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第四話

200pt突破いたしました。

ありがとうふぉざいます。

「......なんでベンチで寝ようとしてるの?」


 俺たちは自分たちの部屋を爆破してしまったので、寝る場所が無い。だから、自分たちの部屋以外で寝る必要がある。

 そこまでは全然分かる。


 だけど、だけどさ......。


「何で屋外のベンチで寝ようとしてるの!?あんた女だろ?普通にさらわれるぞ!?ロリコンとかに」

「あ゛ぁ゛!?なんでロリコンに攫われるんじゃボケ!ゆうてみーや、コラァ!!」

「ヒィ、す、すんません!兄貴!」

「誰が男みたいにつるぺたやて!?」

「ひいいいい!」


 痛い痛い痛い!殴らないで、落ち着いて!


「そ、それよりも、なんでベンチなんかで寝るんだよ。寒いし無用心だろ?それにイリア先生は友達に部屋を貸してもらえって言ってたじゃないか」


 その瞬間、ぴたりとイリアの動きが止まった。

 ついでに、俺の中で無用な閃きが。


「あ~!わかっちゃった~ww」

「.........」


 うつむいて、ぷるぷると震えだすアレシア。

 以前にも、と言うかついさっきこの反応は見たはずなんだが、俺は突っ走った。


「もしかして、友達いないのかなぁ~wwなんで?ねえなんで友達いないの?www」

「.........(#゜_゜)」


 あ。


 ひゅん。

 アレシアが消えた。


 ......夜空が、綺麗だな。











「すごい!私の魔法、格段にパワーアップしてる!」


 アレシアは、自分の魔法が以前よりもパワーアップしてることを知って今までのことが嘘のように機嫌を直していた。

 さっきアレシアが消えたように見えたのは、自分のスピードを加速させる魔法を使ったからだそうだ。加速といっても、さすがに消えるレベルはやりすぎだろう。マジでチートだよ、チート。


 ああ、俺?

 半分に裂かれましたけど?


「ああ.....よかったじゃなか」

「うん!」


 ついさっき上下に引き裂いた相手の目の前でよく言えるな。

 マジで感心するよ。と言うか謝れよ、ちょっとくらい。


「で、結局どうするんだよ」

「どうするって何が?」

「泊まる場所だよ」

「ああ.....」


 話題がアレシアの嫌なほうに行ったのがわかる。

 でも、今夜泊まる場所のことはきちんと考えておかないと。


「別に、ここは学園の敷地内なんだから安全だし。ここで寝ても――」

「駄目だ!風邪引いたらどうするんだよ」


 目に見えてしゅん、とするアレシア。

 そんなに友達の部屋に泊めてもらうのがいやか。と言うか友達いないんだったな(笑)


 .....もしかして、虐められてるとか?

 もし、そうだとしたら。

 俺はすごく酷いことを言ってしまったのかもしれない。


 念のため、確かめておくか。


「もしかして、虐められてたりとか....するのか?」

「え?ないないwなんでそうなるの?www」

「(#^ω^)ピキ」


 一瞬でも心配して損した。


「ただ、ちょっとね.....」

「....なんだ?もしかして事情が――」

「実は私、昔からお爺ちゃんに人間がどれだけ狡猾で恐ろしくて人を騙すのかを子守唄代わりに聞かされて育てられてきたの。だから、私、人と話すときはこわくなっちゃって.....」


 うぉいお爺ちゃん!何やってんだよアンタ!

 アンタのせいで今俺は野宿の危機にさらされてるんだぞ!てめえ!


 あれ?でも.....


「じゃあなんで俺と話すときは平気なんだ?俺だって人なんだし――」


 そこまで言って、嫌な予感から口を噤む。

 だが、それはもう遅すぎた。


「え?ww人?wwwどこっすか、それwwww」

「(#^ω^)ピキピキ」


 再びさっき見たようなポーズをとるアレシア。

 ピキる俺。


「いいかげん、俺のことを人として認めてくれないかな.....?」

「えーと、鏡、鏡っと」


 もしかしなくとも、これはさっきの「友達いないの?ww」を根に持ってるな。


「くそ、コイツ.....」


 俺は手足を生やして、攻撃できるように力を溜める。


「いい加減に――」


 走って助走をつけ.....


「しろ!」


 ジャンプして殴りかかる!


 が。


「ちょw遅ww」


 あっさり躱された。

 挙句、噴水の淵の部分に立たれる。本のサイズだと、微妙に攻撃が届かない。


「くっ、そっ!とどか、ないっ!」


 ぶんぶんと拳を振り回すが、ぎりぎりの、本当にぎりぎりのところで届かない。

 しかもmその様子をニヤニヤしながら見てくるのだ。仁王立ちで。しかも時々「超キモいww」とか言いながら。


「くそ.....こういうとき便利な魔法は使えないのか......!」


 どうしても届かない!

 クソ、せめて、せめて人間の体なら!

 足は生えるのになんで人間にはなれないんだよ!


 ......あれ?

 そういえば俺、人間に変身できるか試してなかったような。


 ......うん、していない。

 じゃあ、もしかしたら、できるんじゃないだろうか。


「否、やるしかない!」


 俺はアレシアへの軽い怒りを墓地に捨て、山札から「進化の可能性」をドロー!


「うおおおおおおお!」


 スポン!スポン!と小気味のいい音を立てて、体が生えていく。

 手と足は伸び、腰ができ、胴、胸、首とだんだん人間を形作っていく。

 そんな俺を、アレシアはぽかんと見つめている。


「いける!いけるぞ!」


 首も生え終わり、最後の頭が生える!

 これは、これは!


「おお、紛れも無く人間だ!」


 手を握ったり開いたりしてみる。

 大丈夫、人間のときと同じ感覚だ。


 と同時に、視界の左上にタイマーのような表示と、もう一つ注意書きのような表示が浮かび上がった。初めは『3:00』だったが、一秒立つごとにどんどん減っていく。

 たぶん、人間でいられる制限時間だろう。


 注意書きには、こう書かれてある。



『この文章を見ているということは、君はすでに元の世界にはいないということだろう』


 何故にミステリーの遺書風?


『君には、私が施した数々の嫌がらせが埋め込まれているその体で一生過ごさなければならない。

 だが、それはさすがにかわいそうなので、制限時間つきで人間になる能力を与えた。神に対して不遜な言動をした貴様に情けをくれてやったのだ。ありがたく思え』


 これ書いたのあの駄女神なのかよ。

 人間になれてあがってたテンションが一気に冷めたわ。


『やっぱりその能力消そうかな』


 うお、文章が変わった!?

 リアルタイムで見てるのかよ、しかも心の中まで覗いてるとか!プライバシーって何だっけ!!

 というか、すいません!マジすいません!これ消されたらやっていけないっす!


『まあ、寛大な私はそれくらいのことで怒ったりはしないがな。

 能力についてだが、さっきやってたみたいだが手足だけを出すこともできる。その場合は制限時間にカウントしない。だってキモいから(笑)』


 イラッ


『で、制限時間は一日たつごとに回復する。あと、RPG的に敵を倒せばレベルアップして制限時間が延びたりもする』


 おお、それは楽しそうだ。

 ゲームの中でもRPG系は結構好きな部類だしな。分かってるじゃないか、駄女神だけど。おっとすいません。


『.......ムカついたから、制限時間がすぎると派手なエフェクトとともに気絶する機能をつけた』


 うわあああ!失言だったあ!声に出してないけど!プライバシー無視で勝手に心の中読んできてるのあっちだけど!


『まあ、注意書きはそれくらい。せいぜいその能力で苦労してがんばれや(笑)』


 俺が読み終わると、視界のど真ん中に開いていたその注意書きは跡形も無く消え去った。直後、制限時間がすぎると気絶することを思い出し右上の時間を見るために首を動かす。

 ....が、俺の首の動きに合わせてタイマーも動き、思うように見ることができない。


 くそ、あいつドンだけ俺への嫌がらせに力入れてるんだよ!


 仕方なく眼球だけを動かして残り時間を確認すると、あと一分ほどしか残っていなかった。ヤバイ、と思った俺はすぐに本の姿に戻る。


 ぐちゅ、ぐちゃあ、ぐっちゃあ。


 気が参ってくるほどにグロい効果音とともに手足が引っ込んでいく。

 これも嫌がらせか!ホントにあいつは何なんだよ!ストーカーより陰湿だよ!


「え......」


 ほら、アレシアもドン引きしてこっち見てる!

 このままだと確実にからかわれる。仕方がないから話題を変えるか。


「ほら、俺だって人間になれるんだぜ?ドヤァ」

「いや、え?マジで?」


 しかし、俺の必死の話題転換にも動じず、アレシアは混乱したように頭を抱えている。めっちゃ動じてる。


「どうしたんだよ?」

「どうしたんだじゃないよ!」


 急に大声出すなよ、周りの人見てるだろ。


「ラノって、女だったの!?」

「........................................は?」


 頭でも打ったか?

やっとTSタグが発動しました。

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