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第七話

遅くなってしまいました。

少しA○Aとか幻想人○演舞に夢中になっておりました。

面白いですよね、AV○とか幻想人形演○。

 ざわついた教室の中には、グループがいくつか出来上がっていた。

 おそらく一番勢力があるであろう、女子たちが集まった一番大きなグループや、数人の男子からなるオタクっぽいグループ(雰囲気は元の世界のオタクそのものだが、顔だけは無駄にいいのがムカつく)、やんちゃっぽいグループから運動好きそうなグループまで――いくつものグループが出来上がっている。

 ほとんどの者がそのグループに属し、休み時間である現在、楽しそうに話していた。そう、ほとんどの者が......。


 みんなが楽しそうに話している間、我が主であるアレシアは一心不乱に俺をめくっていた。俺からすると本の中は見ることは出来ない角度にあるため何が書いてあるかは分からないが、きっと何かが書いてあるのだろう。


 さっきからページを全くめくっておらず、始めのほうしか見ていないようだが、きっと始めのほうに興味深い内容が書いてあるだけだろう。

 まさか、自分が書いたところを読んでいるだけ、ってワケは無いだろう――うん。


「.......なあ」

「なに?」


 少し不機嫌そうに返事をする。

 俺が推測するに、休み時間中は「今不機嫌なんで話しかけないでくださいね?」オーラを発し続けるようにしているのだろう。


「あのさ、悲しくならない?」

「......なにが」


 今度は本気で不機嫌そうに返事をした。


「だってさ、青春っていったら友達と趣味に打ち込んだりするものだろ?ずっとこうしてボッチ貫いてて楽しいの?」

「う.....」

「楽しくないでしょ?」


 ソースは俺、なんてうっかりしてても言わな――


「ソースは?」

「俺」


 うっかりしてたああああああ!


「ご、ごほん!そんなコトより、部活とかは無いのかよ。そこで交友関係を――」

「あるけど、今更入ったところでどうなるの?」

「だから、そこで友達――」


 俺の言葉を途中でさえぎり、急に早口でまくし立てるアレシア。


「ああ、そういえば今何月か知らないんだったね。実は今はもう9月なの。もう入学から5ヶ月。それだけあれば部活内でグループが出来るのには十分すぎる。今更部活に入ったところでグループからは弾かれ回りからは白い目で見られやりたくも無いことをやらされ自分の時間は削られいいことなんて一つも無い。その程度で解決されるならボッチやってねえっつの。大体私は人間が怖くて話せてないだけだし。悪いのは私じゃなくて人間だし。ああ、それを解決するために友達募集の隣○部作ろうとしても無駄だよ?この学校では部員が10人以上いないと部活として認められないうえに、私にそんなことをする勇気も信頼も人脈も無い――」


「も、もういい!もう良いから!」


 チャイムの音が、妙に虚しかったとさ。





「魔法会が、一週間後に開催されます。グループを自由に作ってください」


 先生のその言葉を最後に、今日はもう解散となった。

 帰る途中で、アレシアが深いため息を吐いた。というか、俺たち帰る場所ないよね?今日も野宿かよ。


「はぁ......グループを自由に、ねぇ......」


 まあ、こんなことだろうとは思った。

 ボッチからすれば先生の「自由にグループを作ってください」というのは暴言に等しいのだ。分かる、分かるよその気持ち。


「っていうか、魔法会ってなんだよ?」

「ふぇ?魔法会っていうのは......う~ん.....運動会の魔法版、みたいな?」

「運動会もあるのに魔法会もあるのか?」

「うん。当然だよね?」

「こっちではそうなのか.....」


 つまり、運動会のグループを適当に決めてくださいってことか。

 なるほどね。


「とにかく、仲間を見つけなきゃダメなんだろ?いいじゃないか、この機会に適当な人と仲良くなってしまえば――」

「人間と?.....ハッ」

「その態度を改めろよ」


 人間が怖いんだか馬鹿にしてるんだか分からない。


「まあまあ、とにかく、寝床がないと俺がさびしいんだよ。中身は人間なんだから」

「はいはい」

「相手にもしないってか」


 と、不意にがさごそと音がした。

 驚き、ビクンっ!と体を震わせるアレシア。


「だ、だだだだだだだだだだ誰!?」


 ドモリすぎだろ。

 ごそごそという音はどうやら道端の草むらから聞こえてきたようで、草むらがわさわさとうごめいている。

 アレシアがびくびくしながら俺を構える中(一応魔道書なので構える、らしい)、草むらから出てきたのは――小さな子供だった。


「.........」(ガタガタガタガタガタガタガタ)

「いやびびりすぎだろ!さっきハッ、とか鼻で笑ってたじゃないか!」

「ガタガタガタガタガタガタガタ」

「口でガタガタって言えるなら安心だな!でもうるさいから黙れよ!」


 草むらから出てきた少女は、アレシアと同じ格好.....つまりは、制服を着ていた。しかしながらその身長、お胸様はアレシアとは比べるべくも無く、つまりはこう、立派に成長なされていて――。

 つまり、少女を見た後にアレシアを見ると「.....ハッ」って言いたくなるのだ。


「ガタガタカ――ん?なぁ~んだ、ただのエルフか」

「え?エルフ?」


 ガタガタと口で言いながら震えていたアレシアは突如動きを止め、そんな言葉を口にした。


「ほら、耳が長い。だから大丈夫」

「あ、ほんとだ」


 よく見てみると、確かに草むらから出てきてぐったりと気絶している少女の耳はとがっており、人間よりは少し長い.....って、え?


「って、この子全身ぼろぼろじゃないか!早くどうにかしてやれよ!」

「ごめん、私回復魔法使えないの」

「チッ、使えないな!」


 パッと見た感じには別に怪我をしているようには見えないが、服に隠れて見えないところを攻撃されているらしく、所々あざが見えている。


「とにかく、保健室に連れて行けよ」

「医務室のこと?医務室は放課後は開いていないから、無理だよ」

「ファッ!?寮生が怪我したときはどうするんだよ!」

「各自回復魔法で回復かな」

「で、回復魔法はよ?」

「使えない」

「ホンット使えないな、お前!」

「酷いッ!?」


 と、とにかくこんなことをしている暇は無い。

 この子をどうにかして治療しないと.....。


「お前、回復魔法が使える友達とかいないのか?あ、いる訳無い――」

「いるよ」

「いるの!?じゃあ早くつれて来いよ!」

「ラノ」

「.....へ?いや、今は冗談とかいいから」

「だから、ラノが魔法を使えばいいの!回復魔法とか、超楽勝だから。魔法の中で一番簡単だし。というか、そこまで大きい怪我でもなさそうだし、もうちょっと落ち着いてよ」


 俺が、魔法を使う?そんなことが出来るのか?

 俺がついこの間までいた世界は、科学はある程度発展していたが、魔法なんてものは存在しなかった。それなのに、俺に、魔法を使えと?


「ハッ、ご冗談」

「だから、出来るんだってば!ほら、さっきの授業で言ってたでしょ?魔法を扱える条件は、人型の生物であること。つまり、ラノが人型になれば魔法も使えるんだって」

「そういえば.....」


 確かに、さっきの授業、おそらく初めてアレシアがまともに発表をしたときだ。

 そのとき、明らかに人間ではない先生が魔法を扱える条件をアレシアに尋ね、それに対してアレシアは「人型の生物であること」といった。

 つまり、人型に変身したときの俺にも魔法が使える可能性があるということだ。


 地面に倒れている少女に目を向ける。

 確かに命に別状があるような大怪我ではないが、それでも十分に痛いのだろう、先ほどから気絶したままうなされている。


 その原因の怪我が今すぐに治せるのなら、試さない手は無いだろう。


「よし、じゃあ俺に魔法の使い方を教えてくれ」

「うん、分かった」


 アレシアはうなずくと、おもむろに俺に手を掛けて――ページを切り裂いた。


「え、ちょ!痛――くは無いけど俺の精神衛生上よくないからやめて!」

「大丈夫、一ページだけ、一ページだけだから....うへへ」

「さきっちょだけだからみたいに言わないで!」


 てっきりさきっちょだけと宣言した男のごとく何ページも切り取るのかと思いきや、本当に一ページだけを切り取るとそこに羽ペンですらすらと円形の記号.....魔方陣と思われるものを書き込んでいく。


「ほら、人型になって」

「お、おう」


 言われるがままに人型に変身する。

 視点がぐんぐんと高くなり、視界の端に3:00という表示が浮かび上がった。


「全裸か.....まあ、そりゃそうだよな。本のときも裸だったんだし」


 そう、俺は全裸だった。

 さっきまでも全裸だったのだから、当然といえば当然何だが....なんかスースーして落ち着かない。ましてや、考えたくもないが、今は女の体。もし見つかれば痴女扱いは避けられないだろう。


「はい、これ」


 魔方陣の書かれたページが手渡される。


「魔法使いは、魔道書のページにあらかじめ魔方陣を書き込んでおいて、魔法を使うときにそのページだけを切り裂いて使うの。魔道書と契約してるだけでも魔力が大きくなるとか、本当はドヤ顔でうんちくを垂れ流したいんだけど、今はやめとく。

で、これは回復魔法の魔方陣。これをこの子に貼り付けて、呪文を唱えて」

「わかった」


 俺は即座に魔方陣が描かれた紙を受け取ると、少女の額に貼り付ける。

 アレシアが何かイ痛げな顔をしたが、文句を言ってこないので大丈夫だろう。俺だって怪我のあるところに直接張りたかったんだけど.....なんせ怪我はほとんど服の中にあるので、俺が服をはがさなければいけなくなる。

 それはいけないので、額に張った。


「私に続いて。ルヒ・ア・トゥ・ラス」

「ルヒ・ア・トゥ・ラス」


 俺が呪文を唱えると同時に、紙に書かれた魔法陣が薄い緑色の光を帯び始めた。

 光は、徐々に少女の全身に広がると、すぅっと体に溶けていった。


「.....これで良いのか?」

「うん、成功だよ」


 ....見た感じ、特に変わりは無いようだが.....いや、よく見ると怪我が消えている。もともと見えにくい怪我や打撲が多かったので、あまり目に見えた効果は無いのかもしれない。


 俺は右上の表示を確認した。そこには、0:58の文字が赤色で表示されていた。いつの間にか、ほとんど使い果たしてしまったらしい。

 他人に見られると困るので、すぐに元に戻る。魔道書の姿を元の姿といってしまう自分が怖いよ。


「う、うぅ....」


 不意に、少女がうめき声を上げた。

 どうやら、目が覚めたようだ。


「あ、あれ....?ここは......」

「ここは寮の前だよ。あなた、寮生?それとも通い?」

「私は......」


 しばし、考えこむ少女。


「.......誰?」

「「は?」」


 アレシアとはもってしまった。

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