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×29 呼び出し。

「で、どういうことなの?」


如月さんを中心にあたしに迫ってくる女子たち。

……なんかデジャヴ。

職員室に呼ばれた日の放課後とは……情報が回るの早いな。

流石女子。こういうところで団結力示されてもなぁ。


「……はぁ」


思わずため息が出る。


「ちょっと聞いてるの!?青野君にかばわれたからって調子に乗るんじゃないわよ!」


調子に乗るかよ。

呆れた。如月さんを睨みつける。

如月さんは睨み返してくる。

反抗したとでも思ったらしい。

あたしが青野にかばわれて喜ぶわけがない。第一、こんな目に遭っているのは誰のせいだと思ってるんだよ。知ってるんだからそれくらい考えてほしい。


「青野君はね、自分の身の安全のために、めんどくさいことにならないためにあんな嘘をついたのよ!別にあなたのためじゃないわ!百歩譲ってあなたのことを考えていたとしてもそれは同情であって好意なんかじゃない!あなたそれをわかってるの?」


……たったそれだけを言うためにここまで

呼び出したのか?

それくらいわかっていた話だし、逆にあたしがどう思っていると考えているのだろうか。青野に?好意?聞いて呆れる。

あたしは如月さんたちに背を向ける。これ以上言うこともない。


「話は終わり?じゃあ、あたし忙しいから」

途端に如月さんの顔が歪む。


「ちょっと待ちなさいよっ!!」


あたしの肩をつかみ目の前に立り、大きく手を降り上げる。

ここで止めてもよけても余計にめんどくさくなるだけだ。ものを言うこともあきらめて口を閉じた。


「き、如月さん?!だめだよっ!」


突然、柱の後ろから人影が飛び出してきた。


「え?」


如月さんも、如月さんとあたしの間に立つ人影を認識することはできたが振り上げた手の勢いを止めることはできないだろう。

予想外の展開に判断がついていかない。如月さんを止めなければ。この人を巻き添えにするわけにはいかない。


パシッ


乾いた音が人気のない廊下に響いた。

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