あきらめないココロ
いつからだろうか――
そう、諦めるかのごとく軽く言い捨てるようになったのは――。
「ねえ、だめなんでしょ…?」
「ダメって、まだ決まったわけじゃないだろ?」
彼がそういってワタシを励ましてくれるけど
彼の顔があきらかに引きつっているように見える。
あ――
と、ワタシはつい癖で顔をそらしてしまう。
「こらこら、ちゃんと顔を見て」
「いいの…。ワタシには無理だったのよ」
ふいっとワタシがそっぽをまた向いて見せると、
仕方がないなと彼がワタシを抱き寄せてきた。
「いいかい、ダメじゃない。そう何度も言ってるだろ?」
「……」
そういう彼の言葉、あまり好きじゃない――。
ワタシは咄嗟に彼の腕から離れると、彼の顔を見てみた。
彼はまた困った顔をしてみせるが、怒ってはいない――けど、笑ってもいなかった。
彼はいつだって優しかった。そしていつだって笑顔だった。
だからこそ、こんな時は笑っていて欲しいのに……。
「ワタシがダメだから、こんなこと言うのね?」
「そうじゃない、そうじゃない」
彼の言葉が、少しきつくなってきて怖かった。
「お願い、ワタシのこと嫌いになんかならないで……」
彼がワタシから離れていってしまうのが怖くて、ワタシはピッと
彼のすそを引っ張ってみる。
「……ったく」
そんなワタシの寂しげな言葉に、彼が大きな手でワタシを撫で付けては
ふいに抱きしめてきてくれた。
「大丈夫、お前ならきっと出来るさ!」
彼の温かさが、ワタシの全身にかけめぐってくる。
ワタシはこれを待っていた、ワタシの励みになってくれた。
そのことが嬉しくて、ワタシはもう一度だけ彼の言葉に従おうと思った。
「……うん、分かった。やってみる」
「よし、全力で応援しているよ!!」
彼の言葉が、ワタシの耳に優しく届く。
そうしてワタシは、ステージへと立った。
盲導犬と言う、華々しいステージに――。
完
はい
人間だと思ったでしょ?でしょ?w
少し騙しちゃいました。あい、ごめんなさい><