幸せと絶望
「…○○くん、今日もかっこいいなぁ……っ!」
鼻息荒く、電柱の後ろから彼を見つめる。コンビニのバイト中の彼は真面目にこなしていた。
じっと、それを手元のスマホで録画する。
(○○くんコレクション、第543番目…♡)
出来れば彼の使用済みの何かが欲しかったけれど…それは近ずかないと難しい。
今日は諦めて帰るとしようか。
……いや、もう少し彼を見つめてからにしよう。
「…はぁ、やっぱ、○○くん、だーいすき!」
ひとりでに呟いた。
瞼に光が指す。頑なに瞳を開きたくない。私は今見た夢に精神が耐えられなかった。何事も無かったことにしたい。何も無かったことにしたい。あれはただの、夢なのだ…。
(……………………わたくし、ストーカーだったの…………?)
この疑問が心に浮かんだ瞬間、負けなのだ。ばっと、ベットからはね起きる。
信じ難い事実を前にして少しの間フリーズした。彼の私物を盗んだり、電柱の後ろから彼を尾行したり、彼を盗撮したり…。この行動はやはり…、
「…えぇ、ちがうわ、そうね、あれはわたくしの知らないわたくしではない過去の話よ。」
そう、そうよ。と、自分に言い聞かせる。あれはちがう。私ではない。誰かの話。確かに前世の記憶なのやもしれないが私ではないのだ。認めてはいけない。
「今のわたくしは、断じて!!ストーカーなどではないわ!!!!」
ベットから飛び起きる。はぁはぁと息を荒くし、ストーカーであることを断固拒否した。
ストーカーには気おつけてくださいね。




