正しいことをした。
「お嬢様!!!」
意識が戻った。瞼が開いた。目の前に見えるのはルマの顔。
(…ここはわたくしの部屋…。)
自分のベット。ルマがぱっと視界から消え、廊下に何かを叫び、すぐさま私の元へと戻ってきた。
その後しばらくしてドタバタと廊下が騒がしくなる。
「ノア!」
「ノアお嬢様!」
体をゆっくり起こそうとした時、お父様とお母様、その他の使用人が部屋に入ってくる。顔に心配が浮かび、慌てたように近づいてくる。
「お母様、お父様…、」
出た声は掠れていた。ふふっと、笑いかけると2人は少し安心したように笑い返してくる。
お母様も、ふうと、息をゆっくり吐き、安心したようだ。
「ケガは、どこか具合が悪いところはない?」
お母様の優しい声が響く。クルクルとした金髪にグリーンの瞳。誰がどう見ても美人と言われる人だろう。私のグリーンの瞳は母親譲りだ。
「ええ、大丈夫です。なんとも悪くないわ。ただ少し…喉が渇いて。それより彼女は?…わたくしが助けた女の子…」
「ああ、あの子は屋敷の客間にいるよ。体を打ち付けてあざになってしまったが少し経てば治るそうだ。」
お父様がちらりと廊下に視線を向けて喋る。ルマがコップに注いだ水を渡してくれた。ルマは泣きそうで心配そうでやるせないそんな表情をしていた。
「…そう、なら安心ね。…ルマ、わたくしは自分が正しいと思うことをしたまでよ。そんなに気を詰めないでちょうだい。」
ふ、とルマに笑いかける。ルマが耐えきれずに
ポロポロと涙を流し始めた。
「申し訳ございませんっ、お嬢様…っ!」
お父様がぎょっとした顔で慌てふためく。お母様はスっと優しくハンカチで彼女の涙をふいた。




