第一話
txtファイルに書いてからコピーして次話投稿するのが最近マイブームです。
フォントを変えて書くとなぜか調子がいいのです。
そこ!調子よくてこの文章かよ(笑)とか言わない!
今笑ったやつ!廊下で立ってなさい!
「いや、本当なんですって、信じてくださいよぉ」
情けない声を出す女。
正直、あまり信じられない。そこまで「偶然」が重なることなんてあるんだろうか。
「私は違いますけど、あなたは偶然の神に愛されてるんですって~」
「偶然の神?そんなものがいるのか」
「いや、いませんけど。ただの比喩表現でしょ常考(笑)」
「 (#^ω^)ピキ」
なんなのコイツ俺を怒らせたいの?怒らせたいだけなの?ほらほら煽ってくスタイルなの?怒るよ?ボク怒っちゃうよ?
「まあまあ、そう怒らないでください~(笑)」
「 (#^ω^)ピキピキ」
そろそろ怒っていい?
「まあ、冗談ではなくあなたには好きな世界に転生してもらうんですけどね(泣)」
なぜに(泣)?
「まあ、神様の世界にもいろいろあるんですよ。いいことした人は優遇しないといけないんです。その場合、私のような高等な神が出てこないといけないわけなんですけど」
「高等な神?wwお前が?ww」
「...... (#^ω^)ピキ」
ちょっとやり返してしまった。
反省せねば(笑)
「......で、どこの世界にどんな条件で転生するんですかぁ?お好きに決めてくださいぃ」
なんか目が怖い、怖いよ女神さん(笑)
さあ、目が怖い女神の言うとおりに世界と条件を決めないとね。
やっぱりここは生前よく読んでいたラノベと同じ感じに、剣と魔法の異世界にしてもらおうかな。魔法は憧れだし、魔法の才能も最大級にしとこうか。
後は、不老とか?
やっぱ若いうちに死んじゃったし、生への執着はある。死んじゃったのは仕方が無いとして、生前の分も異世界で生きたい。
「じゃあ、剣と魔法の異世界に最高級の魔法の才能と不老の体を持って転生とか、できる?」
そう聞くと、女は『まるで』『あたかも』『もしかして』女神のような微笑を浮かべ、
「中二病全快ですね。あと、私一応女神ですから心読めるんですよぉ?」
「やめてっ、それだけは言わないでっ。あとごめんなさい!心の中で女神(笑)とかまるでとか言っちゃってごめんなさい」
心覗かれてたとか、マジか!
テンプレではあるけども!
「あ、大丈夫ですよ?全然根に持ったりしませんからぁ、えーと、煉獄の処刑人って呼んだほうがいいですか?」
根に持ってるよね?これ絶対に根に持ってるよね。
まあ、根に持つならそれはそれで別にいい。勝手に根に持っていればいいさ。どうせ俺はこれから異世界に転生するのだから。
チート能力完備、その上剣と魔法の異世界なら俺TUEEEEEE!できるはずだ。
どうせ一生会うこともない、すぐにおさらばだ!
ハハハ!
「.......では、今すぐ転生させますね」
「おう!」
やばい、テンションあがってきたな。
やはり俺も男だったと言うことだな。
女神が両手を前に突き出すのと同時に、俺の足元がまばゆく光り始めた。光はどんどんと強さを増していき、やがて目も開けていられないほどまでまぶしくなる。
そろそろ、転生のお時間だろうか。
全身を浮遊感が包み込む。
その瞬間。
聞こえてしまった。
聞きたくなかった、女神の言葉が。
「ハンッ、ざまあ!私を散々馬鹿にした報いだ!神を馬鹿にしたものがどうなるか教えてやろう!文字通り、体にな!」
「え?」
それは、俺のおちょくりに対してぶち切れた、煽りに耐性の無い女神の声だった。
「う....うぅん......」
あれ、ここはどこだ?
俺はいったい何を.....。
確か俺は銀行にいて.....そこで強盗が現れたんだっけ。それで、強盗は立てこもって、俺が人質を殺して......。
現在の状況について、記憶を探ってみる。
しばらく何があったか記憶を探っていると、だんだんと何があったか思い出してきた。
そうだ、俺は確か変な場所に来て、そこで自称高等女神を煽ったんだ。ネットで培った煽り技術で。そしたら急に怒り出して.....。
「思い出した。俺は転生したんだ。最高級の魔法の才能を持った体で、剣と魔法の異世界で」
となると、ここはテンプレート通りに体の中の魔力を探ったりすればいいのか?それとも、母を確認する?魔法書を探してみたりとか?
やっぱ母親は美人じゃないとな。テンプレ的に。
そういえば、俺は転生した、つまり赤ちゃんからのスタートだからオムツ換えとかの羞恥プレイも体験しないといけないのか。それもまあテンプレだな。
やばい、これからが楽しみすぎる!
「なに、この本.....」
その時、不意に声が聞こえた。声のほうに視線を向け、そこにいる人物を確認する。
そこにいたのは、綺麗な金髪を二つにくくった13歳くらいと思われる美少女だった。
視線を向ける際、少し違和感を感じたが、違和感の正体が分かる前にその人物の声が思考を遮った。
「なんで、本が喋ってるの.....!?」
.....は?
本が喋る?何言ってるんだこいつは。もしかして、見た目はかわいい癖して中身は電波な感じの子なのか?
あんまりお近づきになりたくないな。いや、どうせ今は赤ちゃんだしお近づきもクソも無いんだけどね。
とりあえず、なんかリアクションしたほうがいいのか?いや、赤ちゃんだし無視で?
そんなことを考えていると、金髪ツインテ美少女がこちらに恐る恐る、といった風に近づいてきた。
いや、生まれたての赤ちゃん相手に何をびびってるんだか。
俺の前に立つと、俺のことを持ち上げる少女。
その時、再び違和感を感じる。
(あれ.....?なんかこの子でかくね?)
「なに、この本.....さっき喋ったよね.....?昨日寝たときはこんな本無かったし......やだ、気味悪い......」
なんだこいつ、無垢で純粋な赤ちゃんを捕まえて気味が悪いだとか喋っただとか。
第一、生まれてすぐなのに喋られるわけが無いだろう。
抗議の意味を込めて、少し身をよじってみる。
「!?な、なにこの本!今動いた.....よね....!?」
いや、本じゃねえし、人間だし。
どう見ても人間だろ、ほら見てみろよ。手が二本あって、足もあって...........。
「え?」
「きゃっ」
どさりと地面に落とされるが、そんなことはもはや俺の眼中にない。結構な高さから落とされたにもかかわらず、痛みは無かった。
(もう一回、もう一回確かめてみよう)
そう、落ち着いてもう一度確認するんだ。
手もあるはず、足もあるはず――
..............。
....................。
.............................。
なんだ、まだ夢を見てたのか。
「あれ?この本、魔力が宿ってる」
てっきり転生できたものだと思っていたが、まさかまだ転生する前の段階で、今見てるこれは夢だっただなんて。
とんだおちゃめさんだな~、もうっ
「もしかして....魔道書?」
それにしても、転生はまだなのかな~?
もしかして、さっき女神をおちょくり過ぎたせいで少し遅らされているのかな~?
「じゃあ喋るのも納得.....かな?」
現実逃避を繰り返す俺の脳裏には、しかし女神のあの言葉が蘇っていた。
そんなはずがないと、アレは自分の空耳だと言い聞かせながらも、その圧倒的にリアルな記憶にショックを受ける。
――ハンッ、ざまあ!私を散々馬鹿にした報いだ!神を馬鹿にしたものがどうなるか教えてやろう!文字通り、体にな!
もしかして、もしかして。
この体になってしまったのは、夢ではない?
「いやいや、もし魔道書だとしても喋るのは伝説の魔道書くらいだし、そんなものが私の部屋にあるわけ無いじゃない!」
もしかして、もしかしてだけど。
これって、ガチ切れした女神が俺に対して洒落にならないレベルの嫌がらせをしたんじゃないのか?
いや。
いやいやいやいや。
そんな、さすがにそれは無いだろう。
まして俺はちょっとからかってみただけ。その程度で俺の人生をぶっ潰すって、酷すぎるだろう。
もう一度、もう一度だけ、1ミクロンの希望にすがって自分の体を確認してみる。
ゆっくりと、視線を下げていく。
――――そこには、少しくだびれてはいるが、元は立派だったであろう本があった。
そう、俺は本になってしまっていたのだ。
「もしかして、神様が私にもたらしてくれた奇跡!?」
「ちょっと黙っててくれる!?今俺大変なんだ!」
「きゃうっ!?」