表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

正しいことを。

「助けて!誰か助けて!!」


鈴の音の声が道端に響く。なんとも惨いことだろうか。みんな関わりたくなさそうに嫌な顔をして彼らを見ている。思わず目をつぶりたくなった。


(……確かに、しょうがないわ。彼らは前世の世界でいう、ヤクザってやつみたいな存在だもの…。)


アリアエルが男の背中でぼろぼろと涙を流す。

彼らの手から逃れようと体を捩るが、ビクともしない。

助けて!再び叫び出す。声は恐怖に震え、今にも壊れそうだった。なんで誰も助けてくれないの?という顔をしている。ぎゅっと、心が苦しくなって離れない。


(……知らない……、知らないわ。……私には関係ないこと…それにメインヒーローが来てくれるはずですもの。わたくしだって彼女達に下手に関わって死にたくないもの……。)


助けて!再び彼女の声が響く。その叫びが彼らの感に触れたのか、彼女を勢いよく壁に打ち付ける。


「うっ!」


ドンッ!と鈍い音が広がる。アリアエルがぎゅうと体を丸める。アリアエルがゆっくり顔を向けると男達の額に青筋がたっていた。

危ない。ぴくりと指が動く。


「うるせぇなぁ!!黙れっつたろ!?大人しくしろ!!この雌豚が!!!」


ぶんっと彼女に拳が振り上げられる。


(…これで、いいの?)


全てがスローモーションで動き、アリアエルの顔が恐怖に染まった。


(彼女がこれからどうなるか知ってて見捨てるの?自分のために、人が傷つくのを見過ごすの?それは…正しいことなの?)


ふと、頭に父の姿が浮かんだ。小さい頃の記憶。


『ノア、君の名前は神と共に正しいことをした者。という意味だよ。誰になんと言われようとも、お前が思う正しいことをするんだ。』


弾かれたように手元にあった靴を手に取り、勢いよく駆け出す。今までに出したことの無い全速力で走った。


(……わたくしは。)


ひゅんひゅんと顔の周りで風が過ぎていく。不思議と走っている途中は息が切れなかった。


(…わたくしは、間違いを、犯すところだった。保身のために彼女を犠牲にするところだった!!)


ぐっと喉に唾を飲み込む。ずんずんと彼女達に近づいていく。たんっと勢いよく地面を蹴り、体を浮かせる。


(名に恥じる行動をするところだった!!!)


「その子を、」


腕を振り上げ、腰にひねりを持たせ勢いをつける。


「離しなさいっ!!!!!!」


パァンッ!!勢いよく男の頭に分厚い靴底をたたきつける。鈍い音と共に彼の体の重心が揺らいだのがわかった。

男の頭を軽く殴るには分厚い靴底は十分に良かったようだ。

がっと、男の体を足蹴にし、アリアエルの前に立ち塞がる。後ろから泣き声で、え、と声が聞こえた。素足で走ったこともあり、足がさらに痛くなっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ