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×16 マドレーヌでラッキーデー

予兆です。ふふふ。

昨日はしんみりとした気分で一晩過ごした。夕飯のときも心ここにあらずって感じにぼーっとしてて、お母さんにも「遊び疲れたの?」って聞かれたくらい。

たかが友達の恋バナ聞いて好きな人がいたことを初めて知った、ってことなんだけど、私には衝撃的なんだよなー。

だって相手があの青野瞬だって言うし。いや、もちろんあのモテ男のことだからアイツに思いを寄せている健気な女子たちはいっぱいいるんだろうけど。まさかこんなに近くにいて、しかも5年くらい気づかなかっただなんて。そういうの鈍いのかな。そんなはずないんだけど。


「よし」


一言呟いて4限目の授業のノートと教科書を開いたまま立ち上がる。

こういうことは振り返っても仕方ない。終わったことはどうにもならないのだから!


「はぁー」


とは言いつつも、昨日のことは終わったわけじゃないんだよなー、むしろ始まりなんじゃ、


「はりきるんだかため息つくのかどっちかにしろよな」


前から声をかけてきたのは青野だった。

青野は立ち上がった私を前をむいたまま首だけひねって見上げた。


「何よ、私だっていろいろと考えることがあって忙しいんですぅー」

べーっと舌を出して席を離れる。青野が呆れて鼻で笑った気もするけど、今の私はそんなこと気にしないくらい心が広いのだよ。


「ふふ、ふふふふふふ」


おっといけない、声が出てた。

思わずこぼれる笑みを抑えきれずにニヤニヤとしたまま廊下を歩く。

なんたって今日は月曜日。毎日忙しい昼休みを過ごす図書委員長すーちゃんが唯一当番じゃない日。何も言われなければ毎日仕事をしてそうなすーちゃんに優しい後輩くん達がくれた休みだ。しかも今日はお母さんが焼いてくれたマドレーヌが!もうこれは中庭の木陰のベンチをめがけて走り出したくなる気持ちを抑えてニヤニヤするしかできないでしょう!さっきまで悩んでたことなんて頭の中からfly awayだよ!マドレーヌって偉大だね!友達って最高だね!


よくわからないテンションのままベンチですーちゃんを待つことにした。


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