×3 気になってはいた
チャイムが鳴り終わると同時に始まる午後の授業。
眠くてたまんないはずなんだけど今日は違う。みんながそわそわして、ざわざわしている。
「静かにしろー。席替えするぞー。」
沖川先生の一言で騒いでた女子たちが一気に静かになった。
先生は一人づつくじを引かせて、黒板に席順を書いていった。
「やったー!」とか「え~。」とか、いろんな声が聞こえる。
あたしは、すーちゃんの近くで後ろの方の席なんてやっぱり今日はラッキーかも、なんておもいながら新しい席についた。
「よ、6点。隣だな。」
聞き覚えのある声に反応してしまい、思わず光の速さで声の主を見上げる。
や ば い 。
脳内警報が鳴り響く。
あたしの隣は青野 瞬。
クラスで一番頭がよくて、クラスで一番足が速くて、クラスで一番モテる男子。
席替えで隣になりたい男子ナンバーワン。
たいていの女子はあの同級生と思えない整ったお顔と、優しげなイケメンヴォイスに惚れ惚れとするらしい。よくいる優等生ってやつだ。
あんなオレサマなやつのどこがいいのか。きっとアイツの隣でこんなに悲しむのはあたしだけだよな。
存在は認識してる。でも関わりたくはない。
これがあたしの青野瞬に対しての考え。
つまり、敵ってこと。
「よ、よろしく。」
敵に弱みを握られないようにしなければ!