」


「無いのかよ!」


「だって、俺さっきまで普通に日本で生活してただけだし。いきなり変な女にここに連れてこられただけだから」


そうなのだ。男は不慮の事故にあったわけでも、人生を憂いて自殺したわけでも、女の子を守ろうとしてトラックに轢かれた訳でもなかったのだ。


「逆に! 逆に考えてみて! あなたは何千万という若者の中から、たった一人! たった一人だけ選べばれたのよ? これをチャンスと思わないで、何を思う訳!? さぁ100文字以内で答えなさい!」


「めんどくさいとこに来てしまったなぁ。by綾人」


「みじかっ!」


そして男は再びゲームに戻ったのである。


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