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7.解析

ちょっとしか進んでねぇ()

まだ説明回なんじゃ


情報読込(インターリップ)情報摂取(インターリップ)へと変更しました。ルビに変更はありません。

 アリスベリカの部屋の掃除を終え、再び使用人室へと戻る。

 俺は初日ということで、今日の業務はおしまいと告げられ部屋でのんびりと過ごしていた。

 察してもらえると嬉しいが、相変わらずの暇なのである。

 これほど待遇のいい職場もなかなか無いが。ああ、仕事がしたい。今の体勢は、あぐらをかきながらだらけているメイドである。久しぶりに自分に楽な姿勢がとれて満足です。


「お嬢様の本を借りるわけにはいかないしな.....どうするか」


 シャウラは肩を落としながら立ち上がり、辺りを散策する。

 高価そうな物には触れられないし見たことないやつは自分からあまり触れたくない。


「何かしようかな、メイドなんだし。なんでも出来ないとダメだよな」


 誰もいないので、久しぶりに昔の口調に戻す。

 前世とは違って高い声で発音するため、多少の違和感はある。

 それでもなんだかスッキリした気分になった。

 女子を演じるって以外に大変だ。

 アニメのキャラクターってこんなことを平然とやっていると思うともはや尊敬の域に達する気がする。


「掃除は大丈夫って言われたし、メイドって言ったら料理なのか? あのお嬢様に出せる料理なんて作れないぞ......」


 私が昔読んでいたラノベには、メイドさんが主人公の側にいてお世話をしていた。

 時には一緒に闘って、助け合って。

 あれ、戦闘力も必要なのか?


 息を一つ吐きながら、考える。

 メイド好きな友人も言っていた気がする。


『メイドさんは相手が考えている奥の気持ちまで考えてないといけないんだす』


 なんて、同僚の山崎さんが。


『僕が疲れてたとき、彼女は頑張ってください! って言ってくれたんだすよ。それだけでやる気が出るもんだす』


 たしか、秋葉原でメイドカフェに通ってたからメイドには詳しかったんだよな。もっと、聞いとけばよかった。

 独り言のように呟いていると、向こうからアレッタが歩いてくる。


「あら、シャウラ。お疲れ様」

「え、あ、はい! お疲れ様です」


 慌てて口調を戻す。

 女装ではないからバレることはないだろうが、言い訳もできないので急いで切り替える。

 私は女の子です。女の子、女の子なんだ。

 よし、


「あの時はごめんなさいね。あの馬鹿の抱きつきは苦手だったから」

「いえ、大丈夫です。いろいろ凄かったですけど」


 あの抱きつきはヤバかった。力強さ的な意味でも、包容力の深さ的な意味でも。


「もしかして暇してたの? 」

「あ、はい」


 隠すことでもないので肯定する。


「少しくらい休んでいたっていいのよ」

「何かしていないと落ち着かなくて」

「そう、本当に熱心なのね」


 何か納得したように頷くアレッタ。


「能無しにもこれだけ真面目になってもらいたいわ」

「ジベルナさん、無邪気ですよね」

「あいつ、一回死んだら治るかしら」

「多分、治らないと思います」


 馬鹿は死んでも治らないとは的を射た回答だと思う。

 だって、ここに死んで転生したけど変わってない人がいますもの。


「まあ、暇していたなら丁度いいわ」

「なにかお仕事ですか?」

「まあ、近いものよ。貴方の技量を知っておこうと思ってね」

「私のですか? 」

「そうよ、他にも出来ることがあるなら任せられることもあるしね」


 アレッタはえらく楽しそうにそう言った。

 何であろうと、暇していたのだから問題はない。


「まずは庭に行きましょう。そこで色々調べるわ」



 そんなこんなで、コルネーエフ邸の庭園。

 シャウラとアレッタはお互い向き合う。


「今から少し、シャウラの能力を見せてもらうわ」

「何をすればいいんですか? 」

「そこで動かないでちょうだい」


 言われたとおりに、静止する。

 一体、何をするのだろうか。アレッタはゆっくりとこちらに歩み寄る。


「少し恥ずかしいかもだけど、我慢してね」


 おもむろに、俺の頬に手をあててニコッと微笑む。


「えっと、何をするんですか? 」

「気にしないでね。すぐ終わるから」


 俺はゆでダコのように頬を赤く染める。

 まって! 前世でもしたことないあれをやるというのだろうか!

 あわあわと慌てるシャウラを見てアレッタは笑みを強める。


「緊張しないの、私も恥ずかしくなるじゃない」

「は、はい」

「じゃあ、目をつむりなさい」


 言われたとおりに目をつむる。

 というか、恥ずかしすぎて前を見ていられない。


 彼女の吐息が肌に触れる。

 距離はもう近い。

 数十センチ、数センチ、数ミリ。ああ、まって、ほんとに......。


「ーー情報摂取(インターリップ)


 俺の唇ではなく、額に彼女の唇は優しく触れる。慌てている俺を横目に、アレッタが告げたのは一瞬だった。

 身体中を電撃のような何かが駆け巡る。

 甘く痺れる毒のようなもの。


 目をまんまるにしていた私が現状を認識するのに、また数分の時間を有した。


「終わったわよ」

「あ、ありがとうございます」


 笑顔で唇に指を当てているアレッタさんと赤くなりながら俯く俺。


「いつもより表情豊かで面白いわ。普段もそうしていればいいのに」

「恥ずかしいからダメです」

「唇に来ると思ったの? ませてるわね」

「違います! 」


 一体、何が楽しくてこんなことをしているのだろうか。

 思い出すとまた顔が赤く染まりそうなので、退散しようとする。

 早足で回れ右をするが、アレッタさんに肩を掴まれる。


「こら、逃げないの。これから説明するんだから」

「は、はやくしてください」

「分かったわよ」


 内心ドキドキしている俺に彼女は語りかける。


「まずはそうね。祝福(ギフト)についてから話しましょうか」


 なにかに悩むように、彼女は説明を始めた。



遅れて申し訳ありません


次回は来週の土曜日

お楽しみに

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