×9 断じて違う!
「あみちゃん?あみちゃーん。」
目の前にすーちゃんが現れた。
「うわっ。すーちゃんか。びっくりしたじゃんかー」
「私の方が心配したよ。あみちゃん当てられたでしょ?こっちまでドキドキしちゃったよ。あ、そうだ。どうしたの?さっきぼーっとしてたけど。授業終わったの気づいてた?みんな教室もどちゃったよ。」
うわ。授業まで終わってたとか信じらんない。私何してるんだろ。
「あーうん。そうなんだよね。当てられたんだよね......」
「あみちゃん?やっぱ変じゃない?大丈夫?」
「え?あー、はは。変だとは失礼な。あみちゃんだって物思いにふけることくらいあるんですよ」
「えー、何それー。あ、今日のお弁当のこととか?」
「あっははー、バレた?」
「ほんと、あみちゃんそういうとこ変わってないよね。」
よかった。青野のことバレてない。
......バレてない?バレる?何が?青野がさっき私に答え教えてくれたことが?私が青野にドキドキしたことが?私が青野を......ち、違うっ!
ぶんぶんと頭を振る私にすーちゃんが「大丈夫?」と声をかけてくれる。
すーちゃんには話た方がいいよね。私が青のを、じゃなくて、授業中のこと。
「
「ごめんごめん。昨日寝不足でさ」
「そうなの?なんだ昨日メールくれなかったから早く寝ちゃったんだと思ってたんだよ。起きてたならメールしてくれればよかったのに。」
ぐっ、すーちゃんの言う通り。昨日は宿題してすぐ寝た。すーちゃんは昔から鋭いんだよね。普段はなかなか口にしないけど、カンがいい。
「本読んでたら時間忘れちゃって」
「へぇ、そうなんだ」
すーちゃんがニヤリとした。
意外と黒いのですよ、すーちゃんは。
「そ、それより。さっき当てられたとき青野が答え教えてくれたんだよね。」
「え」
青野がってところですーちゃんのニヤニヤが消えた。
まあ、まさかあの青野が私にって思うよね。共感共感。私も驚いたもんね。
「そう、なんだ。へぇー、青野くんって優しいもんね」
すーちゃんの言葉は意外だった。
あの青野が?小学生のときさんざん私のことを馬鹿にした青野が?!優しいだと?!!
「え?青野が優しかったことってあるっけ?」
「もー。あみちゃんがわっかってないだけだよ。ああみえて誰にでも優しいよ青野くん」
なんと。新事実なんだけど。そりゃぁ、たまには少ーしだけ優しいかなーって思ったりすることがあったりなかったりだけど。みんな、青野は優しいって認識してんのかな。
「ほんとああみえて、だけどね」
ちょっとだけ嬉しかった。