12. つかの間の休暇
料理までいけなかった))))
次話でやりま
魔法講義が終わったからと言っても、俺の休日はまだ終わっていない。
時間にして約2時間。
お嬢様との語らいに時間を費やし使用人室へと戻ってきた俺は、力を抜いて椅子へともたれ掛かっていた。
現在、部屋には誰もいない。
「ああ、ここは落ち着くなぁ」
メイド服に身を包みながら、だらける姿。
本職の方に怒られてしまうのであろうポーズをとりながら前日からの疲れを癒す。
とりあえず、つかれた。うん、つかれた。
慣れないことをするんじゃないね。
完璧な女子を演じるのは限界があるのかもしれない。
今まで聞いたことがない魔法や魔術についてを聞かされて頭がオーバーヒートしているし、理解している知識と知らない知識がごちゃごちゃに混ざっているからまとめるのも一苦労する。
メイドとしての俺を気に入ったのか、アレッタさんには弄られるしお嬢様とは変な約束をしてしまったし。
とりあえず、なんと言おうとつかれたのだ。
今日はもう1日だらけていよう。
どうせ、この後に知る機会はたくさんあるのだ。
今考えても仕方がない。
思考を放棄して、完全に休憩モードに移行する。
「休みがあるって幸せだなぁ」
完全に油断していた。
いや、この部屋に入ってからダラダラしすぎたのが原因だ。
自分の部屋ではなく、使用人室という従者たちの共有スペース。
だらける俺に、いきなり声が聞こえた。
「お前、メイドの癖に仕事サボってんじゃねーよ? 」
俺は慌てて椅子から立ち上がる。
この時間は、アレッタさんは庭で花壇の手入れを。ジベルナさんは買い出しに出掛けているはずだ。
誰もいないと思っていた部屋に、小型のナイフを片手に持つ青年がたたずんでいる。
ボサボサと整えていない赤色の髪が特徴的で、白色の服がちらちらと赤く染まっている。
「えっと、もしかして殺しに来たとかですか? 」
見た感じ、血まみれでこの部屋にやって来て刃物を所持してるってそういうことだよな?
まって、また死ぬのか? 俺。
目を向く俺に、青年は呆れたように呟く。
「はぁ!? 何言ってんだよお前」
手に握る小型ナイフを一斬り、振りかぶる。
「これは、狩猟用。俺様は、その帰りだ。わかったか? サボりメイド」
「えっと、わかりましたからしまってください。物騒です」
「へいへい」
なんともまあ、不良というイメージが拭えない青年である。
俺はふぅ、と一息ついてから、彼について質問する。
「貴方は、ここで働いている人ですか? 」
「なんだ、そんなことも知らねぇのか。アレッタのやつ、子どもにくらい説明しとけよな」
こ、子ども。なんともまあ、実際に言われるとむずかゆいものである。
「俺様は、ガール。ここで専属の料理人をやってる者だ。ここ数日は、魔物や狩猟をしてたから帰って来てなかったけどな」
「料理人の方、でしたか。アレッタさんやジベルナさんの他にもちゃんといたんですね」
「あんなポンコツと鬼畜メイドと一緒にするなよな。俺様は真面目だからな」
真面目なら、きちんと服を綺麗にしてから帰ってきてください。
それか、脱いでこい。
「それで、お前はなんだ? アリスお嬢様のお友達か? 」
「いえ、私もメイドです。先日から雇われたばかりですが、シャウラと申します」
「なんだ、お前もメイドかよ」
ガールはぶっきらぼうに言う。
「それで、サボりメイド。お前は、仕事はしないのか? 」
「サボりメイドじゃないですよ。今日は休暇をもらっていますので」
「はぁ、新入りが休暇かよ。随分、気に入られてるな」
「そうなんですか? 」
「あの究極ドSアレッタが許可出したんだろ? それだけで怖いもんだぜ」
アレッタさん、この人に何したんですか……。
ブルブルと震えている男が目の前にいる。
「まあまあ、とりあえずお仕事を頑張ってください」
俺は頑張れ、とエールを贈っておく。
苦手な上司は一人くらい、いるよな。うん、わかるよ。
「そりゃ、頑張るけどさ。ん、お前、暇だったよな? 」
俺の肩が、ぴくんと動く。
あ、これ、またやらされるパターンな気がする。
「よし、俺様の手伝いをさせてやる! たまには、使えるメイドを一人くらい育成してやるよ」
うぅぅ、やっぱりこうなるのか……。
どうやら、まだまだ学ぶことはたくさんあるらしい。
投稿、遅れました。
このまま、今日中に次話投稿します。