表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

5.屋敷へ

遅れました))))


とりあえず投稿。


※内容の追加、変更をしました。


「初めまして、シャウラです」

「ふーん。よろしくね」

「ほいほーい、よろしくだよ! シャウラちゃん」


 シャウラの自己紹介に、二人の従者は軽い感じに返す。

 場所は、ジルベルト・コルネーエフ邸、使用人室。

 今までいた牢屋とは違って、華やかに色どられた絵画や家具が配置されている。さすが、貴族と言ったところだろうか。

 俺は、絶賛メイドへの修行を開始するところです。


「しっかし、伯爵様も珍しいもん拾ってきたねぇ」

「使えるなら誰でもいいわ、粗相がないように注意してもらえればそれでいいから」

「相変わらず冷たいね、アレッタ」

「別に、普通よ」

「そーなのかなぁ、わかんないけどいいっか! それで」


 お二人の名前は、ジベルナとアレッタ。

 ツインテールがよく似合うクールな毒舌キャラがアレッタさん、その部下で仲良くしているツッコミ、ボケの両方を兼任するメイドさんがジベルナさんだ。


「シャウラは気にしないで。あの馬鹿は魔物に潰されて明日土に還るから」

「酷くない! その扱い。シャウラちゃんはあんな性格になっちゃダメだよ?」


 二人のやり取りは普通に面白い。

遊んでいるかのように見えて、これでも仕事はキチンとこなすのだから優秀なメイドたちである。

 キョトンとする俺を見て、アレッタが歩み寄る。


「はいはい、話は後でね。とりあえず仕事を教えるわ、ノロマは叩いてでも急がせるから」


 不敵な笑みで彼女はシャウラをみつめる。

 これはきっと、俺が使えるかどうかの適正試験だ。

 ならば、使える人材であることを証明しなくてはいけない。アレクさんには悪いけど、奴隷生活に戻るつもりはないしね。

 キチンと返事を返し、仕事内容を説明を聞く。


 途中、ジベルナさんが飽きたように欠伸をしたり、居なくなってしまったのはこの際、無視しておこう。

表情は崩さず心の中だけにとどめておく。

 だって、入社初めで笑いまくってる笑いまくってる社員なんて上司から嫌われる確率が高いしね。いつも通りのポーカーフェイスを決めて、真面目ちゃんぶりをアピールする。


 とりあえず、やることは簡単だ。

 お屋敷内の掃除、花壇などの手入れ、ジルベルトさんが帰って来たときに入り口で待機する。まだ小さな身体や入ったばかりということで、比較的楽な仕事を任されたらしい。


「きちんと丁寧にやりなさい。それがシャウラの仕事だから」


 アレッタさんは、仕事熱心なので会話がスムーズに進む。

 やはり、仕事をしているときのほうが落ち着く。


「ここは?」

「伯爵様の大事な石像だから丁寧に」

「了解です」


 メモをしっかりとる。


「ここら辺は軽くでいいわ。担当は、あの馬鹿だし」

「ジベルナさんですね、了解です」

「そうよ、わかってきたじゃない」


 なんだか嬉しそうに、こちらに期待と同族だという視線をぶつけてくる。

 俺は別に毒舌じゃないからな。


「初めてなのに綺麗にできるのね。叱ることがないから暇だわ

「慣れていますから」


 一人暮らしで掃除はこまめにやっていたしね。

 幸い、高価なものはアレッタさんが担当してくれているので簡単にこなせる。

 掃除が完了したことを告げ、次の部屋へ移動する。

 やはり金持ちの屋敷なので廊下が長い。

 燃えるように真っ赤な絨毯は、ホコリひとつ残さず綺麗に整えられていた。


 一呼吸の間を空けて、アレッタさんは俺に声をかける。


「ねえ、シャウラ。ジベルナと役職を交代して、私の部下に来ない?」

「いや、私はまだまだですから」

「謙遜ね、なにも知らない身でそこまで出来るんだもの。まだまだ伸ばせる部分はあるでしょ」


 実は一度人生を経験しています、なんて言えるわけがない。

 彼女が柔らかな笑みと共に、シャウラに説明する。


「じゃあ一つ簡単なアドバイスよ。たまに変な抱きつき癖のあるバカが走ってくるから必死に抵抗しなさい」

「えっ? 」


 理解ができないと首を傾げている俺を他所に、ドダドタと走ってくる人物を目視する。あれは、ジベルナさん?


「やっほー! アレッタ、シャウラちゃん元気ぃ? 」


 勢いよくシャウラに抱きつこうと迫ってくる。当然、現在進行形で小柄な俺が逃げられるはずもなく、


「じ、ジベルナさん? 」

「あれ、シャウラちゃんしかいないの? 」


 身長差のせいで、胸に顔を埋めるような体勢になってしまう。

 首を傾けながら後ろに振り返ると、アレッタさんの姿はない。先ほどの会話から察するに、どうやら逃げたようだ。実はメイドではなく、忍者なのではと思ってしまった。


「アレッタは恥ずかしがり屋だから、私が勢いよく来ると隠れちゃうのよ」

「そ、そうなんですね」


 ジベルナに、悪気はない。

 だが、善意があるわけでもない。


「まあ、いいっか。シャウラちゃんに抱きついちゃうもんね」

「わ、ちょっと待ってくれ! 」


 演技を忘れるまで慌てている俺に構わず、ジベルナに抱き締められる。

 彼女はイタズラ好きをアピールするかのように、目を輝かせている。

 頭の先端、両頬に当たる感触。それはマシュマロのように柔らかく、ボールのように弾む。

 元男性として、むずかゆい気持ちなのは確かだ。


「ほらほら、ここがいいんでしょ」

「や、やめてくだ、さい」

「シャウラちゃん将来有望だよー。私が保証するから」

「あの、そろそろ......」

「まだまだいくよー! 」


 拘束する力は強まっていく。

 まって、この人どこからこんなに力をいれているの?

 今の身体の全力で抵抗するが、結果は虚しく押し返されてしまう。


「ふふん、私に力で勝とうだなんて、まだまだだよん」


 いや、むしろ勝つ方法を教えてもらいたいのだけど。


 そんな驚いているシャウラを見るジベルナは、小動物に話しかけるような穏やかな声で言った。


「どう? 寂しさは紛れたりした? 」

「えっ?」


 一瞬、なんのことだかわからず困惑する。


「伯爵様から聞いているのだよ。寂しいはずだから絡んであげてって」


 ジルベルトさん、俺は別にぼっちじゃないからね!

 そんな心の叫びは届くはずもなく、


「ほら、私がお姉ちゃんとして指導してあげるからね! 」


 悪戯っぽい笑みを浮かべている彼女の餌食にされてしまう。

 これ以上やられるとなにか違う世界を見つけてしまいそうだ。

 ぷにぷに、柔らかい感触が.....。


「あの、これ以上は....」

「あ、そろそろ時間だね。じゃあ終わりにしよっか」


 私が発言する前に、拘束から解放される。

 ほんとにこの人はメイドなのだろうか。

 異世界のメイドさんは、恐ろしい。


「お嬢様のおやつの時間が近いからね。やらないとアレッタに怒られちゃう」

「サボったことありそうですね」

「何回かね.....」


 やっぱりあるんですね。

 アレッタさんはこんなに優秀なのに

 この人ってなんで選ばれてるんだ? 行く先不安である。


「さささ、お嬢様の部屋に出発だー」


 くるりと回ると、スカートがひらりと舞い上がる。

 仕草は完全にメイドさん。サボリ癖ありだけど。


 廊下を真っ直ぐ進み、ジベルナと一緒にお嬢様の部屋へと向かう。


「ここがお嬢様の部屋だよ!」


 お屋敷の二階、右端にある一つだけ綺麗な装飾が飾られている扉がある。

 扉には、『アリスベリカ』と書かれたプレートがかけられており、時折、風でかたかたと揺れている。


「とりあえず、呼んでみるね」


 そう言うと、コンコンとノックする。

 数秒間、待機するが返事はない。


「無いなら突撃あるのみだー」


 バタン、と空けられた扉は、半開きで静止する。

 さあ、本物のお嬢様を拝見しましょう。

明日は、本編はおやすみ。

登場人物をまとめたものを記載します。


登場と一緒に追加していきますので、わからなくなった時にでも一読下さい。

ネタバレなどは載せませんのでご安心を。


何か追加してほしい情報などありましたら感想欄か私のTwitterまでお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ